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落ちる

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「…私はあなたの〈つがい〉ですか?」

俯いたまま顔を上げてくれないイグニスさんに黒い霧がまとわりつき、このまま飲み込まれてしまいそうに見えるが構わず続ける。
今はその方がいい気がする。

「私はあなたの事は好きだと思います。
どの様な形の好きかはまだはっきりわかりません。友愛、親愛、敬愛かもしれないけど…それでもいいなら」

イグニスさんの肩が微かに揺れ
顔がゆっくり上がった。

「もう一度最初っから始めてみませんか?」

暗い瞳に心配になるんだけど

「イグニスさん?」

「・・・・・チャンスをくれるんですか?」

黒い霧がまるで生きているかの様に蠢き始めた。

まるで…生きてるみたいなんだけど

「とりあえず、その黒いの怖いのでしまって下さい。」

世界が震える。

『…ケルナ!フザケルナ!俺ノ、俺ダケノ〈つがい〉ダ!セッカク!セッカク!セッカク‼︎オ前ノ身体ヲ奪エナイナラ‼︎』

えっ?っと思った瞬間イグニスさんの黒い霧が喚きながら私に向かってくる。包み込む様に押されて、地面があったはずなのに足を踏み外した⁈

⁈⁈⁈
落 ち た ?
ゆっくり落ちていく
まるで黒い影に後ろに押されているかの様にゆっくり今までいた世界から離されていく


『オ前ノ〈つがい〉ハ俺ダー‼︎』


イグニスさんの顔が…

強面のくせに泣きそうな顔しちゃって…

あんな顔させたくないのに…

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