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10 ティセル視点

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「王子……ふは、可愛いな……お前」

 ほんの少しだけ薬を盛った。どの国も自国の王子には毒耐性を付けさせるべく、多少の毒は飲ませて慣れる訓練をするだろうが、アルガ国では大して行っていないようだった。
 薬は良く効き、シーファーン様はその日の夜に私の元にやって来た。

「ふは、俺好みの可愛い子ちゃん」

 会ってすぐ、しかも国の代表でやってきた私の部屋に忍び込み、しかものしかかるとは、普通でない思考と判断力の低下を疑うべき所なのに。
 なんて可愛くて、残念で……私好みの人なんだ。触れ合えば触れ合うほど惹かれてゆく。

「小さい尻だ……入るのか?」

 そっと小さく薄く魔法を使う。支配・洗脳・魅了。私はどれも使える。そっと、耳元に囁くように洗脳する。

あなたが私を受け入れるんです

「ああ、そうか。俺が咥えれば良いのか」

 可愛い人!軽く暗示程度なのに、すっかりその気になっている。アルガの軍神様はやはり頭の中身と魔法抵抗を鍛える事はあまりしていないようだった。

「ふふ、そうならこっちを向けて……うお」

 知ってる。私の私はでかいのだ。顔と体に似合わず、とても……その、ご立派だ。閨教育の実習で相手を引き攣らせ、平伏して泣かせてしまったほどでかいのだ。
 まだ小さい私の体は多分釣り合いが取れるほど、大きくなれるせいだと思っておく。

 そのデカブツを見て、シーファーン様も引き気味だったが

「ま、大丈夫だろ」

 あっさり私の上に跨って、先っぽをぴたりと合わせた時は流石にドキドキしたし。

「ん、んんっ……あっ」

 と、私の上で艶かしい声を上げられると、アレが更にたぎるのが分かった。

「あ、ああ……入ったぁ……」

「あー……ダメですぅー」

 嬉しくて嬉しくて抱きつきたかったが、ここは計画のため、我慢した。代わりに少し魔法を強めて、何度も何度も中に出させて貰った。
 ああ、今夜はなんの結果もでないが、すぐに私の子供を孕ませてあげるからね、シーファーン様!


 あけて翌日、やはり昨日の情事は偉い人の知るところになる。いや、私が噂をばら撒いて、シーファーン様を絡め取ったのだ。

 アルガ王にも訴え、私の願いが通るよう囁く。そして私はシーファーン様の部屋へメイドを伴って向かった…確実に私から逃げられなくする為に!

「あーティセル王子」

 毛布の中かは申し訳なさそうに眉を寄せるシーファーン様。そんな顔をしなくても大丈夫ですよ。もっと申し訳なくなる事をあなたにするんですから!
 ふふ、寝たふりをしているなんて可愛い人だ。狼の聴力を舐めないで頂きたい。

 無論廊下の見張りの兵士には寝て貰ったし、この部屋には誰も近づかないように、私の手駒の戦闘メイドが配置されている。
 屋外ならまだしも、狭い家屋の中ではアルガリ羊達はその立派な角が邪魔だろうし、逆に小回りの効く雌狼達は素晴らしい動きをしてくれるだろう。
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