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39 私も慣れて来たわ

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「シシリー様御自らご出立である!貴様ら、平伏して感謝せよ」

「やめてくださいませ、ギルマルド様」

「はい♡」

 私の侍女達からも、ギルマルド様のお付きの騎士達からも「猛獣の扱いが上手くなりましたね、流石です!」みたいな尊敬のまなざしを向けられるようになってきたわ。毎日やっていれば流石に慣れますわよ。

 イヴォンヌ達や神殿関係者からのお願い通り、私は首都の結界を張る為に結界の要となる場所の一つにやってきていた。首都を囲むようにあちこちに配置された要は、その時の聖女の数でどのように配置するか決めているらしい。ちなみにゲームでは聖女はルーナ一人だったので、中央神殿で祈りを捧げて結界を作るというイベントが発生する。
何度目かの結界イベで敵に襲われ、王子や騎士達が全力で聖女を守るって言うのがあったわね。

「シシリー様には猫の子一匹近づけませんから!」

「わたくしは子猫は嫌いではないので問題ないですよ」

 可愛いじゃない子猫。ふわふわしてて、ニーニー鳴くの。寄ってきたら抱っこ位したいわ。抱っこなら是非私を、みたいな顔でこっちを見ないで下さいませ、ギルマルド様。

 さて、私達は定位置につき結界を張るべく授かった力を高めます。私達の周囲に護衛のように各聖女の王子と騎士が守っており、私には不本意ながらギルマルド様と彼の騎士達が辺りを見張っていてくれました。こう、やってみるとやはり私の力が一番弱いようですが、他の4人が私に合わせてくれるようで、なんとか均一に星形の結界を張る事が出来たように感じます。

「流石シシリー様完璧でございます」

「それほどでもないわ」

 なんて言ってみたけれど、私が一番実力不足なのはすぐにわかった……これは良くないわね。修業もした方が絶対いいわ……何せ私は皇女シシリー。能力が低いなんてそんなの嫌だもの!

「神聖力を上げるにはやはり魔物を狩ったりするのが良いのかしら……?」

「シシリー様にそんな危険な事をさせるわけには参りません。この辺一体の魔物は全て根こそぎ絶滅させてまいりますので少々お待ちくださいませ」

 やめてください、ギルマルド様。私が強くなれませんわ。絶対にそんなの許さないと駄々を捏ねるギルマルド様に彼の側近たちがぼそぼそと耳打ちをしています。

「ギルマルド様、これはデートですよ」「そう!討伐デートです」「ギルマルド様のかっこいい姿をお見せる所です」「そしてちょびっとだけ怪我をして優しく手当てしてもらうのです」「絶対それです、それがいいです」

 全部聞こえて来ましてよ?でもまあ、名目は何でも良いのです。私の力が上がってイヴォンヌ達とバランスがとれるようになりさえすれば。

「お、お前達は天才かっ!」「いいえ!貴方様の忠実な部下です!」
「私はお前達のような忠義者の部下を持って大変感動している!!」「私達も嬉しく思います!」

 話がまとまったようで何よりだわ。早速次の日からギルマルド様の魔物討伐について行く事になったのよ。

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