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お茶会
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「それでドレスはまだ決まらないの?」
「はい。みんな希望があるようで、なかなか」
「みんな希望って、あなたのドレスなのに?」
「私の希望は伝えてます。それ以外はデザイナーさんにお任せしたのですが、あちこちから色々言われているようでデザイナーさんも大変みたいです」
私はエリーゼ様と瞬間移動で飛んできたジュリエッタ様の3人でお茶会中だ。
結局、私が諦めて16歳になる前に結婚式が行われる事になったのだが、ウエディングドレスのデザインがなかなか決まらない。
なぜかと言うと、色々な人がウエディングドレスに口出ししているからだ。
ジークハルト様はもちろんなのだが、ジークハルト様のお母様、我が母、なぜかカリーナ様、リーナ様、その上、ユアン殿下とアラン様まで参戦している。
私の希望は“コルセットで締め付けないもの“それだけ。
「ごめんなさいね。ユアン様まで参加してしまって。
あの人なぜかジーク様とレティシア様のことが大好きで神子のウエディングドレスは王家が贈りたいとか言い出してしまってね。
気持ちとお金だけ出せばいいのにデザインにまで口出したみたいで。本当にごめんなさい」
エリーゼ様は本当に申し訳なさそうに頭を下げた。
「頭を上げて下さい。私は全然大変じゃないので大丈夫ですよ」
「そうね。大変なのはデザイナーさんよね。みんな身分の高い人ばかりだから余計収拾がつかないわよね」
ジュリエッタ様はケラケラ笑う。
確かにデザイナーさんは大変だろう。
「もう、女神スパリーナに任せればいいのではないかしら? 女神スパリーナが決めれば誰も文句は言わないでしょ? あっ、あの人は言うかしらね?」
「言うかもしれませんわね。あの人は神であろうが、王家であろうが関係ないですものね」
あの人とは間違いなくジークハルト様のことだろう。
「レティシア様が“女神スパリーナにお任せします”とおっしゃればよろしいのではなくて? レティシア様の言葉なら聞くかもしれませんわ」
確かにそうかもしれない。
女神スパリーナの神子と王弟殿下の子息の結婚式なので、大聖堂でやるそうだ。
ユアン殿下の指揮のもと準備はすすんでいる。
さすがに馬車でのパレードは辞退した。当日はクラウディア様が祝福の魔法を披露して下さるらしい。
リーナ様率いる聖女軍団も何やら披露してくれるようだ。
正直なところ、ウエディングドレスなんてどうでもいい。
私は変わっているのか? ドレスや宝石には興味がない。なのでなんでもいいのである。できれば結婚式ももっと地味で簡素でいいのだけれど、そういうわけにもいかないらしい。
「でも、留学した頃はこんな風になるとは思いませんでしたね」
「ほんと。私は願いが叶ったけれど、レティシア様はこれでよかったの?」
エリーゼ様は私の顔を覗き込む。
「レティシア様は逃げられませんよ。それにジーク様から奪い取れる人なんて皆無だと思いますわ」
ジュリエッタ様はずっと笑っている。
確かにそんなチャレンジャーはいないだろう。
「そういえばユーフラナ国の王女のジーク様と結婚してあげる事件もありましたね」
「あぁ、あの王女にはみんな怒っていましたわね。リーナ様は聖女様方を全て引き上げるし、アラン様はもうユーフラナ国から手を引くと言うし、でもまぁ上手く収まってよかったですわ。ユーフラナ国も頑張っていますものね」
エリーゼ様が扇で口元を隠しふふふと笑う。
「ジーク様と結婚したいからレティシア様を投獄しようなんて、怖いもの知らずですね」
「本当にそうですわ。ジーク様の怖さを知らなかったのですね」
ふたりはヒートアップしている。まるでジークハルト様は魔王のような言われ方だ。まぁ、魔王感はあるけれど。
「そうそう、エリーゼ様、セシルに誰かいい人いませんかね?
私とリック様もセシルのお父上から頼まれたのですが、ランソプラズム国のちょうどいい令嬢はみんな婚約者がいるのですよ。
セシルはスパリーナ国で働いているし、こちらの令嬢の方がいいかと思うのですが……」
リック様には様付けなのにセシル様は呼び捨てなのね。
「そうなのですね。私はてっきりジュリエッタ様はセシル様と結ばれると思っておりましたのよ」
「え~! 無いですよ。セシルはいい人だけど恋愛感情は湧きません。年上だけど弟みたいなもんですわ」
ジュリエッタ様がはっきり言った。
「カトリーヌ様はどうかしら? まだ婚約者がいないと思いますが」
「無理でしょう。カトリーヌ様はカリーナ様の護衛騎士だし、お気に入りです。もっと素敵な人でなければカリーナ様がお許しにならないと思いますよ」
セシル様は素敵じゃないのか? ジュリエッタ様はやっぱり笑っている。
「難しいですわね。ユアン殿下にも聞いておきますわ。それにしてもレティシア様のドレスどうなるんでしょうね?」
また話はふりだしに戻った。
3人のお茶会はいつもジークハルト様の狭量さにはじまり、セシル様はのお嫁さん探しになる。美味しいお茶とスイーツであっという間忙しい3人の憩いの時間は過ぎていく。
「次のお茶会はレティシア様の結婚式のあとかしらね? その時にはセシル様のお相手がきまっているといいですわね」
「そうですわね。では、そろそろお開きにいたしましょうか?」
「はい。ではまた。ごきげんよう」
「はい。みんな希望があるようで、なかなか」
「みんな希望って、あなたのドレスなのに?」
「私の希望は伝えてます。それ以外はデザイナーさんにお任せしたのですが、あちこちから色々言われているようでデザイナーさんも大変みたいです」
私はエリーゼ様と瞬間移動で飛んできたジュリエッタ様の3人でお茶会中だ。
結局、私が諦めて16歳になる前に結婚式が行われる事になったのだが、ウエディングドレスのデザインがなかなか決まらない。
なぜかと言うと、色々な人がウエディングドレスに口出ししているからだ。
ジークハルト様はもちろんなのだが、ジークハルト様のお母様、我が母、なぜかカリーナ様、リーナ様、その上、ユアン殿下とアラン様まで参戦している。
私の希望は“コルセットで締め付けないもの“それだけ。
「ごめんなさいね。ユアン様まで参加してしまって。
あの人なぜかジーク様とレティシア様のことが大好きで神子のウエディングドレスは王家が贈りたいとか言い出してしまってね。
気持ちとお金だけ出せばいいのにデザインにまで口出したみたいで。本当にごめんなさい」
エリーゼ様は本当に申し訳なさそうに頭を下げた。
「頭を上げて下さい。私は全然大変じゃないので大丈夫ですよ」
「そうね。大変なのはデザイナーさんよね。みんな身分の高い人ばかりだから余計収拾がつかないわよね」
ジュリエッタ様はケラケラ笑う。
確かにデザイナーさんは大変だろう。
「もう、女神スパリーナに任せればいいのではないかしら? 女神スパリーナが決めれば誰も文句は言わないでしょ? あっ、あの人は言うかしらね?」
「言うかもしれませんわね。あの人は神であろうが、王家であろうが関係ないですものね」
あの人とは間違いなくジークハルト様のことだろう。
「レティシア様が“女神スパリーナにお任せします”とおっしゃればよろしいのではなくて? レティシア様の言葉なら聞くかもしれませんわ」
確かにそうかもしれない。
女神スパリーナの神子と王弟殿下の子息の結婚式なので、大聖堂でやるそうだ。
ユアン殿下の指揮のもと準備はすすんでいる。
さすがに馬車でのパレードは辞退した。当日はクラウディア様が祝福の魔法を披露して下さるらしい。
リーナ様率いる聖女軍団も何やら披露してくれるようだ。
正直なところ、ウエディングドレスなんてどうでもいい。
私は変わっているのか? ドレスや宝石には興味がない。なのでなんでもいいのである。できれば結婚式ももっと地味で簡素でいいのだけれど、そういうわけにもいかないらしい。
「でも、留学した頃はこんな風になるとは思いませんでしたね」
「ほんと。私は願いが叶ったけれど、レティシア様はこれでよかったの?」
エリーゼ様は私の顔を覗き込む。
「レティシア様は逃げられませんよ。それにジーク様から奪い取れる人なんて皆無だと思いますわ」
ジュリエッタ様はずっと笑っている。
確かにそんなチャレンジャーはいないだろう。
「そういえばユーフラナ国の王女のジーク様と結婚してあげる事件もありましたね」
「あぁ、あの王女にはみんな怒っていましたわね。リーナ様は聖女様方を全て引き上げるし、アラン様はもうユーフラナ国から手を引くと言うし、でもまぁ上手く収まってよかったですわ。ユーフラナ国も頑張っていますものね」
エリーゼ様が扇で口元を隠しふふふと笑う。
「ジーク様と結婚したいからレティシア様を投獄しようなんて、怖いもの知らずですね」
「本当にそうですわ。ジーク様の怖さを知らなかったのですね」
ふたりはヒートアップしている。まるでジークハルト様は魔王のような言われ方だ。まぁ、魔王感はあるけれど。
「そうそう、エリーゼ様、セシルに誰かいい人いませんかね?
私とリック様もセシルのお父上から頼まれたのですが、ランソプラズム国のちょうどいい令嬢はみんな婚約者がいるのですよ。
セシルはスパリーナ国で働いているし、こちらの令嬢の方がいいかと思うのですが……」
リック様には様付けなのにセシル様は呼び捨てなのね。
「そうなのですね。私はてっきりジュリエッタ様はセシル様と結ばれると思っておりましたのよ」
「え~! 無いですよ。セシルはいい人だけど恋愛感情は湧きません。年上だけど弟みたいなもんですわ」
ジュリエッタ様がはっきり言った。
「カトリーヌ様はどうかしら? まだ婚約者がいないと思いますが」
「無理でしょう。カトリーヌ様はカリーナ様の護衛騎士だし、お気に入りです。もっと素敵な人でなければカリーナ様がお許しにならないと思いますよ」
セシル様は素敵じゃないのか? ジュリエッタ様はやっぱり笑っている。
「難しいですわね。ユアン殿下にも聞いておきますわ。それにしてもレティシア様のドレスどうなるんでしょうね?」
また話はふりだしに戻った。
3人のお茶会はいつもジークハルト様の狭量さにはじまり、セシル様はのお嫁さん探しになる。美味しいお茶とスイーツであっという間忙しい3人の憩いの時間は過ぎていく。
「次のお茶会はレティシア様の結婚式のあとかしらね? その時にはセシル様のお相手がきまっているといいですわね」
「そうですわね。では、そろそろお開きにいたしましょうか?」
「はい。ではまた。ごきげんよう」
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