悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ

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学園編

24.続・私は保護観察中…

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「考査自体はちゃんと受けろよ?」
 パトリックが胡散臭いものを見る目で見てくる!
「受けますよ! それまでサボったりしたら、実家に連絡が行ってしまいますから」
「ならいいが。クリスが『ミーシャ』が授業をサボりすぎているのを、気にしてたんだよ」
「え、な、なんで殿下が??」

 昼食時、私は旧図書室と講堂の裏にある人気の無い小さな庭――。
 保護観察中の面談義務のように、私はパトリックへ状況報告をしていた。パトリックに対する「悪いことはしていません!」という報告と、「私の思考回路、安定していますかね?」という確認も込めて、これはちょっと外せないルーティンだ。

 その最中、パトリックの口から出てきた、クリストフ殿下が私のサボりを気にしているような台詞が気がかりだ。
 パトリックには報告しているが、私は学園に通いながらも家庭教師のバイトは続けているのだ。マリーの孤児院への寄付金を稼ぐためにも、辞めるわけにはいかない。貧民保護に関する法律が変わるまでは。

「お前さあ……」
「パトリックの協力は必要ありませんので!」

 私が寄付金を稼ぐために、中流階級者相手に商売のようなことを始めてからしばらくして、パトリックから援助の申し出を受けたことがある。断固拒否する。これは、私の贖罪でもあるのだし、彼は彼で大変なこともあるかもしれないし。
 それに……パトリックに、マリー・トーマンに対する執着が増えるようなことは、あまりしてほしくない。

 ――報われないつらさが、増すだけかもしれないから。


「頑固だよな、お前……。まあ、お前は地頭がよく出来てるからな。今更勤勉にならなくとも、問題無いだろうさ」
 パトリックの疲れたような表情が気にかかる。彼はいつも一人で抱え込むから、吐かせなければ!
 ・
 ・
 ・
「マリー・トーマンの勉強が芳しくないんですか?! あれ? あの、彼女の天賦てんぷの才はどこへ?!」
 ――彼女の入学が許されたのは、その才能あってのことだったはず!
「……お前、人をつかみかかる癖なんとかならんのか」
「…………モウシワケゴザイマセンデシタ」


 ええっと――――マリー・トーマンに勉強を教えてくれと頼まれたのは、実は一度や二度ではない。ここ一月の間は、殿下との親交を深めてもらうためにもお断りしていた。
 その間、著しい成長が見られなかったのだとしたら、結果は推して知るべし。

「でも、おかしくありませんか? 前回、彼女は首位が取れたのは一つだけでしたけど、上位十位以内には入っていたではありませんか? 優秀だから、学園へ入学を果たしたのでしょう?」
「そうなんだがなぁ……」
「……勉強に集中できない状況に置かれているとか……でしょうか。彼女は素直に打ち明けたりはしないでしょうから、彼女のルームメイトに聞いてみます」

 パトリックからの反応がなかったため、不思議に思い彼を見上げると――彼は、なんとも形容しがたい様子で、こちらの様子を窺っていた。責めているわけではなさそうだ。驚いているわけでもなさそう。感心しているわけでも、面白がっているわけでもない。……なんだろう?
「あの……パトリック?」

「なんでもねーよ。あ……」
「どうかしましたか? パトリッ――」

 パトリックが反応を見せた。私から視線をそらして、思わずといったように。つられるように彼の視線の先を見る。



 マリー・トーマンとクリストフ殿下がいた。

 二人は穏やかに微笑みながら、常識的な節度をもって共に歩いている。日本の高校だったら普通に、礼儀正しい先輩後輩の関係にさえ見える光景だ。でも、ここは日本じゃない。そんなことをしてしまえば、につけ込まれてしまう。

 私やパトリックが物陰から二人の姿を見つけてしまったように、隠れることのない二人は多くの視線にさらされている。貴族の子息令嬢が多く通うこの学園で、この光景を好意的に見る者はまずいない。よくて興味本位、大抵は『貧民風情が王族に取り入ろうとするなんて!』というもの。かつての己もそうだったのだから、よく分かる。

 しかし、過去の私は前期の修了考査が終わるまで彼女の存在には気づきもしなかった。ということは今回は、前回よりも早く二人の仲が深まっているということ?!
 それは――――……。

「仲良くやってるみてぇだな」


 パトリックはそれで…………本当に、いいの?






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