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本編

82. 野獣は静かに暮らしたい。 **

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「あぁっあっあっ…ん、や……もっ……!」

フェリクスの腿まで伝うほどに溢れているリィナの体液が、ぐちゅぐちゅと水音を響かせる。
大きく開かされた足と自身の重みで奥深くを突かれ続けたリィナは、どこかに飛んで行ってしまいそうな感覚を覚えて必死でフェリクスに抱き着く。

「も、だめ……ふぇるさま……も、おくだめぇ……!」

ぽろぽろと涙を零しながら善がるリィナに、フェリクスは意地悪くリィナの身体を前後に揺さぶって、腰を回して、リィナの中を掻き回す。

「やぁっ……い、ちゃ……!!」

フェリクスに胸を押し付ける様に背を反らせたリィナの中から、また透明な液体が溢れてフェリクスの腿を濡らしていく。

「っリィナ、一度出すぞ」

くたりとフェリクスの肩にしな垂れかかっているリィナの耳元で囁けば、ひくんと中が先に反応をして、そしてリィナが小さく頷く。
フェリクスはうねっているリィナの中に誘われるまま、リィナの最奥に白濁を放った。

どくどくと注がれていた熱を受け止めたリィナの耳元で、はぁっと熱い吐息が落とされる。
けれど全て受け止めたはずの白濁がとろりと流れ出ていくのを感じて、リィナは小さく身体を震わせた。

「ん、や……でちゃ、だめ……」

小さく身体を捩るリィナの頬に口付けて、フェリクスはリィナを抱え直す。

「心配しなくて、まだまだ注いでやる──朝まで寝かさねぇって、言っただろ?」
「……ん」

小さく頷いたリィナの鼻先に口付けて、フェリクスはどうする?とリィナの瞳を覗き込む。

「もっかいこのままするか?それとも、ベッドに戻るか?」

とろり、とまた零れ落ちていく白濁に、リィナは小さく首を振る。

「ベッドがいい……です……」

分かったと頬に口付けて、フェリクスはそのまま歩き始める。
まだ挿ったまま歩かれて、振動で擦られて、や、と小さく身を捩ったリィナはフェリクスに暴れんな、落ちるぞと言われて、結局ぎゅうっと抱きついて甘い息を零すことしか出来なかった。

ベッドに戻って、1度も離れることの無いまま再び快楽の海に引きずり込まれたリィナは、この晩数えられないくらい達かされて、たくさんの熱を注がれた。
意識が沈みそうになる度に揺さぶられて、優しく、激しく、波間で揺れる葉っぱみたいに翻弄され続けて──

そうして窓の外が白み始めた頃、リィナは完全に意識を手放した。



❊❊❊❊❊ ✽ ❊❊❊❊❊

野獣と言われるヴァルデマン伯爵と、幻とまで言われているデルフィーヌ侯爵の愛娘との婚姻は、瞬く間に社交界の噂になった。

当初フェリクスが心配していた通りに、一目見て気に入った侯爵令嬢を野獣が無理やり拐かしたのではないかだとか、野獣が人の善いデルフィーヌ侯爵を騙したのではないかだとか、フェリクス自身は勿論の事、リィナ本人にもデルフィーヌ侯爵家にも不名誉な噂が飛び交った。
同時にフェリクスが騎士団入りした事、指南役などと言う役目を担う事になった事も相まって、ある事ない事、よく出てくるものだと言うくらいに、それはもう色々と囁かれた。

けれどデルフィーヌ侯爵夫妻が仲の良い人達に漏らす娘婿自慢や、ヴァルデマン伯爵領の『鍛錬所』で指導を受けた騎士達からの評判が広まるにつれ、噂話は少しずつ落ち着いて行った。


そうして誓約式からおよそ半年後に行われた国王陛下の生誕祝賀会──全ての貴族が集まるその場で、初めて公の場に姿を見せた2人に、当然の様に視線が集中した。
野獣伯爵の隣で怯えも憂いもなく幸せそうに微笑んでいる少女と、その少女に顔を向けた時だけ僅かに緩められる野獣伯爵の表情を目の当たりにした貴族達は、ヒソヒソと囁きあっていたはずの言葉を飲み込んだ。

更に国王夫妻への挨拶の場では、普段ツンと澄ましてせいぜい軽く微笑む程度の王妃が声を上げて伯爵夫人を抱き締めるという一幕まであった。
慌てたように王妃の腕から妻を取り返して自分の腕の中に閉じ込めた野獣伯爵と、その腕の中で自身の腹を愛おしそうに撫でながら国王夫妻に向かって蕩けるような微笑みを浮かべている伯爵夫人の姿に、貴族達は完全に口を噤んだ。


同じ頃、市井の人々の誓約式で少しずつ流行り始めている事があった。
ヴァルデマン伯爵領と商いをしている商人からの噂が元となったそれは、隣国の風習を誓約式の中に取り入れたもので、夫婦となる2人が互いに装飾品を贈り合うというもの。
更に誓約式後には夫婦となった2人に色とりどりの花びらを降らせて祝福するというもの。

そしてそれは数年後には国の中ですっかりと定番化されて、市井の人々に限らず貴族の間にも広まる事となる。
花びらを降らせるのは2人の人生に色とりどりの喜びが降り積もりますように、と──つまるところ、子宝に恵まれて賑やかで幸せな家庭になりますように、という祈りを込めてのもの、などという理由までくっつけられた。

図らずも流行の発信元となってしまったヴァルデマン伯爵が頭を抱えて悶絶していた、という事を知っているのは、ごく身近な人達だけであった。


更には領主様大好きでついでに商魂もたくましかった町の人達によって積極的に伯爵夫妻の仲の良さと共に宣伝された事で、やはり数年後にはヴァルデマン伯爵領は『訪れると幸せになれる町』として、若い世代に人気の観光地となっていくのだけれど──

その観光地化も、伯爵本人がやめろふざけんな俺は静かに暮らしてーんだと叫んでいた為に、
噂に便乗して隣の領地にまたがる湖の畔に若い女性が好みそうな宿屋を建てる許可証を持ってきた主人に「そんな恥ずかしいもんで商売すんな!」と許可印を押さなかったり、
「何だかわざわざ挙式だけしにくるご夫婦が多いのでこの機に教会もばーんとおしゃれでステキな感じに建て替えませんか」と言った神父を「ふざけんな煩悩塗れの似非聖職者か」と一蹴したり、
「あの荷馬車で町を周るやつ、観光馬車にして儲けらんないかな」と提案した屋敷の馬番を、「この町に見るとこなんてねーだろ阿保か」と流したり、
「もういっそ月1とかで騎士団鍛錬所の公開訓練日とか作ったらどーよ、屋台とか出したりしちゃって祭りっぽくしてさ」なんて言い出した料理人に、「騎士も訓練も見せもんじゃねーだろ馬鹿が」と鉄拳を飛ばしたりと、
ことごとく握り潰されそうになっていた色々な案件を、伯爵が不在の間に優秀な補佐官が「領地にとっても民にとっても、お金はとても大事ですからね」と微笑みながら領主代行権限をもってしれーっと全て許可を出してしまったおかげだというのを知っているのも、伯爵に近しい人達だけであった。




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次回で最終回なので、かなりどうでも良い情報を置いておきます。
↓の冒頭10文字を読んで「あ…( ˙꒳˙  )スン」てなった方はスルーして下さいw


✻夫婦初夜のお品書き✻

正常位→立ちバックからの背面駅弁しようとして拒否られたので駅弁→ベッド戻ってもっかい正常位

正常位でも足の持ち上げ方とか色々あるし、他にもバックも背面座位も側位も対面座位も色々やらされて、この晩リィナさん割と大変でした。
翌日はさすがに動けませんでしたが、また夜に啼かされました、を2、3夜連続させられた事でしょう。
フェリクスは昼間はちゃんと指南役してます。体力馬鹿なので。

ちなみにリィナは吊り橋(正常位の腰が浮いちゃうやつ)と対面座位がお好き、という設定。
フェリクスは騎乗位して欲しいけど、リィナが恥ずかしがってダメだからすぐにリィナが好きな座位に切り替えちゃう、という設定。

ホントどうでも良い情報ですみません。……ホントに。

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