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ヒューバート殿下

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 私は急遽ヒューバート殿下と会うことになった。

 仰々しいのもなんなのでふたりでお茶会をしたのち、陛下と王妃様に謁見するらしい。

「義姉上、今日は来てくれてありがとう」

 義姉上か。ヒューバート殿下は穏やかな笑顔をむけてくれている。

「こちらこそ、お話の場を設けていただきましてありがとうございます」

 勧められたソファーに座り、メイドが淹れてくれたお茶をひと口飲んだ。

 美味しい~。

「殿下、とても美味しいですわ」

(良かった。義姉上をイメージしてブレンドしてもらったんだ。この度は兄上が申し訳ないことをしました。兄上に成り変わりお詫び申し上げます」

 いきなり頭を下げられたので驚いてしまう。

「頭を上げてください。ヒューバート殿下は何も悪くありませんわ」

「話を聞いた時、私は情けなかった。なぜ何年も一緒に過ごしている婚約者の義姉上を信じないで、あんな女の言うことを盲信したんだ。私にはあの女が嘘をついているとしか思えなかったのに」

「仕方ないですわ。フランシス殿下にとって私は信頼に値しない者だったのです。フランシス殿下はリネット嬢を信じ選んだ。それが全てです」

「あの女が嘘をついていたと立証され、兄上は廃嫡されました。あの女は平民に落とされました。実の母親も激怒していたようで、身元引受人になってくれなかったようです」

 そういえばライラ様から手紙が来ていた。

 お世話になった、おふたりを貶めるようなことをして申し訳ない。恩を仇で返すような娘は入りません。勘当すると。実の子なのに辛いだろう。

「ふたりは結婚できるのですか?」

「騙されていたと知り、兄上は失望と怒りでいっぱいのようです。結婚はないでしょう」

 そりゃ騙されたとわかったらショックよね。

「しかも、あの女は兄上にことなど好いてはいなかったそうで、義姉上から兄上を奪い、大公家の令嬢と認められた上で王太子妃になりたかったらしいです」

 やはり、自分の父親は元大公だと思い込んでいたのね。

「兄上達の話はこれくらいにして、ここから先は私達のこれからについてお話しましょう」

 ヒューバート殿下は私の手を握った。

「義姉上、いや、ユーファミア嬢、私と結婚して下さい。私は兄とは違う。ユーファミア嬢の言葉しか信じない。絶対に裏切ったりしない」

 凄い圧なんだけど、ヒューバート殿下ってこんなキャラだったっけ?

 お母様が生きてたらどうおっしゃるかな? ヒューバート殿下に嫁げてというかな? 

 あの時の占い師がひいた「最後に笑うのは私」のカード。

 これがそうなのかしら?

 確かにヒューバート殿下となら笑えるかもしれないな。

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