チート能力解放するにはヘタレを卒業しなきゃいけない

植木鉢たかはし

文字の大きさ
114 / 387
ワクワク! ドキドキ! 小人ライフ!

ドラゴン召喚!

しおりを挟む
 四方八方を敵に埋め尽くされ、いくらお強いとはいえ、任せっきりには出来ない。……そういえばここ、結界の外だった! よし、ドラくんを呼んで応戦しよう!


「ドラゴ――」

「ドラゴン召喚っ!」

「……えっ?!」


 僕が言おうとしたことを、隣でドロウさんがいう。何事かとビックリしていると、空に大きな影が生まれる。


「おう、主。どうし……って、こいつら、相手にすればいいのか?」


 現れたのは大きな大きな赤いドラゴン。金色の瞳は美しく揺れ、ゆっくりとこちらを見据える。


「うん、サン、お願いね」

「任せろ! ……ところで、あいつら生きていないが、普通に燃やしていいのか?」

「そうねー、そうしてくれるとありがたいかな。さすがに何回も人殺すのはちょっとね」

「了解した」

「……えっと……ドラ、ゴン…………?」


 僕やアリアさんはともかく、他の二人はドラくん以外のドラゴンを見たのは初めてだろう。呆気にとられたように空をみて、なにも言えずに立ちすくんでいる。
 しかし、見たことがあるからといって、僕とアリアさんも、そんなに冷静にいられるわけじゃない。……だって、ドラゴンだよ?

 そんな僕らを気にもせず、真っ赤なドラゴンは翼を大きく羽ばたかせ空に舞い上がると、


「調整は出来ない。主! そいつら守ってくれよな!」


 そういって口から炎を吐き出した。と同時に、


「シエルト」


 ドロウさんがバリアを張る。おかげさまで僕らにはなんのダメージもない、が、黒い人たちの大半は悲鳴をあげ、焼け死んでしまった。
 しかし、まだ残っている。サン……? と呼ばれた真っ赤なドラゴンは一度地面に降り、ドロウさんをみた。


「あいつら、炎への耐性持ってるぜ。俺じゃあ無理だ。他を頼ってくれるか?」

「えええっ?! ど、ドラゴンなのに倒せないって……」


 思わず声をあげると、サン……は、こちらをじっとみて、そして、どこか笑ったような気がした。


「なんだお前。主に助けでも求めに来たのか?
 心配しなくても、こんくらいの敵、ドラゴンなら倒せるっての。な、主!」

「そうだねー、さすがにドラゴンには負けるでしょ、こいつら」

「で、でも、たった今倒せないって言ってたよな!?」


 ポロンくんも声をあげる。それに反論するように、ドロウさんは腕を組んだ。


「俺には倒せないさ。でも――ドラゴンには倒せない、なんて、一言も言ってねーよ?」

「ドラゴン召喚!」


 ドロウさんが再び、そう詠唱する。と同時に、僕らに迫ってきていた黒い人々に白い雷が落ちる。


「主、こーんな感じでいいの?」


 いいながら降りてきたのは白いドラゴン。体を埋め尽くす鱗はしなやかで美しく光輝き、瞳は金色。
 声色と口調から、女性であるということがわかる。


「ありがとうビャク。……でも、あそこは耐性持ち?」

「そうそう。炎とか雷とか、ほとんどの魔法に耐性持ってるよ。……でも、あいつなら行けると思う」

「はいはい……ドラゴン召喚っ!」

「三回目っ?!」


 現れた青いドラゴンは僕らには目もくれず、残っていた人たちの方へと飛んでいき、息をはく。
 すると、そこにいた人々が一気に凍結し、そのまま尾で強く殴ると砕け散ってしまった。


「……で、なんで三体も呼び出しているんだドロウ」


 青いドラゴンはこちらに戻ってくると、どこか不満げにドロウさんをみた。やはりその瞳は金色に輝き、静かにその先を見据えていた。


「お前なら一人でもこいつらを倒せただろう?」

「……えっとですね、正直にいうと、会いたくなったので」


 すると、ドロウさんは一番近くにいたサンの首にぎゅっと抱きつく。


「はぁーーー、やっぱりドラゴンっていい。かっこいいし、強いし、本当癒し」

「あはは! そうかなぁ?」

「癒し……?」

「ちょ、サンばっかりずるいって! 主! 私も!」

「……ふん、俺には関係ないな」

「なにさ、ナイルは一番の焼きもち焼きのくせに」

「違う!」


 そこで、あ、そういえば、と、ドロウさんが僕の方をみた。


「ドラゴン召喚、持ってるよね?」

「え? あ、はい」

「ねぇどんなドラゴン!?」

「ど、どんなって……どんなですか?」


 急に詰め寄られ、助けを求めるようにアリアさんをみた。ドラゴン召喚三連発に呆然としていたアリアさんだったが、ハッとしたように少し考えていう。


「そ、そうだな……黒い?」

「黒……?」


 その言葉に反応したのはドラゴンたちだった。


「黒って……もしかして、そいつの瞳金色じゃなかったか?」

「え、あ、はい」


 すると、三体のドラゴンたちが僕に詰め寄る。す……すごい圧……。迫力が半端ないってぇ……。


「「「今すぐ呼び出して!」」」

「は、はいぃぃぃぃぃっ! ど、ドラゴン召喚っ!」


 そうして、見慣れたドラゴンが現れる。黒い巨体の中に光る金色の瞳で僕をとらえると、声をかける。


「どうしたウタ殿。なにかあったか?」

「……後ろを、見てー?」

「後ろ……?」


 ドラくんが振り向くと、そこにはドロウさんが呼び出した三体のドラゴンがいた。


「……え、あ、え? お、お主ら……どうしてここにいる――」

「それはこっちの台詞だ……」

「今までどこ行ってたんだ!」

「急に西から消えたと思ったらまんまと操られて帰ってきて……」

「「「ダークっ!」」」

「いや、その、一旦落ち着いて話を聞いてくれないか?」


 ……こんなにたじたじになるドラくん、始めてみたなぁ。


「……ウタ殿、面白がってないか?!」

「そんなことないよねー、ポロンくん!」

「そんなことないよ! 多分!」

「そんなことないですよ! きっと!」

「そんなことないさ! もしかして!」

「不確かすぎるぞ!?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜

幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。 転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。 - 週間最高ランキング:総合297位 - ゲス要素があります。 - この話はフィクションです。

【本編完結】転生令嬢は自覚なしに無双する

ベル
ファンタジー
ふと目を開けると、私は7歳くらいの女の子の姿になっていた。 きらびやかな装飾が施された部屋に、ふかふかのベット。忠実な使用人に溺愛する両親と兄。 私は戸惑いながら鏡に映る顔に驚愕することになる。 この顔って、マルスティア伯爵令嬢の幼少期じゃない? 私さっきまで確か映画館にいたはずなんだけど、どうして見ていた映画の中の脇役になってしまっているの?! 映画化された漫画の物語の中に転生してしまった女の子が、実はとてつもない魔力を隠し持った裏ボスキャラであることを自覚しないまま、どんどん怪物を倒して無双していくお話。 設定はゆるいです

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

御家騒動なんて真っ平ごめんです〜捨てられた双子の片割れは平凡な人生を歩みたい〜

伽羅
ファンタジー
【幼少期】 双子の弟に殺された…と思ったら、何故か赤ん坊に生まれ変わっていた。 ここはもしかして異世界か?  だが、そこでも双子だったため、後継者争いを懸念する親に孤児院の前に捨てられてしまう。 ようやく里親が見つかり、平和に暮らせると思っていたが…。 【学院期】 学院に通い出すとそこには双子の片割れのエドワード王子も通っていた。 周りに双子だとバレないように学院生活を送っていたが、何故かエドワード王子の影武者をする事になり…。  

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

悪徳領主の息子に転生しました

アルト
ファンタジー
 悪徳領主。その息子として現代っ子であった一人の青年が転生を果たす。  領民からは嫌われ、私腹を肥やす為にと過分過ぎる税を搾り取った結果、家の外に出た瞬間にその息子である『ナガレ』が領民にデカイ石を投げつけられ、意識不明の重体に。  そんな折に転生を果たすという不遇っぷり。 「ちょ、ま、死亡フラグ立ち過ぎだろおおおおお?!」  こんな状態ではいつ死ぬか分かったもんじゃない。  一刻も早い改善を……!と四苦八苦するも、転生前の人格からは末期過ぎる口調だけは受け継いでる始末。  これなんて無理ゲー??

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

処理中です...