チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない

植木鉢たかはし

文字の大きさ
113 / 387
ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!

おらに力を分けてくれぇ!

しおりを挟む
 次の日、僕らは朝早くに起きて、朝食をとり、城を出た。
 城の兵士さんに聞いてみたが、まだサラさんの意識は戻っていないらしい。国王陛下と女王陛下は、側にいたいのはやまやまだが、あいにく今日はクラーミルの国王と、絶対に外せない用事があるらしく、仕方なく、ラトさんが様子を見ていると言う。

 体に大きな損傷や異常はないから、今日中には目が覚めるんじゃないかと言っている。……早く復活してほしい。心配だ。


「……よし、じゃあ、持ち物確認だ」


 アリアさんが言う。


「回復薬は?」

「「「持ちました!」」」

「弓矢は?」

「「「持ちました!」」」

「チョコレート(非常食)は?」

「「「持ちました!」」」

「雨具は?」

「「「持ちました!」」」

「スラちゃんは?」

「ぷるぷるー!(いるよー!)」

「……よし、いこう」


 そういうと、アリアさんは山へ向かって歩き始めた。空はどんよりとした曇り空で、また雨が降ってもなんらおかしくない。雨具も今回はちゃんと持ってる。準備万端だ!

 山はゴツゴツとした岩肌が目立ち、傾斜がそうでもないとはいえ、あまり登りやすいとはいえない。とにかく、麓にいると言うあの人を探さないと……!
 しかし! 麓の標高が低いところを探してみたが、いっこうに見つからない! 仕方がないから、少しずつ上に登ってみる。

 ……そうして歩き続けて1時間。収穫がないまま体力だけがどんどん削られていく。


「……登りにくいなぁ」

「そうだね。……足、滑らせそう」


 ちらりと下を見る。け、結構高い……!


「ウタ、下を見るな」

「す、すみません」

「うーん……どんまい、ウタ兄」


 それにしても、本当にいない。どこにいるんだ。と、そんなときだった。


「……あれ? こんなところで何してるんですか?」

「えっ?」


 振り向くと、そこにいたのは一時間探し続けた人だった。


「ドロウさぁぁぁぁぁん!!!」

「え? あ、あの! えっと?!」

「おらに力を分けてくれぇぇぇぇぇ!」

「某超有名少年漫画かな?!」

「……えっと、ドロウ。力を貸してくれないか?」

「え、あ、はい! 喜んで!
 ……うち、来ます?」

「「「「行きます!」」」」


◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈


 場所は変わって、ドロウさんが住んでいるという部屋に来た。本当に山の中って感じの場所に、ちょっとしっかりした小屋のようなものがある。どうやらそこに住んでいるらしい。


「どうしてこんなところに……」

「いやー、やっぱり、使役した子達が多すぎて、他のところだと管理しきれないんで。サラさんと仲良くなったから、ここら辺一帯貸してもらおうかなーってですね」


 ここら辺一帯……。やはり塊'sがいうことは、他のことよりもなんかレベルが違う。


「でも、召喚師なんだろ? だったら、無理に近くに置かなくても呼び出せばなんにも問題ないんじゃ」

「いや、違うんですよ! こう、好きな子達はそばにいたいんですよ! でも、そうすると他がなんか拗ねちゃうんで、ここに。というか、ここじゃないと危なくて」


 僕は改めて部屋を見渡す。……殺風景かと思いきや、なんか、漫画っぽいなにかが大量においておる。というか、漫画?


「ドロウさん、これって……」

「漫画って、いいよね」

「答えが答えじゃない」

「で、力を貸すっていうのは……?」


 あっ、そうだった! 危うく忘れるところだった!


「んっとな、サラ姉のステータス知らないかなって」


 ポロンくんが言うと、ドロウさんは「あぁ……」と、大きくうなずいた。


「知らないよ?」

「あー、ありがとうござ――え?」

「知らないよ?」

「知らないのか?」

「知らないよ?」

「隠してるとかじゃ」

「隠してないよ?」


 ……普通に知らなそうだ。なぜだ。


「あっ、鑑定スキルがないとか?」

「あるよ?」

「じゃあなんで知らないんですか?」


 フローラが言うと、ドロウさんは大きくため息をついた。


「あのさー? 敵でもないのに勝手にステータス覗くのって、あんまりよくないんじゃない?」

「まぁ……確かに」


 ステータスってのは、この世界での超個人情報だ。やたらめったら覗くのは……って、僕ら思いっきりサラさんに覗かれてたんだけどな。


「そんなわけで、知らないんですよー。でもどうして聞きたいって?」

「それは、昨日サラ姉さんを襲った人がどれくらいの力の持ち主か知りたくて……」

「そっかー……。いやね、でも、サラさんより弱いと思うよ、そいつ」

「え? そうなんですか?」

「うん。だって、戦い方が卑怯だったから」

「と、いうと……?」


 ドロウさんがそれを僕らに説明しようとしたとき、外で、ウルフたちの鳴き声が聞こえた。


「……なんかあったみたい」


 おもむろに席をたつドロウさん。僕らも追いかけるようにして外に出た。するとそこには……


「……誰だ、こいつら」


 真っ黒い服に身を包み、目は虚ろ。なにも見ず、生きてさえいるのか怪しいその人たちは、僕らに向かって右手をつきだした。


「……わ、わわわわわわっ?! なんなんですかぁ! この人たち!」

「見覚えと心当たりは……あります」

「あるんですかぁ?!」

「多分……いや、とりあえず倒そうか」


 そういうとドロウさんは胸の前で両手を組んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...