【完結】闇暗殺者と入れ替わった社畜の俺を聖騎士様が離さない

72 お仕置きバニー

「こうね、両方の拳を握って、ゲンコツを作る。そしてそれを痛めつけたい相手のこめかみに当ててグリグリとする」
「痛い！痛いです、師匠！！　いたたたた！」
「そりゃ痛くなるようににやってるからね。パンツ返しなさい」
「それは嫌です……いたたたた！」

　しばらくグリグリしてもサファイア君は音を上げたなかった。

「あ、あの石頭が困ったり狼狽えたりすればいいんだーーっ！」
「やっぱりフロウライトを困らせる為にこんなことしたのか」
「師匠を泣かせるなんて許せないもんっ」
「私が泣かされるんだから半分は元に戻しなさい」
「ん？」
「あ」

　とりあえず会話を打ち切ってグリグリを追加しておく。

「痛い！痛いーー」
「変な下着ばっかり入れるからお仕置きです」

　この世界はゲームの世界だった。だからゲームあるあるの色んな物とのコラボなんかで元の世界の要素が取り入れられている異色な物があるのだ。その中でもちょっとそれは、と流石の俺でも言葉に詰まってしまうものがあったんだが……。
　日課の巡回を早目に切り上げて家に帰ると、フロウライトはタンスの中身を見分させてくれという。危険な物は入っていないはずなので了承すると、唸りながらいくつか広げて見せてきた。危険な物があったのか？

「り、凛莉……こ、これも君のものなのか……？」
「え？　なんだこれ……ウッ！！　う、うさ耳…‥ッ！？」
「こ、これは一体、何がどうなって？いや、分からん、何も分からんから、ちょっとどういうものか着てみて」

　真顔ですっと引き出されたボディスーツはなんの素材で作られているか分からんがツヤツヤでテカテカで黒い。そして白いウサギの耳がついているカチューシャ。何故。

「いやこれは断る。これは駄目だ……いくら凛莉師匠がかっこよくとも、バニースーツはいけない、それは駄目だ。それ以前に入る訳ないだろう？　そういうのは華奢な女性が身に着けるもの。こんな筋肉むちむちの……」
「でも君のタンスに入っていたし、かなり大きい。着れるのではないか？ちょっと着てみて……」
「いやいやいや……」

　と、いいつつ、バニーガール、いやバニーボーイ？な凛莉師匠は一体どんなことになるんだ？　とちょっと気になってしまってつい思わずノリと勢いで足を通してみたら物凄くジャストサイズで着れた訳で。まあここに置いて行ったのはサファイア君だろうから、彼は凛莉師匠の体のサイズを完全に把握済みだし、ジャストサイズに作れるってことも分かっているんだが……。

「こ、こうだと思うが……に、似合わない……よな？」

　ウサ耳を入れたら2メートル超えるんだぞ？　いやしかし、鏡に映った姿は割と……いける。不思議だ。おっぱいが筋肉で大きいからこう……いける、わあすごいや、流石だよ、凛莉師匠～。

「……」
「……？フロウ？　フロウライト？　どうした黙り込んで……まああれだ、男が着るものじゃないよ、すぐ脱ごう」
「そのままでっ！！」
「はぁ？　何をいって……うわっ」

　新調したベッドの上にそのまま押し倒されて、ゴリッゴリでガッチガチのアレを押し付けられて恐怖で喉がヒュッと鳴った。

「すごく、その、なんだ……すごく、良い」
「語彙、語彙が死んでる！」
「確か、給仕の服だったような……なんだその、すごく、良い……そのままで！」
「いや脱ぐ、すぐ脱ぐ」

　危険なモノはここにあったーーこのままではまた抱きつぶされてしまう！

「なんだ、すごく、すごい……ああ、尻尾？　兎だからか？一体どうなって」
「やめろ触るな揉むな！うわちょっと」
「一体どうなって……ん？これ、外れるのか……あっ」
「見つけるな！」

　なんの親切設計なのか股間の辺りにスナップボタンがあって開けれるんだよ！開けんな！！

「凛莉」
「あうぅ……お手柔らかにぃ」

　
　と、そんなことがあってサファイア君のこめかみグリグリに力を込めるのだった。