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領地に到着しました
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馬車に揺られるこたと8時間。私達はヒューレット侯爵領に入った。
そこは自然に囲まれたのんびりしたところだった。主な産業は農業で、酪農も盛んだそうだ。
「レティ、屋敷に着いたら美味しい果物が沢山あるよ。牛乳も美味しいからミルクティーを淹れてもらおうね」
私は馬車の中でずっとジークハルト様の膝の上に乗せられている。馬車酔いと危険を防ぐためらしい。
ジークハルト様は私の頭や頬を撫でながら楽しそうだ。領地の屋敷に着くまでずっと膝の上抱っこ状態なのだろうか? げんなりしてきたわ。
領地の山では金と魔石が採れるらしく、ヒューレット家はかなり潤っているようだ。ジークハルト様のおうちはお金持ちなんだと今更ながら驚いた。
一日中馬車に揺られ(と言ってもレティシアは半分以上寝ていたけど)やっと領地の屋敷に着いた。
私が馬車から、ジークハルト様に抱っこされたまま降りた。隣に停まっている馬車からは、ジークハルト様の父のクロードおじさま、母のアゼリアおばさま、妹達と見られる女の子ふたりと弟だと思われる男の子が降りてきた。
すぐにアゼリアおばさまがこちらに向かってきた。
「あら、また抱っこしてるの? いい加減に下ろしてあげなさい。そんなに執着していたらレティちゃんに嫌われるわよ」
ナイスおばさま!もっと言ってやって。私は心の中で絶賛した。
しかし、ジークハルト様は顔色ひとつ変えない。
「レティは僕のものですからほっといてください」
ジークハルト様の返事に私はがっくりした。私は私のものだ!
「じーくはるとさま、おろしてくださいませ。わたくしごあいさつをしたいです」
妹弟達との関係を良くする為に、ご家族にご挨拶をせねばならない。早く下ろしてほしくて、ジークハルト様にちょっと可愛い顔を作って、言ってみた。
「可愛い……」
ジークハルト様が呟く。私の可愛いおねだりは裏目に出たようだ。
クロードおじさまが私をジークハルト様から取り上げた。
「しつこい男は嫌われるぞ」
やった~!!
私はやっと地面に降りられた。
地面に降りた私の元に黒髪の美少女がかけ寄ってきた。
「レティシア様、はじめまして。ヒューレット侯爵家の長女のカトリーヌです。7歳よ。よろしくね」
「おはつにおめにかかります。くろむすこうしゃくけのちょうじょのれてぃしあでごさいます。3さいです。よろしくおねがいします」
ジークハルト様の妹のカトリーヌ様に挨拶をされたので、私もカーテシーをしてご挨拶をする。
「可愛い!!」
カトリーヌ様はそう叫んで私を抱きしめた。この家の兄妹は抱きしめるのが好きなのか? 苦笑いをしているとカトリーヌ様の後ろから私よりすこし大きいふたりが顔を出した。
「ほんとに可愛い!私も抱っこしたい!!」
双子のサンドラ様とアーサー様も私を抱っこしたいとせがむ。
「サンドラ、アーサー、ちゃんと挨拶しなさい」
ジークハルト様が妹のサンドラ様と弟のアーサー様に向かって寒~くなるほど冷ややかな声で言うと、サンドラ様はペロって舌を出した。
「サンドラです。5歳よ。よろしくね」
可愛い。私よりずっと可愛い。
「れてぃしあでございます」
「アーサーです。同じく5歳。僕らは双子なんだ。ほんとに可愛いなぁ」
「れてぃしあです」
今日3回目のカーテシーをしていた私はなにやら冷気を感じた。
「アーサーとは仲良くしなくていい」
アーサー様はジークハルト様から睨まれ凍りつきそうになっていた。
極寒には慣れているのだろうか、カトリーヌ様が再び私を抱きしめる。
「お兄様が人格変わるのもなんとなくわかるわ。こんなに可愛いんですものね」
カトリーヌ様も誉め殺しか?うんざりしてきた。私を褒めながらカトリーヌ様の話は続く。
「私達がレティシア様に会いたいと言ってもお兄様は全然会わせてくれなかったの。ほんとに独り占めするつもりだったんだわ」
サンドラ様とアーサー様も続く。
「ひどいわ。独り占めなんて。私もレティシア様と遊びたい」
「僕も一緒に遊びたい」
妹弟達の言葉を聞いていた私の身体がふわりと持ち上げられた。
「レティはお前達には渡さない。構わないでくれ」
ジークハルト様が私を抱き上げて屋敷に入っていく。この時間だけですっかり疲れてしまった。
私とジークハルト様が中に入るとおじい様とおばあ様らしき人が玄関ホールで待っていた。
「ジーク。いらっしゃい。その子はあなたの婚約者? 可愛いわね」
「ほんとだ可愛いな」
おじい様とおばあ様も誉め殺しか? この家族どうなってるんだろう。
ジークハルト様はふたりに挨拶をする。
「おじい様、おばあ様、お久しぶりです。婚約者のレティシア・クロムス侯爵令嬢です。夏の間お世話になります。よろしくお願いします」
ジークハルト様が紹介したので、抱っこされたままレティシアは挨拶をする。
「はじめましてれてぃしあ・くろむすでございます。こんなかっこうでしつれいします。おせわになります。よろしくおねがいします」
「まぁ、小さいのにちゃんとご挨拶できるのね。可愛い上に賢いわ」
おばあ様、こんな挨拶、誰でもできますわと心の中で叫ぶ。
私はこの誉め殺し家族にちょっとげんなりした。
そこは自然に囲まれたのんびりしたところだった。主な産業は農業で、酪農も盛んだそうだ。
「レティ、屋敷に着いたら美味しい果物が沢山あるよ。牛乳も美味しいからミルクティーを淹れてもらおうね」
私は馬車の中でずっとジークハルト様の膝の上に乗せられている。馬車酔いと危険を防ぐためらしい。
ジークハルト様は私の頭や頬を撫でながら楽しそうだ。領地の屋敷に着くまでずっと膝の上抱っこ状態なのだろうか? げんなりしてきたわ。
領地の山では金と魔石が採れるらしく、ヒューレット家はかなり潤っているようだ。ジークハルト様のおうちはお金持ちなんだと今更ながら驚いた。
一日中馬車に揺られ(と言ってもレティシアは半分以上寝ていたけど)やっと領地の屋敷に着いた。
私が馬車から、ジークハルト様に抱っこされたまま降りた。隣に停まっている馬車からは、ジークハルト様の父のクロードおじさま、母のアゼリアおばさま、妹達と見られる女の子ふたりと弟だと思われる男の子が降りてきた。
すぐにアゼリアおばさまがこちらに向かってきた。
「あら、また抱っこしてるの? いい加減に下ろしてあげなさい。そんなに執着していたらレティちゃんに嫌われるわよ」
ナイスおばさま!もっと言ってやって。私は心の中で絶賛した。
しかし、ジークハルト様は顔色ひとつ変えない。
「レティは僕のものですからほっといてください」
ジークハルト様の返事に私はがっくりした。私は私のものだ!
「じーくはるとさま、おろしてくださいませ。わたくしごあいさつをしたいです」
妹弟達との関係を良くする為に、ご家族にご挨拶をせねばならない。早く下ろしてほしくて、ジークハルト様にちょっと可愛い顔を作って、言ってみた。
「可愛い……」
ジークハルト様が呟く。私の可愛いおねだりは裏目に出たようだ。
クロードおじさまが私をジークハルト様から取り上げた。
「しつこい男は嫌われるぞ」
やった~!!
私はやっと地面に降りられた。
地面に降りた私の元に黒髪の美少女がかけ寄ってきた。
「レティシア様、はじめまして。ヒューレット侯爵家の長女のカトリーヌです。7歳よ。よろしくね」
「おはつにおめにかかります。くろむすこうしゃくけのちょうじょのれてぃしあでごさいます。3さいです。よろしくおねがいします」
ジークハルト様の妹のカトリーヌ様に挨拶をされたので、私もカーテシーをしてご挨拶をする。
「可愛い!!」
カトリーヌ様はそう叫んで私を抱きしめた。この家の兄妹は抱きしめるのが好きなのか? 苦笑いをしているとカトリーヌ様の後ろから私よりすこし大きいふたりが顔を出した。
「ほんとに可愛い!私も抱っこしたい!!」
双子のサンドラ様とアーサー様も私を抱っこしたいとせがむ。
「サンドラ、アーサー、ちゃんと挨拶しなさい」
ジークハルト様が妹のサンドラ様と弟のアーサー様に向かって寒~くなるほど冷ややかな声で言うと、サンドラ様はペロって舌を出した。
「サンドラです。5歳よ。よろしくね」
可愛い。私よりずっと可愛い。
「れてぃしあでございます」
「アーサーです。同じく5歳。僕らは双子なんだ。ほんとに可愛いなぁ」
「れてぃしあです」
今日3回目のカーテシーをしていた私はなにやら冷気を感じた。
「アーサーとは仲良くしなくていい」
アーサー様はジークハルト様から睨まれ凍りつきそうになっていた。
極寒には慣れているのだろうか、カトリーヌ様が再び私を抱きしめる。
「お兄様が人格変わるのもなんとなくわかるわ。こんなに可愛いんですものね」
カトリーヌ様も誉め殺しか?うんざりしてきた。私を褒めながらカトリーヌ様の話は続く。
「私達がレティシア様に会いたいと言ってもお兄様は全然会わせてくれなかったの。ほんとに独り占めするつもりだったんだわ」
サンドラ様とアーサー様も続く。
「ひどいわ。独り占めなんて。私もレティシア様と遊びたい」
「僕も一緒に遊びたい」
妹弟達の言葉を聞いていた私の身体がふわりと持ち上げられた。
「レティはお前達には渡さない。構わないでくれ」
ジークハルト様が私を抱き上げて屋敷に入っていく。この時間だけですっかり疲れてしまった。
私とジークハルト様が中に入るとおじい様とおばあ様らしき人が玄関ホールで待っていた。
「ジーク。いらっしゃい。その子はあなたの婚約者? 可愛いわね」
「ほんとだ可愛いな」
おじい様とおばあ様も誉め殺しか? この家族どうなってるんだろう。
ジークハルト様はふたりに挨拶をする。
「おじい様、おばあ様、お久しぶりです。婚約者のレティシア・クロムス侯爵令嬢です。夏の間お世話になります。よろしくお願いします」
ジークハルト様が紹介したので、抱っこされたままレティシアは挨拶をする。
「はじめましてれてぃしあ・くろむすでございます。こんなかっこうでしつれいします。おせわになります。よろしくおねがいします」
「まぁ、小さいのにちゃんとご挨拶できるのね。可愛い上に賢いわ」
おばあ様、こんな挨拶、誰でもできますわと心の中で叫ぶ。
私はこの誉め殺し家族にちょっとげんなりした。
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