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16 みーっけ!

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「ありがたきぱんつ-!」
「……君のそういう所は呆れる」
「封印して鮮度を保ったままなら10年くらいは美味しくいただけます」
「……」
「お渡しした下着のセットなどは」
「調子に乗りすぎる奴は嫌われるよ?」
「申し訳ございませんでしたーッ」

 マークの家に帰り、ベッドルームに戻ると床にサファイア君が正座をしてご褒美待ちをしていた。何か欲しいものがあるのかと聞くと調子に乗ってこう答えた。

「師匠の今穿いてるパンツをください!」

 流石にドン引きしたが……脱いでくれてやった。助かったのは本当の話だったし。

「ではっ! 冷めないうちに堪能させていただきますッ!」
「……」

 サファイア君は全能力を使ってこの場から消え、きっと自分の家に戻るのだろう。そんなサファイア君を追って数人の彼の同僚が追いすがって行った……何をするんだろうか、考えたくない。絶対に! もう忘れよう。

 目を閉じて慎重に気配を探る。近くに人の気配は何一つない。これくらい深く探れば極レベルの人物も見つけることができるだろうが、大丈夫。半径1キロくらいには誰もいない。

「……よし」

 完全に安全が確認されてから俺は隠し金庫からあの宝箱を取り出した。かなり厳重に隠されていたけれど、俺なら取り出すことができる。宝箱にも鍵がかかっている……迷わず解除し、開けるのは少し躊躇った。

「ええいっ」

 気合一閃、蓋を開けると思った通りの物がずらりと入っていて、酷い眩暈と頭痛を覚えて蓋を閉めた。

「あああ……やっぱりぃ……」

 数分呼吸を整えて、見たくない、向き合いたくない現実が詰まった宝箱の蓋をもう一度開ける。

「う、うわぁ……えぐい……」

 中には呼吸が止まりそうなほどの師匠の恋人がやっぱり入っていた……。

「ディルドぉ……」

 凛莉師匠の恋人は大人のオモチャであり、尻の奥のムズムズはなんと自己鍛錬の賜物だった……師匠、自分で自分を開発しちゃってた!! そりゃいくら人間の恋人を探しても見つかる訳ないんだよ、だっていないんだもん!!

「この顔、この体、この声で……一人エッチの達人だったなんて……エロ過ぎだろ」

 確かにこの事実は絶対に隠し通したい事実に間違いなかった……。

「ん?」

 師匠の秘密の恋人宝箱を開けて項垂れた俺を映した鏡の表面が波立っている?何か、なにかが起ころうしていた。

「ああ……やっと繋がった。私です、マラカイト・凛莉です……谷口ナルミさん」
「凛莉師匠っ!!」

 波だった鏡の向こう側にはどこにでもいる冴えない容貌の谷口鳴海……俺の姿が映し出されていた。
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