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48 怒りのラムシェーブル
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「答えよ、レジム公爵。その為に娘を伴って仕事中の私の前に押し掛けたのであろう?よほど素晴らしい案があるのだろう。礼儀も忘れる程にな」
俺の前ではあんまり怒らないラムだけれど怒ると本当に怖い。静かにどんどん硬く冷たくなって空気も重くなって行くようだ。
ラムの怒りの矛先が向いていない俺ですら、息が吸いにくいような重さを感じる。この威圧感をモロに受けた公爵は真っ青な顔で汗まみれになりながら浅い呼吸を何とか繰り返している。
父親の影でガタガタと震える娘の方は
「そ、そんなはずは……お会いさえすれば、陛下は私の素晴らしさに気づいて下さるはずなのに……」
血走った目でブツブツ呟いている、怖い。この御令嬢、どうして会えば気に入って貰えると思ったんだろう。
父親そっくりの丸くて小さな目に、高さが控えめな丸い鼻。ぽってりと厚めの唇は好きな人なら好きなんだろうな、と言う感じだけれど、それを真っ赤に塗り込められているから、物凄い存在感だ。
そして何か刺激臭がする金色の髪を上に盛って更に縦巻きロールなもんで横にも広い。よく見ると生え際が茶色ので、何か薬品などで髪の色を変えているのかも知れない。ソレイユ様が見事な金髪だからラムは金髪好きだと思われてるのかな?そんな事ないと思うけど……。
その刺激臭と甘ったるい薔薇の香水が入り混じって、この空間はヤバい。窓を開けたルトがほっと一安心したように深呼吸するほどに臭い。
大体にしてラムは香水が嫌いだ。ソレイユ様も自然な果物の香りが少しだけ香る位の物しかつけないし。ラムが好きのはむしろ人間の匂いだと思う……よく首元やら耳元に寄って来てはクンクン匂いを嗅いでるし。変態くさいな、っていつも思ってる。
「良い匂いだ、食べてしまいたい」
「変態か?!」
いや、思ってるだけじゃなかった、口に出してた。俺がそんな事をツラツラと考えていたけれど、当然、ラムの機嫌は悪いまま。
「疾く答えよ、レジム公爵!」
「ひ……」
このまま責め続ければ、なんか漏らしちゃうんじゃないか?ってくらいまずい顔色になっている。でもまー俺が助ける義理もないしなー。多分、俺は今、能面みたいな顔でちびりそうなレジム公爵親子を見ていると思う。
さて、何と答えるのだろうか。俺とラムは脳筋と眼鏡で別々のチームを作り、それぞれに近くの国を攻略させようか?と考えていた。
目に見える戦果が有ればやる気が出るだろうし、武だけで攻めてどうなるか、智だけで攻略できるのか。欠けたらどうなるのかを考えつかない大国病に罹っているみたいだからね。
「え、あ……か、かねを……ぐ、軍備をと、整えさせまする……!」
上から圧力で潰されて潰されて、なんとか口から飛び出した言葉は金か。まあ金をかければ手っ取り早く出来る事もある。納期が間に合わないなら外注をかければ良いじゃない?ってマリーなんちゃらネットさんの言葉もある事だし?
誰が外注費を払うか知らんけど。
「ならばそれでやってみるが良い。1ヶ月、いや3ヶ月で成果を上げてみせよ。私は使える者には寛大であるからな」
ラムは自分が認めた者、使える者には確かに寛大だ。でも使えない者、気に入らない者にはとことん冷たい。まあ、執政者なら誰でもそんなもんか。誰にでも良い顔をしていたら政治は出来ないもんな。
「では良い結果をだせ、下がって良い」
「は、はひ……」
入ってきた時の勢いはどこへやら、レジム公爵は生えていたならば尻尾を完全に股の間に挟んで逃げ出した。
呆然と立ち尽くす令嬢を放って。
「消えろ」
ラムに言われても、全く動けない。ダメだこりゃ。
「ルト、頼むね」
「はい、ディエス様」
ルトは真っ赤な令嬢に近づいて背中を押した。ルトに導かれるままにリリシアと言う女性は出て行った。はあ、何だったんだろうな……あの娘さんは。
俺も大きなため息をついた。
俺の前ではあんまり怒らないラムだけれど怒ると本当に怖い。静かにどんどん硬く冷たくなって空気も重くなって行くようだ。
ラムの怒りの矛先が向いていない俺ですら、息が吸いにくいような重さを感じる。この威圧感をモロに受けた公爵は真っ青な顔で汗まみれになりながら浅い呼吸を何とか繰り返している。
父親の影でガタガタと震える娘の方は
「そ、そんなはずは……お会いさえすれば、陛下は私の素晴らしさに気づいて下さるはずなのに……」
血走った目でブツブツ呟いている、怖い。この御令嬢、どうして会えば気に入って貰えると思ったんだろう。
父親そっくりの丸くて小さな目に、高さが控えめな丸い鼻。ぽってりと厚めの唇は好きな人なら好きなんだろうな、と言う感じだけれど、それを真っ赤に塗り込められているから、物凄い存在感だ。
そして何か刺激臭がする金色の髪を上に盛って更に縦巻きロールなもんで横にも広い。よく見ると生え際が茶色ので、何か薬品などで髪の色を変えているのかも知れない。ソレイユ様が見事な金髪だからラムは金髪好きだと思われてるのかな?そんな事ないと思うけど……。
その刺激臭と甘ったるい薔薇の香水が入り混じって、この空間はヤバい。窓を開けたルトがほっと一安心したように深呼吸するほどに臭い。
大体にしてラムは香水が嫌いだ。ソレイユ様も自然な果物の香りが少しだけ香る位の物しかつけないし。ラムが好きのはむしろ人間の匂いだと思う……よく首元やら耳元に寄って来てはクンクン匂いを嗅いでるし。変態くさいな、っていつも思ってる。
「良い匂いだ、食べてしまいたい」
「変態か?!」
いや、思ってるだけじゃなかった、口に出してた。俺がそんな事をツラツラと考えていたけれど、当然、ラムの機嫌は悪いまま。
「疾く答えよ、レジム公爵!」
「ひ……」
このまま責め続ければ、なんか漏らしちゃうんじゃないか?ってくらいまずい顔色になっている。でもまー俺が助ける義理もないしなー。多分、俺は今、能面みたいな顔でちびりそうなレジム公爵親子を見ていると思う。
さて、何と答えるのだろうか。俺とラムは脳筋と眼鏡で別々のチームを作り、それぞれに近くの国を攻略させようか?と考えていた。
目に見える戦果が有ればやる気が出るだろうし、武だけで攻めてどうなるか、智だけで攻略できるのか。欠けたらどうなるのかを考えつかない大国病に罹っているみたいだからね。
「え、あ……か、かねを……ぐ、軍備をと、整えさせまする……!」
上から圧力で潰されて潰されて、なんとか口から飛び出した言葉は金か。まあ金をかければ手っ取り早く出来る事もある。納期が間に合わないなら外注をかければ良いじゃない?ってマリーなんちゃらネットさんの言葉もある事だし?
誰が外注費を払うか知らんけど。
「ならばそれでやってみるが良い。1ヶ月、いや3ヶ月で成果を上げてみせよ。私は使える者には寛大であるからな」
ラムは自分が認めた者、使える者には確かに寛大だ。でも使えない者、気に入らない者にはとことん冷たい。まあ、執政者なら誰でもそんなもんか。誰にでも良い顔をしていたら政治は出来ないもんな。
「では良い結果をだせ、下がって良い」
「は、はひ……」
入ってきた時の勢いはどこへやら、レジム公爵は生えていたならば尻尾を完全に股の間に挟んで逃げ出した。
呆然と立ち尽くす令嬢を放って。
「消えろ」
ラムに言われても、全く動けない。ダメだこりゃ。
「ルト、頼むね」
「はい、ディエス様」
ルトは真っ赤な令嬢に近づいて背中を押した。ルトに導かれるままにリリシアと言う女性は出て行った。はあ、何だったんだろうな……あの娘さんは。
俺も大きなため息をついた。
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