7 / 49
召しませ★ダーリン
7 お野菜クエスト〜そして店頭へ
しおりを挟む
痛い めっちゃ痛い。そして気持ち悪い、グルグルする。
しっかりと目隠しをされ、指一本動かないほどに拘束されている。口と耳は塞がれておらず、耳を澄ますと小川のせせらぎと鳥の声が聞こえる。
指定した場所に正しく出荷されたようだ。さて、これからどこの誰が受け取りに来るのか。
出来ればファディアン側に転がりたいが、これ以上自分で動くのは足がつく可能性が出てくる。
絶対にばれる訳にはいかない。
そうでなければクロードに手間をかけさせた意味がない。
クロードは朝から奇妙な依頼を受けた。ロウエルから誰にも気取られずに、リィンの執務室へ行け、と言うものだ。
それ自体は難しい事ではない。何故誰にも秘密なのか。不思議に思いながら、執務室の天井裏につく。ほんの少しだけ気配を漏らすとリィンは気がついた。
一緒に働いているイーライとウェインは全く気づかない。
リィンは2人に用事を言いつけ、部屋から出した。我らが宰相殿は何か考えているのだろう。
扉が閉まると同時に、音もなく降り立った。リィンは一言も喋らずに紙を1枚取り出してクロードに差し出した。
余りの内容に訓練された鉄面皮が歪んだ。
私を拉致して、指定の小屋に捨て置いて欲しい。貴方のもてる技術の全てを駆使して完璧な犯行をお願いしたい。
にこっと笑って戦友は、手紙を目の前で燃やした。燃えかすも出ない紙を使ったのか、手紙の内容は永遠に失われた。
早く2人が帰ってくる前に。クロードは不安に揺れながらもしっかり仕事をした。
背後からすっと締め上げて、オトした。抵抗はないので簡単に意識を無くす。
成人男性1人を抱え、執務室からクロードは消える。程なくイーライとウェインが戻り、異変が発覚する。
リィン様が消えた!と。
私はクロードの顔を思い出して、少し笑った。あの男はアサシンには合わない性格をしている。
何せ冒険者になった理由が、飼い猫の餌代が足りなくなったからだ。
彼は大食らいの猫を飼っているのだ。自分の髪の毛とそっくりな黒い毛並み。自分の瞳の色とそっくりな金の瞳。
左後ろ足だけが靴下を履いたように白い猫。
猫クロードは主人より愛想が良い。
リィンは知っている。クロードの真っ黒なロングブーツの中、左足だけは白い靴下を履いていて、猫とお揃いにしている事実を!
それでも、クロードはきちんと依頼を果たしてくれた。悪酔いにも似た感覚になる人攫い御用達の薬を常人の3倍ほど投与されている。
手足は指先に至るまで、動かせないくらいの拘束。そして左足の腱を切られた。やりすぎではない。
リィン・ファランは弱者ではない。これくらいやっておかなければ、返り討ちにするくらい訳がない。
流石 クロード先輩
しかも切った腱の手当ても完璧で、消毒と固定がきちんとされている。これならば今は痛みで歩けないが、傷が癒えて訓練すれば元通りになるだろう。
切り口が鋭いのでくっつくもの早そうだ。
はぁ、薬でぐらつき目を閉じる。ファディアンの奴隷商に出入りする破落戸の仲間が出入りする酒場に情報を撒いた。
国境近くのこの場所で、美味しい取引があるらしいと。
これだけぼかして置けば、誰が噂の出所か調べることはできないだろう。
チチチチチ…ッ!
小鳥が飛び立つ音が聞こえる。誰が来たようだ。そして人の争う音。後はなるようになるしかない。
気持ちの悪さと、傷からの失血で意識が遠くなった。
目が覚めると ドン引きだった。
天蓋付きの巨大なベッドの上に寝かされていた。
絹の薄い服は手触りはいいが、透けてみえそうで心許ない。そして履いてない。スースーします。
左足は固定され、しっかり清潔な包帯が巻かれてあって安心する。
安心できないのは、首にしっかりと首輪が嵌っており、鎖でベッドに繋がれている所だろう。
あー覚悟はしていたが、自分の身に降りかかると辛いなー。決めたはずのハラが揺らいだ。
さて、キューブワースかファディアンか。大穴ならハウなんだが。
コンコンと扉がノックされ、静かに扉が開く。メイドであろう人が頭を下げるのが見えたので、緩く上半身を起こした。
メイドは失礼しますとそばに来て背中にクッションを入れてくれる。程なく、廊下に軍靴の音が聞こえ、その歩調に目的の場所についた事を知る事なった。
「ご機嫌はいかがですかな?宰相殿」
ファディアン皇国 皇帝カティス・ファディアンは猛獣のような笑顔を浮かべた。
「私を宰相と呼んで、これですか?」
ヘビィサウンドを奏でる鎖を摘んで、視線を合わせる。
シターン国の宰相を縛るのかと、皮肉たっぷりに聞き返す。
瞬間 大声で笑った。
「下がれ」
メイド達は深々とお辞儀をして、重い扉をしめて出て行った。
コツ、コツ、コツ。靴音が響いて皇王カティスはやってくる。さて、何を言ってくるのか。やはり戦争を始めようとするキューブワース関連か。
油断なく、その顔を見つめる。カティスの言葉にどう答えるかで、今後のシターンの情勢は大きく変わる。
見逃すな 騙されるな 言葉と表情の一欠片からも真実と益を見出せ。
じゃらり、首輪に近い場所の鎖を左手で持たれた。グイッと引かれ顔が上を向かされる。目と目が合い、鼻頭がぶつかりそうになるその至近距離で、次の言葉が紡がれた。
「抱くぞ」
は?今なんて?
ーーーーーーーーー
お気に入り登録ありがとうございますーー!勢いで書いてる所が多々あり、お見苦しい点も多いと思いますが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです!
シターン茶番劇場
「クロードぱいせーん!私、ぱいせんにお土産買ってきた」
「…?」
「じゃーん!猫の肉球つき靴下ー白黒2個セット成人男性サイズーパカパカーン」
「⁈」
「左右の差が無いようなので、白だけ左にはけますよー」
「(神!)」
しっかりと目隠しをされ、指一本動かないほどに拘束されている。口と耳は塞がれておらず、耳を澄ますと小川のせせらぎと鳥の声が聞こえる。
指定した場所に正しく出荷されたようだ。さて、これからどこの誰が受け取りに来るのか。
出来ればファディアン側に転がりたいが、これ以上自分で動くのは足がつく可能性が出てくる。
絶対にばれる訳にはいかない。
そうでなければクロードに手間をかけさせた意味がない。
クロードは朝から奇妙な依頼を受けた。ロウエルから誰にも気取られずに、リィンの執務室へ行け、と言うものだ。
それ自体は難しい事ではない。何故誰にも秘密なのか。不思議に思いながら、執務室の天井裏につく。ほんの少しだけ気配を漏らすとリィンは気がついた。
一緒に働いているイーライとウェインは全く気づかない。
リィンは2人に用事を言いつけ、部屋から出した。我らが宰相殿は何か考えているのだろう。
扉が閉まると同時に、音もなく降り立った。リィンは一言も喋らずに紙を1枚取り出してクロードに差し出した。
余りの内容に訓練された鉄面皮が歪んだ。
私を拉致して、指定の小屋に捨て置いて欲しい。貴方のもてる技術の全てを駆使して完璧な犯行をお願いしたい。
にこっと笑って戦友は、手紙を目の前で燃やした。燃えかすも出ない紙を使ったのか、手紙の内容は永遠に失われた。
早く2人が帰ってくる前に。クロードは不安に揺れながらもしっかり仕事をした。
背後からすっと締め上げて、オトした。抵抗はないので簡単に意識を無くす。
成人男性1人を抱え、執務室からクロードは消える。程なくイーライとウェインが戻り、異変が発覚する。
リィン様が消えた!と。
私はクロードの顔を思い出して、少し笑った。あの男はアサシンには合わない性格をしている。
何せ冒険者になった理由が、飼い猫の餌代が足りなくなったからだ。
彼は大食らいの猫を飼っているのだ。自分の髪の毛とそっくりな黒い毛並み。自分の瞳の色とそっくりな金の瞳。
左後ろ足だけが靴下を履いたように白い猫。
猫クロードは主人より愛想が良い。
リィンは知っている。クロードの真っ黒なロングブーツの中、左足だけは白い靴下を履いていて、猫とお揃いにしている事実を!
それでも、クロードはきちんと依頼を果たしてくれた。悪酔いにも似た感覚になる人攫い御用達の薬を常人の3倍ほど投与されている。
手足は指先に至るまで、動かせないくらいの拘束。そして左足の腱を切られた。やりすぎではない。
リィン・ファランは弱者ではない。これくらいやっておかなければ、返り討ちにするくらい訳がない。
流石 クロード先輩
しかも切った腱の手当ても完璧で、消毒と固定がきちんとされている。これならば今は痛みで歩けないが、傷が癒えて訓練すれば元通りになるだろう。
切り口が鋭いのでくっつくもの早そうだ。
はぁ、薬でぐらつき目を閉じる。ファディアンの奴隷商に出入りする破落戸の仲間が出入りする酒場に情報を撒いた。
国境近くのこの場所で、美味しい取引があるらしいと。
これだけぼかして置けば、誰が噂の出所か調べることはできないだろう。
チチチチチ…ッ!
小鳥が飛び立つ音が聞こえる。誰が来たようだ。そして人の争う音。後はなるようになるしかない。
気持ちの悪さと、傷からの失血で意識が遠くなった。
目が覚めると ドン引きだった。
天蓋付きの巨大なベッドの上に寝かされていた。
絹の薄い服は手触りはいいが、透けてみえそうで心許ない。そして履いてない。スースーします。
左足は固定され、しっかり清潔な包帯が巻かれてあって安心する。
安心できないのは、首にしっかりと首輪が嵌っており、鎖でベッドに繋がれている所だろう。
あー覚悟はしていたが、自分の身に降りかかると辛いなー。決めたはずのハラが揺らいだ。
さて、キューブワースかファディアンか。大穴ならハウなんだが。
コンコンと扉がノックされ、静かに扉が開く。メイドであろう人が頭を下げるのが見えたので、緩く上半身を起こした。
メイドは失礼しますとそばに来て背中にクッションを入れてくれる。程なく、廊下に軍靴の音が聞こえ、その歩調に目的の場所についた事を知る事なった。
「ご機嫌はいかがですかな?宰相殿」
ファディアン皇国 皇帝カティス・ファディアンは猛獣のような笑顔を浮かべた。
「私を宰相と呼んで、これですか?」
ヘビィサウンドを奏でる鎖を摘んで、視線を合わせる。
シターン国の宰相を縛るのかと、皮肉たっぷりに聞き返す。
瞬間 大声で笑った。
「下がれ」
メイド達は深々とお辞儀をして、重い扉をしめて出て行った。
コツ、コツ、コツ。靴音が響いて皇王カティスはやってくる。さて、何を言ってくるのか。やはり戦争を始めようとするキューブワース関連か。
油断なく、その顔を見つめる。カティスの言葉にどう答えるかで、今後のシターンの情勢は大きく変わる。
見逃すな 騙されるな 言葉と表情の一欠片からも真実と益を見出せ。
じゃらり、首輪に近い場所の鎖を左手で持たれた。グイッと引かれ顔が上を向かされる。目と目が合い、鼻頭がぶつかりそうになるその至近距離で、次の言葉が紡がれた。
「抱くぞ」
は?今なんて?
ーーーーーーーーー
お気に入り登録ありがとうございますーー!勢いで書いてる所が多々あり、お見苦しい点も多いと思いますが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです!
シターン茶番劇場
「クロードぱいせーん!私、ぱいせんにお土産買ってきた」
「…?」
「じゃーん!猫の肉球つき靴下ー白黒2個セット成人男性サイズーパカパカーン」
「⁈」
「左右の差が無いようなので、白だけ左にはけますよー」
「(神!)」
12
あなたにおすすめの小説
男子高校に入学したらハーレムでした!
はやしかわともえ
BL
閲覧ありがとうございます。
ゆっくり書いていきます。
毎日19時更新です。
よろしくお願い致します。
2022.04.28
お気に入り、栞ありがとうございます。
とても励みになります。
引き続き宜しくお願いします。
2022.05.01
近々番外編SSをあげます。
よければ覗いてみてください。
2022.05.10
お気に入りしてくれてる方、閲覧くださってる方、ありがとうございます。
精一杯書いていきます。
2022.05.15
閲覧、お気に入り、ありがとうございます。
読んでいただけてとても嬉しいです。
近々番外編をあげます。
良ければ覗いてみてください。
2022.05.28
今日で完結です。閲覧、お気に入り本当にありがとうございました。
次作も頑張って書きます。
よろしくおねがいします。
異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました
ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載
学園一のスパダリが義兄兼恋人になりました
すいかちゃん
BL
母親の再婚により、名門リーディア家の一員となったユウト。憧れの先輩・セージュが義兄となり喜ぶ。だが、セージュの態度は冷たくて「兄弟になりたくなかった」とまで言われてしまう。おまけに、そんなセージュの部屋で暮らす事になり…。
第二話「兄と呼べない理由」
セージュがなぜユウトに冷たい態度をとるのかがここで明かされます。
第三話「恋人として」は、9月1日(月)の更新となります。
躊躇いながらもセージュの恋人になったユウト。触れられたりキスされるとドキドキしてしまい…。
そして、セージュはユウトに恋をした日を回想します。
第四話「誘惑」
セージュと親しいセシリアという少女の存在がユウトの心をざわつかせます。
愛される自信が持てないユウトを、セージュは洗面所で…。
第五話「月夜の口づけ」
セレストア祭の夜。ユウトはある人物からセージュとの恋を反対され…という話です。
この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜
COCO
BL
「ミミルがいないの……?」
涙目でそうつぶやいた僕を見て、
騎士団も、魔法団も、王宮も──全員が本気を出した。
前世は政治家の家に生まれたけど、
愛されるどころか、身体目当ての大人ばかり。
最後はストーカーの担任に殺された。
でも今世では……
「ルカは、僕らの宝物だよ」
目を覚ました僕は、
最強の父と美しい母に全力で愛されていた。
全員190cm超えの“男しかいない世界”で、
小柄で可愛い僕(とウサギのぬいぐるみ)は、今日も溺愛されてます。
魔法全属性持ち? 知識チート? でも一番すごいのは──
「ルカ様、可愛すぎて息ができません……!!」
これは、世界一ちんまい天使が、世界一愛されるお話。
性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました
まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。
性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。
(ムーンライトノベルにも掲載しています)
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる