私は聖女ではないですか。じゃあ勝手にするので放っといてください。

アーエル

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最終章

第724話

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「ピピン?」
「もう大丈夫です、ね?」
《 うん、アルマンの中から微かに感じていた『黒い影』も感じない 》

ピピンの言葉に、水の妖精みぃちゃんがアルマンさんの後ろから顔を出して同意する。アルマンさんは驚いているけど、さっき説明していた『失敗したら次に予定していること』を思い出したのか、優しい眼差しで水の妖精みぃちゃんをみつめる。

《 もう、大丈夫だよ。アルマンも、アルマンの家族も 》

地の妖精ちぃちゃんがピピンの背後から現れて肩に座る。

地の妖精ちぃちゃん、どういうこと?」
《 だって、アルマンの家族には【旧シメオン国の血を受け継ぐ者】がないもん 》
「あれは長子が継ぐもの。シルキーがでしょう?」

信仰や加護の仕組みを知った事件。あれはシルキーがもつ『ゆがんだ加護』が発端ほったんだったっけ。

「じゃあ、なに? アルマンさんの家族には先祖の影響はないってこと?」

私の言葉にピピンたちは頷く。

「それは……いま俺から取り除かれたことで……」
「完全に影響はなくなりました」
《 まあ、ほかの旧シメオン国の移民の中には影響が出ていたんだと思うけど。その国の信仰に縋っていたから…… 》

水の妖精みぃちゃんの気遣わしげな視線に、アルマンさんの表情筋が痙攣を起こしている。

「さっさと信仰に縋ればよかった、ということ?」
《 ということ 》

普通に考えれば、つらいなら神に縋る。身近な一神いっしん一心いっしんに。信仰のキッカケなんてそんなものから始まる。

「すでに認識されなくなった神に縋る人はいないよね~」

それも『美しさを求める信仰』は生活に根付かない。信仰は生活と共にあるものだから。

ただ、アルマンさんの血族は事情が違った。一国の王に継がれた旧シメオン国の血。になっていたのだ。そんな王族が神と同等かそれ以上の立場だと思い込んだ結果が……

「俺の親父だ」
「神に罰を受けたのに謝罪しなかったんだよね」

それは結果として国の滅亡に繋がった。

「これだって、旧シメオン国と同じくナナシに関わった国として神に滅ぼされた?」

私の言葉にアルマンさんが固い表情のまま頷いた。

旧シメオン国のように、国民全員が流民るみんにされなかったのは、ナナシの血は国王とアルマンさんにのみに継がれていたから。そしてアルマンさんは流民るみんといかなくても、冒険者として国を渡り歩いている。

「前国王は狂死だったようですね」

ピピンの言葉にアルマンさんは静かに首を左右に振る。最期を知らないからだ。

「最後の数年は奇声を上げていたらしい。俺がいた頃は軽い幻聴が聞こえる程度だったらしいが……」
「その頃、アルマンは幻聴に悩まされることはなかったのですか?」
「……幻聴、というのか。誰かの声が聞こえた気がした、という程度だ。それもハッキリとした声ではなかったから、通りかかった誰かの会話が少し届いたのだろう、と思っていた」

その頃はまだ父親が生きていたからだろう。幻聴がハッキリ聞こえるようになったのは、アルマンさんの父親が亡くなった時期と重なる。

「ほかにもナナシの信仰を血の中に残した人が生きているかもね」
「まだいるというのですか?」
「…………」

言いたくもないけど、まだ確定したことではない。
だから肯定も否定もしない私を、みんなが心配そうに見ていた。
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