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76 悪の道!
「……当たったな」
「寒いね……」
ここら辺は東京より少しだけ涼しい程度、北海道より少し暑いかな?という夏の気候になる事が多いのだという。だから小麦は良く取れるし、割と過ごしやすい。しかし今年の夏は寒い。昼間は良いが、夜は長そでの羽織り物が必要なくらい冷えている。
農業関係の部署から、確実に今年は冷夏で統計からも今年の小麦はほぼ全滅だろうと報告が来ている。
「あのまま育てた小麦は青いまま、穂をつけぬ」
「そのまま枯れるしかないだろうね……今からでも雑穀か芋に植え替えた方が良い」
「種は押さえてあるから行き渡るはずだ」
「うん……油断は出来ないけど、天候はなあ……獣の方はどう?」
「まだ、だな。まだ山に食い物があるらしく、獣は降りて来ておらんが、秋の実りは薄いだろう」
獣害が出るのはやっぱり秋か。山の獣が腹をすかして里に下り始めれば、それを追ってもっと強い物も降りてくる。そちらも問題だなあ。
「もう少ししたら間引きの狩りをやらせよう。新人の訓練を兼ねて」
「訓練は良いね。出来る事なら一般人でも習いたければ教えた方いいかも。作物が取れなきゃ獣を狩って収入を得るものが増えるだろうし」
ラムもふむ、とラムは頷き
「今年は対策もせねばならんし、宮廷行事を減らすぞ。皇帝専用の狩場にも一度騎士団を派遣して調査後の冬に解放しよう。あそこには獲物が多い」
「ラム、カッコいい……人徳ある皇帝みたい!」
「……本物の皇帝だろうが」
俺がカッコいいカッコいいと言い続けたので悪い気はしていないみたいだ。
「小麦は値上がりをを続けているが、ほぼ予測通りの推移だ。街は不安が広がっている、これも予想通り」
「体感でわかるもんね……本当に寒い」
帝国は大きいから南に面した暖かい地域でならいくらか収穫は見込める。でもそこだけでは帝国全土に行き渡りはしない。国民の多くは冷夏を甘く見ていたんだろう。体感できるようになってから焦り始めている。
「流石に天の采配を人間がどうとも出来ん」
「そうだねえ」
俺は曇った空を見上げる。あの嘘つき神様め。俺はスローライフをしていいって聞いてこの世界に来たのに契約違反だぞ。会えたら絶対文句言おう!バリバリとまではいかないけれど、俺ってば働いてるじゃん。
「そこに仕事があるんだもん」
「何か言ったか?」
「何でもない」
もしかしたら俺はこういう仕事なんてしなくてもいいのかもしれない。ただゆっくり、夜にラムとムニャムニャしてるだけで十分に務めを果たしているのかもしれないけれど。執務室にたまってゆく書類の山を見ると片付けたくてしょうがない、見ているだけでイライラするんだ。
「社畜根性が抜けてないんだろうなあ……」
はあ、ため息をつきながら書類を眺める。なんとレジム公爵がものすごい金額を請求してきている書類だった。勿論、ラムは不可のサインを入れて何度も突き返しているが、何度も理由を変え金額を変え提出してくる。
「成果が出なかった失敗に法外な金額の請求。通る訳がないだろう」
誰もがそう思っているが、レジム公爵だけは諦めていないみたいだ。まあいくら書類を出した所で通る訳はないんだけれどね。
「……貧民街には死体が転がるだろうなあ……炭鉱とかでお仕事とかしてくんないかな……無理かなあ」
簡単な石の選別とか、例えば食事係とか……力がなくても色々出来ると思うんだよなあ。
「寝泊り出来る部屋、三食付き。ただし給料はほんのちょっとのタコ部屋でも冬の食い物もない路上より暖かいと思うんだけどなあ……」
「採算が合わないだろう?」
「良いんだよ、弱者救済の為の心のひろ~い皇帝様の提案なんだから。全員無料で助けることは出来ない、いつまで続くか分からないからね。自分でそこそこに稼いで貰わないと……それにちょっとくらい給料ないとやる気でないだろう?キンキンに冷えたビール飲みたいんだよ」
ざわざわ……しそう。
「なるほど、給料は全部取り上げない方が良いのか。日給で小銭を与えて……娯楽に使用させてしまう。いいかもしれんな」
「地下収容施設は暖かいかもね~」
「……炭鉱は確かに暖かい所が多いな。セイリオスに地質学者とつめてもらうか。貧民とて遊ばせておくのは勿体ない」
「そん時はチンチロリンだよ、チンチロリン……マンガみてえ!」
思わず例のあの漫画を思い出して俺は噴き出しそうになったけど、また変な所にラムが食いついてきて
「チンチロリンってなんだ?」
「ああ、賭博の一種なんだけど、これがまた悪どいんだ!」
俺はサイコロを作るハメになってしまい、帝国には悪い遊びが広がってしまった……ごめん。
「寒いね……」
ここら辺は東京より少しだけ涼しい程度、北海道より少し暑いかな?という夏の気候になる事が多いのだという。だから小麦は良く取れるし、割と過ごしやすい。しかし今年の夏は寒い。昼間は良いが、夜は長そでの羽織り物が必要なくらい冷えている。
農業関係の部署から、確実に今年は冷夏で統計からも今年の小麦はほぼ全滅だろうと報告が来ている。
「あのまま育てた小麦は青いまま、穂をつけぬ」
「そのまま枯れるしかないだろうね……今からでも雑穀か芋に植え替えた方が良い」
「種は押さえてあるから行き渡るはずだ」
「うん……油断は出来ないけど、天候はなあ……獣の方はどう?」
「まだ、だな。まだ山に食い物があるらしく、獣は降りて来ておらんが、秋の実りは薄いだろう」
獣害が出るのはやっぱり秋か。山の獣が腹をすかして里に下り始めれば、それを追ってもっと強い物も降りてくる。そちらも問題だなあ。
「もう少ししたら間引きの狩りをやらせよう。新人の訓練を兼ねて」
「訓練は良いね。出来る事なら一般人でも習いたければ教えた方いいかも。作物が取れなきゃ獣を狩って収入を得るものが増えるだろうし」
ラムもふむ、とラムは頷き
「今年は対策もせねばならんし、宮廷行事を減らすぞ。皇帝専用の狩場にも一度騎士団を派遣して調査後の冬に解放しよう。あそこには獲物が多い」
「ラム、カッコいい……人徳ある皇帝みたい!」
「……本物の皇帝だろうが」
俺がカッコいいカッコいいと言い続けたので悪い気はしていないみたいだ。
「小麦は値上がりをを続けているが、ほぼ予測通りの推移だ。街は不安が広がっている、これも予想通り」
「体感でわかるもんね……本当に寒い」
帝国は大きいから南に面した暖かい地域でならいくらか収穫は見込める。でもそこだけでは帝国全土に行き渡りはしない。国民の多くは冷夏を甘く見ていたんだろう。体感できるようになってから焦り始めている。
「流石に天の采配を人間がどうとも出来ん」
「そうだねえ」
俺は曇った空を見上げる。あの嘘つき神様め。俺はスローライフをしていいって聞いてこの世界に来たのに契約違反だぞ。会えたら絶対文句言おう!バリバリとまではいかないけれど、俺ってば働いてるじゃん。
「そこに仕事があるんだもん」
「何か言ったか?」
「何でもない」
もしかしたら俺はこういう仕事なんてしなくてもいいのかもしれない。ただゆっくり、夜にラムとムニャムニャしてるだけで十分に務めを果たしているのかもしれないけれど。執務室にたまってゆく書類の山を見ると片付けたくてしょうがない、見ているだけでイライラするんだ。
「社畜根性が抜けてないんだろうなあ……」
はあ、ため息をつきながら書類を眺める。なんとレジム公爵がものすごい金額を請求してきている書類だった。勿論、ラムは不可のサインを入れて何度も突き返しているが、何度も理由を変え金額を変え提出してくる。
「成果が出なかった失敗に法外な金額の請求。通る訳がないだろう」
誰もがそう思っているが、レジム公爵だけは諦めていないみたいだ。まあいくら書類を出した所で通る訳はないんだけれどね。
「……貧民街には死体が転がるだろうなあ……炭鉱とかでお仕事とかしてくんないかな……無理かなあ」
簡単な石の選別とか、例えば食事係とか……力がなくても色々出来ると思うんだよなあ。
「寝泊り出来る部屋、三食付き。ただし給料はほんのちょっとのタコ部屋でも冬の食い物もない路上より暖かいと思うんだけどなあ……」
「採算が合わないだろう?」
「良いんだよ、弱者救済の為の心のひろ~い皇帝様の提案なんだから。全員無料で助けることは出来ない、いつまで続くか分からないからね。自分でそこそこに稼いで貰わないと……それにちょっとくらい給料ないとやる気でないだろう?キンキンに冷えたビール飲みたいんだよ」
ざわざわ……しそう。
「なるほど、給料は全部取り上げない方が良いのか。日給で小銭を与えて……娯楽に使用させてしまう。いいかもしれんな」
「地下収容施設は暖かいかもね~」
「……炭鉱は確かに暖かい所が多いな。セイリオスに地質学者とつめてもらうか。貧民とて遊ばせておくのは勿体ない」
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