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召喚勇者
19 ラスボス
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それから1か月ほどたって、ジュンヤのレベルが500を超えたころ、ジュンヤは騎士団長のハーヴィに願い出た。
「僕もだいぶ強くなりました。今日こそは・・・歪みの中心に行きたい。みなさん、手伝ってもらえますか?」
「ああ、俺たちもかなり強くなった・・・行こうジュンヤ」
「はいっ」
本当はジュンヤは何度も何度も中心から動けないタカシに会っている。今日まで言い出さなかったのは単にレベルを上げたかったからだった。その間に、どんな被害がでようとも人間や魔族が歪みに襲われようとも。
ジュンヤは動かなかった。
騎士団を伴ったジュンヤは苦も無く、中心へたどり着いた。ジュンヤにしてみれば何度も通った道で迷うこともない。騎士団員たちも歪みとの戦闘でかなり強くなっていた。
「じゅ、じゅ、じゅ、じゅ、んんんんやああああああ!き、き、き、き、きたあああああ!」
タカシはまだしゃべることができた。
「ジュンヤ……これは……」
「タカシ君……なんてことに!」
うっと顔を背け、唇をかみしめる。演技だった事に、誰も気がつかない。
「団長!こっちにも人の顔が……あっこの人はミレニーさんですよ!」
「パウロ兄さん!ああ!神よ!」
ジュンヤたちに派遣された神官は以前タカシを担当した神官の弟であったようだ。あまりの変わりように血色を失い、騎士団員に支えられている。
「何名かの魔族も取り込まれているようです」
「生きたまま人々を取り込んで、その魔力を吸い出し歪みを作り続けているようです」
ハーヴィは重々しくため息をついた。
「やはりジュンヤが予想した通りだったな……勇者が、仮にも勇者だったものが歪みを作り続けていたなんて」
「僕もすごく……悲しいです。」
ぽろり、ぽろりと涙をこぼす。
「ジュンヤ……泣くのは後だ。……友達を救ってやらなければ。このままでは彼も、この土地も救われない。もちろん生み出される歪み達もだ」
「ハーヴィ……わかりました……。銀月の剣!」
ジュンヤが呼ぶと、手の甲から聖なる力に満ち満ちた美しい長剣が現れる。500レベルを超えると剣は優美さを増し、剣というよりレイピア、細剣の姿に変わった。手を守るための塚が美しい装飾とジュンヤの瞳の色と同じ紫の宝珠で彩られている。
その見事さに、見るたびにため息がでそうになる。
「タカシ君……今 楽にしてあげるからね」
「うううううううううう・・・・ジュじゅじゅじゅじゅジュんんんんやああああああ!ににに、にくい、にくい、はやく、さっさと、またせやがって、なにがなにがなにがなにが」
余計なことをいう前に処分しなくちゃ。
剣を構えたジュンヤは迷うことなくタカシの眉間を貫いた。
「あ……」
銀の剣から放たれた白い光が辺り一面を包む。それはとてもやさしい光だった。女神の力そのもののようにあたりを包み照らし、死者には安らぎを、正者には活力を。狂った自然を戻し、あふれでた魔力は天へ還す。
すべてを正しくもとに戻し……やり遂げた勇者には力を授ける。そんな力。
はははは!さっすがラスボス!経験値すっごいよぉ!タカシ~!
ジュンヤはポーンポーンとうるさいくらい響くレベルアップ音を聞いていた。女神さまはどうやら盛ってくれたようで、タカシを倒しただけで600レベルに到達しそうだ。頑張ってレベル上げしなくてもよかった、そうジュンヤは心の中で思ったが、この一か月、いろいろいいこともあったので、良しとすることにした。
こうして「歪みの壺」は消滅し、大半の歪み達は消えていった。しかし、不穏な魔力溜まりから歪みが生まれるようになってしまう。この世界に「歪み」が消えることはなかった。
「僕もだいぶ強くなりました。今日こそは・・・歪みの中心に行きたい。みなさん、手伝ってもらえますか?」
「ああ、俺たちもかなり強くなった・・・行こうジュンヤ」
「はいっ」
本当はジュンヤは何度も何度も中心から動けないタカシに会っている。今日まで言い出さなかったのは単にレベルを上げたかったからだった。その間に、どんな被害がでようとも人間や魔族が歪みに襲われようとも。
ジュンヤは動かなかった。
騎士団を伴ったジュンヤは苦も無く、中心へたどり着いた。ジュンヤにしてみれば何度も通った道で迷うこともない。騎士団員たちも歪みとの戦闘でかなり強くなっていた。
「じゅ、じゅ、じゅ、じゅ、んんんんやああああああ!き、き、き、き、きたあああああ!」
タカシはまだしゃべることができた。
「ジュンヤ……これは……」
「タカシ君……なんてことに!」
うっと顔を背け、唇をかみしめる。演技だった事に、誰も気がつかない。
「団長!こっちにも人の顔が……あっこの人はミレニーさんですよ!」
「パウロ兄さん!ああ!神よ!」
ジュンヤたちに派遣された神官は以前タカシを担当した神官の弟であったようだ。あまりの変わりように血色を失い、騎士団員に支えられている。
「何名かの魔族も取り込まれているようです」
「生きたまま人々を取り込んで、その魔力を吸い出し歪みを作り続けているようです」
ハーヴィは重々しくため息をついた。
「やはりジュンヤが予想した通りだったな……勇者が、仮にも勇者だったものが歪みを作り続けていたなんて」
「僕もすごく……悲しいです。」
ぽろり、ぽろりと涙をこぼす。
「ジュンヤ……泣くのは後だ。……友達を救ってやらなければ。このままでは彼も、この土地も救われない。もちろん生み出される歪み達もだ」
「ハーヴィ……わかりました……。銀月の剣!」
ジュンヤが呼ぶと、手の甲から聖なる力に満ち満ちた美しい長剣が現れる。500レベルを超えると剣は優美さを増し、剣というよりレイピア、細剣の姿に変わった。手を守るための塚が美しい装飾とジュンヤの瞳の色と同じ紫の宝珠で彩られている。
その見事さに、見るたびにため息がでそうになる。
「タカシ君……今 楽にしてあげるからね」
「うううううううううう・・・・ジュじゅじゅじゅじゅジュんんんんやああああああ!ににに、にくい、にくい、はやく、さっさと、またせやがって、なにがなにがなにがなにが」
余計なことをいう前に処分しなくちゃ。
剣を構えたジュンヤは迷うことなくタカシの眉間を貫いた。
「あ……」
銀の剣から放たれた白い光が辺り一面を包む。それはとてもやさしい光だった。女神の力そのもののようにあたりを包み照らし、死者には安らぎを、正者には活力を。狂った自然を戻し、あふれでた魔力は天へ還す。
すべてを正しくもとに戻し……やり遂げた勇者には力を授ける。そんな力。
はははは!さっすがラスボス!経験値すっごいよぉ!タカシ~!
ジュンヤはポーンポーンとうるさいくらい響くレベルアップ音を聞いていた。女神さまはどうやら盛ってくれたようで、タカシを倒しただけで600レベルに到達しそうだ。頑張ってレベル上げしなくてもよかった、そうジュンヤは心の中で思ったが、この一か月、いろいろいいこともあったので、良しとすることにした。
こうして「歪みの壺」は消滅し、大半の歪み達は消えていった。しかし、不穏な魔力溜まりから歪みが生まれるようになってしまう。この世界に「歪み」が消えることはなかった。
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