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日々是口実
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注意!鬱展開です。
最後の部分で不快な展開があります。避けたい方は☆からフリースペースへ飛んでください。
わたしの学園生活は、至って単調な静かなものです。もちろん作戦にかかわるもろもろを除けば、の話ですが。
友達もいませんし(もとい、作らないので!)空いている時間はもっぱら予習復習自習と”淑女のたしなみ”にあてています。授業も真面目に受けていますよ。
おかげで先生からの評判もおおむね好意的です。しょっちゅう用事や手伝いを頼まれるというオマケもついてますが。なんでしょうね。隠し切れない小物臭のせいで気軽に頼みやすいんですかね……?
実のところわたしは王立学園に入学する予定にありませんでした。主に実家の経済的な理由で。
仮にも貴族階級のはしくれなら、後々の社交関係にも影響するので王立学園への入学は必須に近いのですが、なにせお貴族様の世界ですから、恥をかくまいとすると体裁的なところでお金がかかります。学園に納める学費とあわせると結構な負担になるのです。
子どもを授かれば予想されることですから、我が家でもその為の蓄えもなくはなかったのです。ですが、数年前に続いた領内の不作の影響で、やむを得ずそれを使い果たしてしまいました。
幸い今では最悪の状態からはなんとか持ち直したものの、わたしの学費分まではとても手が回らず――わたし自身も納得の上で、学園への入学は見送られることとなりました。
そこへきて思いがけず侯爵閣下からの「お呼び出し」があり、作戦実行のために学園に送りこまれることになった――諸費用すべて侯爵家もちで!――という次第です。
新学期開始から遅れること一月ほどで編入してきたわたしは、その分の勉強の遅れに追いつこうと基本的には、教室と図書館、自習室、たまに寮の自室、忘れてないよ作戦遂行、という風にくるくる動き回っていたので、友達など作るヒマもありませんでした。
グロリア様には、作戦の都合(閣下からの口止め)上、また後ろめたさから会いにいくことができず、しばらくはグロリア様もわたしが学園にいることをご存じなかったようです。
ところが、ある時たまたま図書館でばったりと再会してしまったのです。
思えば侯爵閣下とご一緒にうちの領地に遊びに来てくださっていたのは、お互いずいぶんと幼い頃の話です。
物語の主人公を具現化したようなグロリア様をわたしが片時も忘れていなかったのは当然として、わたしのごとき押しも押されぬその他大勢をお忘れなく、あまつさえ一目でそれと見分けてくださるとは――
喜びのあまり、秘匿事項をすぽーんと脳裏からすっ飛ばしてグロリア様に駆け寄ったわたしですが、その後のよもやま話の中でも、かろうじて作戦そのものなどについては守り切りました。
それ以来、グロリア様が気にかけてくださってしばしばお茶やお昼にお誘いいただき、時には勉強を見ていただくなど夢のような至福の時間を過ごさせていただいて。
わたしは自分がアレクサ嬢をいびる”悪役”だということを忘れてしまっていたのかもしれません。
それが、他の人からはどう思われるかということも。
☆
――校務員用の焼却炉に乱雑に放り込まれたわたし手製の刺繍入りハンカチの束を見つけて、ようやく気がついたのです。
最後の部分で不快な展開があります。避けたい方は☆からフリースペースへ飛んでください。
わたしの学園生活は、至って単調な静かなものです。もちろん作戦にかかわるもろもろを除けば、の話ですが。
友達もいませんし(もとい、作らないので!)空いている時間はもっぱら予習復習自習と”淑女のたしなみ”にあてています。授業も真面目に受けていますよ。
おかげで先生からの評判もおおむね好意的です。しょっちゅう用事や手伝いを頼まれるというオマケもついてますが。なんでしょうね。隠し切れない小物臭のせいで気軽に頼みやすいんですかね……?
実のところわたしは王立学園に入学する予定にありませんでした。主に実家の経済的な理由で。
仮にも貴族階級のはしくれなら、後々の社交関係にも影響するので王立学園への入学は必須に近いのですが、なにせお貴族様の世界ですから、恥をかくまいとすると体裁的なところでお金がかかります。学園に納める学費とあわせると結構な負担になるのです。
子どもを授かれば予想されることですから、我が家でもその為の蓄えもなくはなかったのです。ですが、数年前に続いた領内の不作の影響で、やむを得ずそれを使い果たしてしまいました。
幸い今では最悪の状態からはなんとか持ち直したものの、わたしの学費分まではとても手が回らず――わたし自身も納得の上で、学園への入学は見送られることとなりました。
そこへきて思いがけず侯爵閣下からの「お呼び出し」があり、作戦実行のために学園に送りこまれることになった――諸費用すべて侯爵家もちで!――という次第です。
新学期開始から遅れること一月ほどで編入してきたわたしは、その分の勉強の遅れに追いつこうと基本的には、教室と図書館、自習室、たまに寮の自室、忘れてないよ作戦遂行、という風にくるくる動き回っていたので、友達など作るヒマもありませんでした。
グロリア様には、作戦の都合(閣下からの口止め)上、また後ろめたさから会いにいくことができず、しばらくはグロリア様もわたしが学園にいることをご存じなかったようです。
ところが、ある時たまたま図書館でばったりと再会してしまったのです。
思えば侯爵閣下とご一緒にうちの領地に遊びに来てくださっていたのは、お互いずいぶんと幼い頃の話です。
物語の主人公を具現化したようなグロリア様をわたしが片時も忘れていなかったのは当然として、わたしのごとき押しも押されぬその他大勢をお忘れなく、あまつさえ一目でそれと見分けてくださるとは――
喜びのあまり、秘匿事項をすぽーんと脳裏からすっ飛ばしてグロリア様に駆け寄ったわたしですが、その後のよもやま話の中でも、かろうじて作戦そのものなどについては守り切りました。
それ以来、グロリア様が気にかけてくださってしばしばお茶やお昼にお誘いいただき、時には勉強を見ていただくなど夢のような至福の時間を過ごさせていただいて。
わたしは自分がアレクサ嬢をいびる”悪役”だということを忘れてしまっていたのかもしれません。
それが、他の人からはどう思われるかということも。
☆
――校務員用の焼却炉に乱雑に放り込まれたわたし手製の刺繍入りハンカチの束を見つけて、ようやく気がついたのです。
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