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51 ぶっこめー!
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「おいっ!」
ちょび髭を無視してフロウライトと国王に近づく。救護に当たっているのは騎士団、医者、影の者、まあ色々だ。全員手を尽くして、そして絶望した顔をしている。有効手段が見つからなかったのね。
「何者だっ」
「フロウライト・アイアンメイデン」
「王太子のウィントンだ。父上はどうか?!」
俺達の後ろからよろよろと歩み出て、声をかけたウィントン王太子に跪いていた物達は全員視線を床に落とした。
「毒であることは分かっておるのですが、その数ある解毒薬がどれも効きません。しかもずっと苦しまれて……」
目の前の床には獣のよな声を上げながらのたうち回る豪奢なマントのおっさんがいた。頭の上に乗ってキラキラ輝いていただろう金の王冠は部屋の隅まで吹っ飛んでひしゃげている。
喉を掻きむしり、白目を剥いて涎を垂らす。手も足もブルブルと震え、神経もだいぶ汚染されているのが分かるし、言葉を喋られないから舌も馬鹿になってるんだろうな。喉も肺も焼け爛れて空気が吸えないのかもしれない。毒を調合したシーハルトは国王が悶え苦しんで死んでいくのを愉悦に震えながら想像したんだろう、変態だな。
そこまで症状を確認して、左手を出す。
「現物」
「こちらです、凛莉師匠!」
「君?!」
影の一人が王が使っていた銀のカップを何の躊躇いもなく俺に差し出すので、医師達は驚いているが、まあ後でする言い訳でも考えておいて欲しい。
「黒変はしなかったんだな」
「はい、申し訳ございません」
純銀製のカップの内側を人差し指でなぞって、口に含む。舌の上に乗せて何の原料か判定する……あーそういう感じね、理解。かなり高価な物が使われていて、毒性値はかなり高い。相当な殺意と金額を以てこれを用意したんだろうな。ま、一国の王を殺そうっていうんだ半端な物は持って来ないか。
「凛莉……」
なんで赤い顔してこっち見てる?フロウライト。指を舐めた時舌でも出たか?
あと影共拝むのホントやめて。
「青54、赤12、黄色15。緑が10で紫が4、白が5」
「はひぃ!」
反応できたのはやっぱりサファイア君だけで、すぐに各種解毒薬が入った箱を開けて調合する。色は闇ギルドで用意している高度解毒薬セットだ。一般人は入手できないけど、王家の影達には卸してるよね?どうしたのかな~どうして使ってないのかなぁ?お仕置きかな~?
「これを鼻からぶっ込め」
「ほい」
「了解です!」
サファイア君が調合した解毒薬を影の一人に渡す。どことからもなく影達が湧いて来て国王の体を取り押さえて鼻から突っ込んだ。医師達はぎょっとしているし、騎士達は止めようとするけれど、それを上回る数の影達が来て、取り押さえてくれた。
「ごぼっ?!ぼぎゃ!ゲブグフッ」
変な音が上がったなぁ。王太子も目を白黒させてみているが、止めなかった……それで良い。結構な量を流し込んだ、次。
「赤と緑の配合を逆に。白を抜いて炭、石灰を3.2でさっきの三倍量」
「はひぃ!」
「こっちは口から全て突っ込め」
「了解ですっ」
体を押さえつけ、的確にぶち込まれる。息ができなくて苦しそうだが死ぬ前になんとかすれば良い。
「青、黒、紫を30づつ、下剤を10ケツにぶち込め」
「ひゃあい!」
「了解でありまぁーーす!」
「うぎゃーー!」
もう声出たな、良い配合だったなぁ流石俺。
「王太子、終わったぞ」
「ほ、本当ですか……?」
「さっき声が出たろう」
あと5分もほっとけば喉が焼けて永遠に声が出なくなったがな。喋れないと色々面倒だから何とかしといてやった。
「マ、マラカイト・リンリー!? 何で闇暗殺者のお前がここにっ! くそっ邪魔をするなーーっ」
近くに倒れていた恰幅のいい貴族が勢いよく飛びかかってくる。手には錐のような暗殺用の武器を手に持っているから、毒殺が失敗した時ように雇われている暗殺者なんだろう。いやもしかしてシーハルト本人か? あり得る~のたうち回り苦しんでいく奴を近くで見ようとする変態ならあり得るぞー!
俺を狙って飛び込んできたところで、俺は笑ってみていればいい。とても頑丈な白銀の壁に阻まれるだけだ。
「お前如きが口にしないで貰いたい。私の大切な人の名前を」
「なっ! 何故刺さらんっ」
殺人用の鋭い錐はフロウライトの手のひらで止められていた。哀れなことに錐はくしゃくしゃとひしゃげてこれではバーベキューのお肉も刺さらないだろうな。聖騎士の防御スキルはこんなもんじゃ突破できないからね。
「刺せると思った方が間違いだ。それと私がどこにいてもお前らに関係ないだろう」
「闇から出ぬ男が何故っ」
勝手に闇の住人にしないで欲しいな、俺は毎日お天道様の下を歩いてんのに。マークの格好でだけどね。
俺を刺そうとしてフロウライトに阻止された男はサファイア君に即気絶させられた後、奥歯の毒を回収されて地下牢に連行されて行った。ま、身元は俺が読んだ通りで後で闇ギルドに謝罪が来ていたよ。知らんけど。
ちょび髭を無視してフロウライトと国王に近づく。救護に当たっているのは騎士団、医者、影の者、まあ色々だ。全員手を尽くして、そして絶望した顔をしている。有効手段が見つからなかったのね。
「何者だっ」
「フロウライト・アイアンメイデン」
「王太子のウィントンだ。父上はどうか?!」
俺達の後ろからよろよろと歩み出て、声をかけたウィントン王太子に跪いていた物達は全員視線を床に落とした。
「毒であることは分かっておるのですが、その数ある解毒薬がどれも効きません。しかもずっと苦しまれて……」
目の前の床には獣のよな声を上げながらのたうち回る豪奢なマントのおっさんがいた。頭の上に乗ってキラキラ輝いていただろう金の王冠は部屋の隅まで吹っ飛んでひしゃげている。
喉を掻きむしり、白目を剥いて涎を垂らす。手も足もブルブルと震え、神経もだいぶ汚染されているのが分かるし、言葉を喋られないから舌も馬鹿になってるんだろうな。喉も肺も焼け爛れて空気が吸えないのかもしれない。毒を調合したシーハルトは国王が悶え苦しんで死んでいくのを愉悦に震えながら想像したんだろう、変態だな。
そこまで症状を確認して、左手を出す。
「現物」
「こちらです、凛莉師匠!」
「君?!」
影の一人が王が使っていた銀のカップを何の躊躇いもなく俺に差し出すので、医師達は驚いているが、まあ後でする言い訳でも考えておいて欲しい。
「黒変はしなかったんだな」
「はい、申し訳ございません」
純銀製のカップの内側を人差し指でなぞって、口に含む。舌の上に乗せて何の原料か判定する……あーそういう感じね、理解。かなり高価な物が使われていて、毒性値はかなり高い。相当な殺意と金額を以てこれを用意したんだろうな。ま、一国の王を殺そうっていうんだ半端な物は持って来ないか。
「凛莉……」
なんで赤い顔してこっち見てる?フロウライト。指を舐めた時舌でも出たか?
あと影共拝むのホントやめて。
「青54、赤12、黄色15。緑が10で紫が4、白が5」
「はひぃ!」
反応できたのはやっぱりサファイア君だけで、すぐに各種解毒薬が入った箱を開けて調合する。色は闇ギルドで用意している高度解毒薬セットだ。一般人は入手できないけど、王家の影達には卸してるよね?どうしたのかな~どうして使ってないのかなぁ?お仕置きかな~?
「これを鼻からぶっ込め」
「ほい」
「了解です!」
サファイア君が調合した解毒薬を影の一人に渡す。どことからもなく影達が湧いて来て国王の体を取り押さえて鼻から突っ込んだ。医師達はぎょっとしているし、騎士達は止めようとするけれど、それを上回る数の影達が来て、取り押さえてくれた。
「ごぼっ?!ぼぎゃ!ゲブグフッ」
変な音が上がったなぁ。王太子も目を白黒させてみているが、止めなかった……それで良い。結構な量を流し込んだ、次。
「赤と緑の配合を逆に。白を抜いて炭、石灰を3.2でさっきの三倍量」
「はひぃ!」
「こっちは口から全て突っ込め」
「了解ですっ」
体を押さえつけ、的確にぶち込まれる。息ができなくて苦しそうだが死ぬ前になんとかすれば良い。
「青、黒、紫を30づつ、下剤を10ケツにぶち込め」
「ひゃあい!」
「了解でありまぁーーす!」
「うぎゃーー!」
もう声出たな、良い配合だったなぁ流石俺。
「王太子、終わったぞ」
「ほ、本当ですか……?」
「さっき声が出たろう」
あと5分もほっとけば喉が焼けて永遠に声が出なくなったがな。喋れないと色々面倒だから何とかしといてやった。
「マ、マラカイト・リンリー!? 何で闇暗殺者のお前がここにっ! くそっ邪魔をするなーーっ」
近くに倒れていた恰幅のいい貴族が勢いよく飛びかかってくる。手には錐のような暗殺用の武器を手に持っているから、毒殺が失敗した時ように雇われている暗殺者なんだろう。いやもしかしてシーハルト本人か? あり得る~のたうち回り苦しんでいく奴を近くで見ようとする変態ならあり得るぞー!
俺を狙って飛び込んできたところで、俺は笑ってみていればいい。とても頑丈な白銀の壁に阻まれるだけだ。
「お前如きが口にしないで貰いたい。私の大切な人の名前を」
「なっ! 何故刺さらんっ」
殺人用の鋭い錐はフロウライトの手のひらで止められていた。哀れなことに錐はくしゃくしゃとひしゃげてこれではバーベキューのお肉も刺さらないだろうな。聖騎士の防御スキルはこんなもんじゃ突破できないからね。
「刺せると思った方が間違いだ。それと私がどこにいてもお前らに関係ないだろう」
「闇から出ぬ男が何故っ」
勝手に闇の住人にしないで欲しいな、俺は毎日お天道様の下を歩いてんのに。マークの格好でだけどね。
俺を刺そうとしてフロウライトに阻止された男はサファイア君に即気絶させられた後、奥歯の毒を回収されて地下牢に連行されて行った。ま、身元は俺が読んだ通りで後で闇ギルドに謝罪が来ていたよ。知らんけど。
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