その勇者、変態につき。

桜月みやこ

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04.

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抱えられたまま家の中まで運ばれて、部屋の奥に置かれているベッドにまるで壊れ物みたいにそぉっと下ろされたと思ったら、大きな手で頬を包まれる。

「ミラ、俺たちはもう少しお互いを知る必要がある、と思わないか?」
「お、思いません……私は付き合うなら町の──普通の人が、良いです。普通の人でないと、嫌です」
「勇者を辞めるのに?」
「辞められるわけないじゃないですかっ!!」

国から与えられた称号がそう簡単に無かったものになるとは思えなくて、ミラは抱き締めようとしてくるエルラントの胸を必死で押し返す。

「辞めるよ。辞めさせて貰えそうになければ、まぁ、頷かせる材料は色々あるし、ね」

何やら不穏そうな内容とは裏腹にとても爽やかに微笑んだエルラントに、ミラはブンブンと首を振る。

「わ、わるいことは、ダメです……っ」
「悪い事ではないよ。一部のお偉方の不正を正すだけだから」

青くなっているミラの頬を優しく撫でながら、エルラントは安心させるような柔らかな笑みを落とす。

「だから、ミラ。『勇者』ではない俺を見て欲しい。そして俺に、堕ちて」
「んっ──……!?」

砂浜での重ねるだけだった優しいキスとは全然違う、噛み付くみたいなキスを繰り返されて、苦しくて空気を求めて開いた隙間から舌を差し入れられて、逃げようとする舌も身体もすっかり絡め取られて──
そうしてぼんやりとしてしまっていたミラが太腿を撫で上げる手に我に返った時には、ミラのブラウスはすっかりはだけてスカートは膝の上までたくし上げられていた。

「やっ……なんで……っ」

いつの間に、と慌ててブラウスを掻き合せようとしたミラよりも先に、大きな手でブラジャーの上から胸を揉まれて小さく声を上げる。
そのままブラジャー越しにくるくると胸のてっぺんを撫でられて摘まれて、ミラの身体が小さく跳ねる。

「やぁっ……だめ、エルさ……っあっ」

太腿を撫でていた手が足の付け根を滑ったから、ミラはイヤイヤと身体を捩ろうとした。
けれどエルラントにやんわりと制されて、するりとブラウスの肩が落とされる。
あっと思った時にはブラウスを脱がされて、ミラの上半身は飾り気のないブラジャー1枚になってしまっていた。

エルラントの身体を押し返そうとしても力の入らないミラの抵抗なんてちっとも抵抗にはならず、エルラントはミラの豊かな双丘に舌を滑らせる。
指と舌とで胸の頂を刺激されて、ミラはとうとう甘い吐息を落としてふにゃりとエルラントに寄りかかってしまった。

「ミラ、可愛い」

一度ちゅっとミラの胸を吸うと、エルラントはゆっくりとミラの身体を押し倒す。
そうしてブラジャーとスカートをするすると脱がされて、残っているのはショーツと、店からそのまま履いていたソックスだけ。

エルラントはミラの片足を持ち上げると、少しばかり食い込んでしまっているソックスと肌の境目に沿うように舌を這わせる。

「あぁ、ミラ……この弾力も、滑らかな肌も。本当にミラは俺の運命だ」

エルラントの舌がゆっくりとミラの太腿を舐め上げる。

「や……やだぁっ………」

自分の太腿が空気に晒されている事も、その太腿をエルラントが執拗に舐め続けている事も、そして時折内腿を強く吸われた時にぴくんと跳ねてしまう自身の反応も、何もかもが恥ずかしくてミラは必死に首を振る。
エルラントはそんなミラの両の太腿をじっくりと堪能して、ミラの身体からくったりと力が抜けた頃になってからやっと、ミラの足からソックスを取り去った。

これで終わりなのかなと、ほっとした様な物足りないような複雑な感情の狭間を揺蕩たゆたっていたミラの太腿を──さっきまで執拗に舐めていた辺りを、エルラントの指が撫でる。

「ソックスの跡がこんなにくっきり……可愛いよ、ミラ」

陶然と吐息を落として、エルラントはミラの足を持ち上げ直すと再びそこに唇を寄せる。
赤くなっているだろうラインを中心に、また両足ともじっくりたっぷり舐められて吸われて撫でられて、ミラはもう抵抗することも出来ずに、ただただ喘がされた。

ようやく足を解放された時には、ミラの身体はもうすっかり蕩けてしまっていた。
ちゅっと内腿を吸ったエルラントが小さく笑って、そしてショーツの上からミラの秘裂を撫でる。

「さっきから甘い匂いがしてるんだけど」
「や、ちがうの……」

恥ずかしそうに足を閉じようとするミラの膝を撫でて、エルラントは身体を起こすとミラの髪を、頬を、優しく撫でる。

「ミラ、着替えようか」

そう言って微笑んだエルラントに腕を引かれて抱き起こされてみれば、いつの間に用意されていたのかエルラントの手には昼間にミラが受け取らなかった例の包み。

その包みを自ら開いて、エルラントはミラが今までつけていたショーツを脱がせると、まず真っ白な薄布のベビードールを着せた。
胸の下辺りから生地が三重ほど重なって、ふんわりと可愛らしいワンピースのようになっている。
肌は透けているしショート丈すぎてお尻までは隠してはくれないけれど、僅かでも素肌が隠れた事にミラは少しだけほっとする。
ベッドに座らされてベビードールと同じく真っ白なレースのストッキングを履かされて、
新たに履かされたショーツは、ミラにとっては何とも心許ないTバック。
そうして最後に出てきたのは、やはりガーターベルトだった。

膝立たされて、妙に慣れた手つきでストッキングと繋がれていく。
最後のクリップがパチン、と小さな音と共に止められるのをぼんやりと眺めていたミラは、すっと伸びてきた手がきちんと纏めていたはずの、もう既にすっかりと崩れてしまっている髪をぱらりと解いたのを感じて、こんな事まで慣れてる……と少しだけ胸が痛んだ気がして俯く。

「ミラ」

呼ばれて目だけで見上げると、満足そうに笑んでいるエルラントがいて、そしてふわりと抱きしめられる。

「すごく可愛い」
「……たしかに、すごく可愛いですけど……」

真っ白なベビードールはひらひらふわふわとしていて、上から見ただけでも充分に可愛い。
けれどそれを着ているのが自分だと思うと、ミラはまたしょんぼりと俯く。

「もっと似合う人がいるのに、私なんかじゃ可哀そ……っひゃ!?」

突然かぷりと鼻を噛まれて、ミラはビックリしてエルラントの胸をぱたぱたと叩く。

「ミラは可愛いよ。これだって、ミラが着てるから可愛いんだ」
「可愛いなんて、父さんと……」

前に付き合ってた人が何度か言ってくれたくらい、とはさすがに口にしてはいけない気がして、モニョモニョと濁したミラにエルラントは僅かに目を細める。

「父さんと……"前の彼"?」

少しだけ低くなったエルラントの声に、ミラはあの、その、と言い訳の言葉を探したけれど、ミラが言葉を見つける前にエルラントははぁっと息を落としてくしゃりと自身の前髪を掻き上げた。

「──ごめん。ミラに恋人がいなかったわけがないのにな。俺がミラに出逢えたのが遅すぎただけで、ミラは悪くない。だけど……」
「あっ……!」

つつ、と外腿を指で撫で上げられて、ミラの身体がぴくんと跳ねる。
そのままお尻まで滑った指でくるりと円を描くようにされて、ミラは身を捩る。

「エルさま、だって……今まで、たくさん……っ」
「恋人なんていなかったよ」
「うそ……すごく、慣れて……んっ……」

ふにふにとお尻を揉まれて、ミラはこつんとエルラント肩に額をくっつける。

「まぁ、俺も若いし……店の世話にはなってるよ。恋人は、ミラが初めてだ」

そんな事を言われて何だか返事に困って、ミラはエルラントの肩に額をくっつけたまんま、少しだけ頷いた。

「俺より先にミラの足も、中も、全部味わったやつがいるのかと思うと、やっぱり妬ける」

お尻から滑ったエルラントの指は、足の付け根を通って小さな布の隙間からミラの湿ったそこへと辿り着く。

「そいつと、何度もこういう事したんだろうな」
「やぁっ……!」

くちゅっと水音をさせて、エルラントの指先がミラの中に入ってくる。
ミラは慌ててエルラントのシャツを握りしめて、首を振る。

「なんども……なんて、してな……っ」
「そんなはずないだろう。こんな可愛いミラを愛さずにいられるはずがない」

くちゅ、くちゅ、と浅いところで出し入れされて、ミラは首を振る。

「ほんと、に……わたし、おかしい……から……」
「何もおかしくなんてないよ」
「だ……って……いたくて………すごく、痛くて……全然、気持ち良く、なくて……」

初めての時は痛い、と聞いていたから、一回目の時はきっと次からは皆が言うみたいに気持ち良くなるんだろうと思って耐えた。
だけど二回目も痛いまんまで、三回目も、もしかしたら今度こそはと思って受け入れたけど、やっぱりダメで。
皆が言ってる「気持ち良い」とか「イク」とか、そんなのちっとも分からなくて、少しずつ行為を、彼自身を避ける様になってしまって──
そうしてミラは、振られてしまった。

「だから、私のからだ、きっとどこかヘン……で……」

瞳を潤ませたミラに、エルラントはボソリと「それは相手が悪い」と言うと、ミラの頬にキスを落とす。

「じゃあ、ミラ。練習しようか」
「……練習?」
「そう。ミラが気持ち良くなれるように……挿れずに、やってみよう」

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