Another World

Kishiru

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第一章

拳闘

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俺のパンチは冴えていた。
ジャブを数回、叩き込む。
何発かはかわされたが、ダメージは与えているようで、相手の男はよろめく。
続いて、左ストレート。
俺の華麗な拳に、観客から大きな声があがる。
「逃げろ!」
敵のセコンドの叫び声。
逃がすか!
渾身の力をこめたアッパーは、男の顎を的確にとらえる。
「かがむんだ!」
セコンドが再び叫ぶ。
させるか!
俺は両足で男を蹴り飛ばす。
地面に倒れこんだ男を見下ろし、俺は両腕をあげた。


地面にはいつくばった若い男は、先輩の飼育員に引きずられるように、カンガルーから離された。


「カンガルーのオスには、特に気をつけろっていったろ?」
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