マイアバターに異世界転生したら宰相だった私に救いの手を!

鏑木 うりこ

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召しませ★ダーリン

8 **猛獣皇王**

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そのまま、噛み付かれるようにキスされた。
 無遠慮に口の中に舌を突っ込まれ、我が物顔で蹂躙される。

「ん、…ふ…っ」

 なんっつった?この筋肉馬鹿は?抱く?私を?今?今から?顔を合わせて1分、扉を開けたらハイ合体みたいな?
 え?マジ?マジで??マジかー。

「んぁ…は、」

 甘い鼻を鳴らした声がどこからか聞こえる。ああ、私か。苦しいんだ、息が続かない。

 ぐっと両腕でカティスの胸を押してもびくともしなかった。平時でも純粋な筋力、戦闘力で勝てないだろう。

「ん、ん…!」

 苦しいのだと、訴えるように心臓の上を叩く。伝わったのか、唇は少し離れた。

「高く…つくからな……」

「いいだろう」

 もう一度深く口づけされる。



「痛い…っ!痛い!カティ…抜いて!」

「嫌だ…!」

 痛い。ポロポロと涙が溢れる。ろくに慣らしもしないて、凶悪なものを体内にぶち込まれた。
 男だとか、恥ずかしいとかそう言うのはもうどうでもいい。傷ついた中を抉られて悲鳴が上がる。

「い、痛いっ…ああああーっ」

「っ!」

「ぅあ…あ、あ…」

 ごぽり、と引き抜かれると赤と白の体液が混じりあった物が溢れた。

「ひ、ひぅ…」

肩で息をする私の腰を容赦なく持ち上げ、ナカに何かを注ぎ込む。

「な、何…?」

「こういうの専用の回復ポーションだってよ。便利なものを作る錬金術師もいるんだなぁ?」

 さあ もっと遊ぼうぜ?
戦争の時に良く聞いた台詞が、私の腹の上で繰り返された。 


「あっ!あっ!」

「イイのか?」

「ぃいーっイきゅぅー♡おきゅにびゅってしてぇー♡しゅきぃー!」


 酷いパワーレベリングを受けた。レベル1でドラゴンと戦わされたようなものだ。ありとあらゆる技を叩き込まれた体は、鍛えてあるから壊れなかった。一般人なら心も体も壊れてしまっただろう。
 今も私の横でニヤニヤと上機嫌で、寝転ぶ肉食動物を見やる。達観した、悟りの領域です。
 腕を引かれてベッドに倒され、覆いかぶさるようにキスされる。嫌がるのも、逃げるのも喜ばせて、もてあそばれるだけ。なので積極的に迎えて満足させた方が早い。
 薄く口を開ければ、喜んで割り入ってきた。ぴちゃぴちゃと不埒な音を立てて、舌を絡ませる。

「ん…」

 少し漏らした声に満足したのか、唇を離した。

「やっと、手に入れた…4人目の聖女」

「は…?なんだそれ」

 曰く 三年前の戦いに、シターンには4人の聖女が居たと。
 1人は太陽の髪のティナ。1人は湖の髪のルーティア。1人は宵闇の髪のリュリュ。1人は銀月の髪のリィンと。

 最後ちげーーし!

「カティス、お前」

「ティスか、ダーリンと呼べ」

「…ティス、お前馬鹿なの?」

 私は聖女じゃないし!まして女性じゃないし!知ってるよね⁈お前知ってるよね‼︎今、すごく確認したよね?!

 シターンの強みの一つが聖女の多さだった。大陸に1人いるか居ないかの聖女を3人も抱えているのだ。
 聖女の癒しの力は強大で、シターン軍の死者の数はあり得ないほど少なかった。

「聞け、リィン」

 カティスは懐かしそうに、思い出しながら語る。
 当時からシターンは治癒過剰状態だった。なので手の空いた時間に同盟を癒して回ることが良くあった。
 聖女には身を守る手段がない。なのでリィンが付き添う事が多かった。特に人見知りのルーティアには必ずついて歩いた。
 ティナとルーティアは幼馴染みだし、もう1人の聖女リュリュはリィンが拾ってきた少女だ。
 親を慕うがごとく、リィンに懐いていた。

「お前さ、ぐっちゃんぐっちゃんに怪我しただけ奴とかも平気だろ?」

「そりゃまあ…」

「聖女さまっつても流石に女の子だ。腕が取れただ、足がもげただーっつー怪我人にゃビビるんだよ。
 そんな死にかけを大丈夫だ、治ると聖女さまの前までわざわざ運んでやってたろ?」

「まだ使える戦力を捨て置くのはおかしいだろう?」

ははっ!笑う顔は清々しい。

「諦めかけてた命を救われたら、感謝しちまうだろ」

「そうか?」

 そうだ。激しい戦局の中、カティスは矢に射られた。相当の射手だったらしく、毒の乗った矢はカティスの左目に深々と突き立った。



いつか来る死に捕まった。

 そう諦めるより早く、月が空から落ちてきた。

「リュリュ!」

「あい!」

 矢を抜き取ると同時に、癒しの波動に包まれる。刺さったまま、抜け落ちるかと思われた眼球は元の位置に戻る。
 傷ついた脳もなんの障害もなく更に毒まで浄化されている。

 これが聖女の癒しの力

「カティス殿が使えなくなると、まずいですから」

 にこっと笑う。背中に聖女をくっつけて飛んできた銀月は、アサシンらしい身のこなしで、動いた戦局を追って行った。
 
「あれが4人目の聖女」

誰かが呟いた声が、闇に溶けてゆく。


 ねーーわ!ばっかじゃねぇーーのぉーーー!悟りどころか灰になりそうだ。
 に、してもだ。そんな大恩ある聖女様(笑)にこのようにご無体を働くのは如何なものですかね⁈
 そんなに感謝してるなら、もっと丁重にもてなすべきでしょう⁈

「目の前に、美味しい餌が置いてあったら?」

「うっ」

「3年待った特上品が調理されてでてきたら、喰わない方がおかしい」

「……」
 
 納得してしまった。納得したく無かったけれども。確かに安全な領地からノコノコ出てきて、更に弱って抵抗出来ないなら獲るな。

だから な?

ぐっと膝を割り開かれ、腰を掴まれた。

「ひぁ」

「もう少し、付き合えよ」

「ぁひんっ…!」

 覚え込まされた形をもう一度咥えこまされて、可愛く啼くしかなかった。


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