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迷子の迷子の冒険者捜索!
目的地を目指すぜ!
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おさくさんとアリアさん、フローラが世界を広げるという意味の分からない話をしたあと、僕らは一度宿屋に戻ることにした。情報もよくわからないものばっかりだったし、一度整理しようということなのだ。
「……で、なんの世界ですか?」
「ウタ兄!?」
「……お前それ、聞くか? 普通」
「え? ポロンくん知りたくない?」
「気になりはするけど、触らぬ神に祟りなしな感じがする」
「ポロン、そんな言葉知ってるんだ。頭良いね!」
「今それ関係ないよね、フローラ!?」
えー、だって気になるじゃん。世界広げるとかパワーワードだし。なんか楽しそうに話してたし。
アリアさんとはずっと一緒に旅してるけど、こんなに女がよかったと思ったのは寝るときを除けばこのときだけだ。
たのしそう! まざりたい! それをどれだけ我慢したか!
……ここにきて我慢の限界だったわけだけど。
「本当に分からないんだな……。男だからか?」
「多分男だからです」
「男でも存在は知ってると思うけどな……って、この話やめようか」
「えー」
「えーじゃない」
すると、そんな僕らを見て、フローラがくすりと笑う。いきなりなにかと思いそちらを見ると、優しく顔をほころばせた。
「……本当、お二人に変わりがなくてよかったです」
「え? 逆に、変わってると思ってたの?」
「……マルティネスで、あれだけ色々あったんだい。おいらたちが知らないところで、ウタ兄とアリア姉に何か良くないことがあってもおかしくないと思って」
その言葉に、僕とアリアさんは顔を見合わせた。
……僕らの間に悪いことが、何もなかったわけじゃない。二人に言えないこともある。例えば、声を失ったアリアさんが、僕にいっていたこととか。アリアさんが死のうとしたこととか。僕が死にかけたことだってそう。それでアリアさんが負い目を感じて、犠牲になろうとしたこともそう。
仲間だからこそ、言えないこともある。
僕がなんて返そうか迷っていると、アリアさんがぽんぽんとポロンくんとフローラの頭を撫で、優しく優しく笑う。
「そりゃ、悪いことだってあったさ。でも、それよりも良いことの方が多かったんだ。だから、二人が心配しなくても、大丈夫だ」
「本当……ですか? 良いこと、ありましたか?」
「あぁ」
「例えば、どんな!?」
ポロンくんがいうと、アリアさんは僕をちらりと見ながらいう。
「例えば……ウタがすっごく優しいってことが分かった!」
「え、僕?」
「アリア姉ー、それ、おいらたちも知ってるー」
「えー? じゃあなー……あ! 美味しい料理が食べられた!」
「他には……?」
「そうだな、やっぱりディランの情報が手に入ったのも大きいな。ずっと探してたわけだし」
でも、と一息ついて、アリアさんは静かに目を閉じて小さく、本当に小さく呟いた。僕らが誰一人聞き取れないほど小さく。
「 」
「……え? 何て言いました?」
「……二人にまた会えたことだよっ!」
「わっ!」
アリアさんはそう言って二人を抱き締めるが、僕にはわかる。アリアさんはそうは言っていない。アリアさんは……。
「私が生きているのが一番か」って。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
「ふぅー……」
宿屋に戻ってくると、アリアさんはそう息をつきながら布団の山に倒れ込んだ。掛け布団と敷き布団、それらが二組ずつ重ねられたそこはボフンという音をたてて、アリアさんの華奢な体を迎え入れる。
「大丈夫ですか?」
「んー……疲れた」
「久々に歩き回ったからですかね。僕も疲れましたよ」
「ウタ兄ー、今日はもう休もうよ。夕方になってきてるし、おいらもちょっとだけ疲れちゃった」
「そうだね、そうしよっか。
おかみさんが、7時頃に食堂が開くって言ってたから夕食はそこで食べようか」
「さんせーい! 私はちょっと寝るから、起こしてくれ……」
アリアさんはそういうと、ばふっと倒れ込んだ体を起こし、ちゃんと布団を下ろし、掛け布団にくるまって目を閉じる。ポロンくんとフローラも、各々好きなように過ごし始める。
僕は部屋の明かりを一段階落としてカーテンを閉めると、壁際のところに座り込んで『歩くマン』を取り出した。
ちなみにこの部屋は畳なのだ。
もう一度いう。畳なのだ!
あの独特の良い匂いが鼻孔をくすぐる……。あぁ……日本、これぞ日本のかほり。素晴らしい。へりには金色の細かい模様が施させていて、とっても雅だ。
それはさておき、問題の歩くマンだ。見かけは本当のウォークマン。縦長で、上に液晶、下に丸い操作用ボタンがついている、あれだ。
僕はいつだかもらったイヤホンを歩くマンに差し込み、『ザナルカンドにて』を流す。
静かなピアノの音が流れ出す。下手に音源重ねてないのに、すっごく綺麗な曲だ。
それを聞きながら、僕は他の機能をいじっていた。
テレビ……電波が繋がりません。
ラジオ……電波が繋がりません。
録音……今する必要はありません。
ライブラリ……ザナルカンド一曲です。
設定……要領がすでに98%。
そんななか、あの、位置情報のアイコンが気になった。どんなアイコンかというと、スマホのステータスバーを下ろしたときに出てくるような……丸の中に点を描いて、下を尖らせたみたいな、あの形だ。
他にやれそうなこともないので、それを開いてみると、音楽が一時停止され、おさくさんの声が流れた。
『グッドオーシャンフィールド! 名前の由来が知りたい? 残念! 個人情報さっ!』
……位置情報? ガクッときて音楽を再開しようとした瞬間、またおさくさんの声がした。
『グッドオーシャンフィールド本店までは北に1、東に4だよ!
グッドオーシャンフィールドは常に良い商品を揃えております!』
…………。
「これかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「うわっ?!」
謎が、解けた。
「……で、なんの世界ですか?」
「ウタ兄!?」
「……お前それ、聞くか? 普通」
「え? ポロンくん知りたくない?」
「気になりはするけど、触らぬ神に祟りなしな感じがする」
「ポロン、そんな言葉知ってるんだ。頭良いね!」
「今それ関係ないよね、フローラ!?」
えー、だって気になるじゃん。世界広げるとかパワーワードだし。なんか楽しそうに話してたし。
アリアさんとはずっと一緒に旅してるけど、こんなに女がよかったと思ったのは寝るときを除けばこのときだけだ。
たのしそう! まざりたい! それをどれだけ我慢したか!
……ここにきて我慢の限界だったわけだけど。
「本当に分からないんだな……。男だからか?」
「多分男だからです」
「男でも存在は知ってると思うけどな……って、この話やめようか」
「えー」
「えーじゃない」
すると、そんな僕らを見て、フローラがくすりと笑う。いきなりなにかと思いそちらを見ると、優しく顔をほころばせた。
「……本当、お二人に変わりがなくてよかったです」
「え? 逆に、変わってると思ってたの?」
「……マルティネスで、あれだけ色々あったんだい。おいらたちが知らないところで、ウタ兄とアリア姉に何か良くないことがあってもおかしくないと思って」
その言葉に、僕とアリアさんは顔を見合わせた。
……僕らの間に悪いことが、何もなかったわけじゃない。二人に言えないこともある。例えば、声を失ったアリアさんが、僕にいっていたこととか。アリアさんが死のうとしたこととか。僕が死にかけたことだってそう。それでアリアさんが負い目を感じて、犠牲になろうとしたこともそう。
仲間だからこそ、言えないこともある。
僕がなんて返そうか迷っていると、アリアさんがぽんぽんとポロンくんとフローラの頭を撫で、優しく優しく笑う。
「そりゃ、悪いことだってあったさ。でも、それよりも良いことの方が多かったんだ。だから、二人が心配しなくても、大丈夫だ」
「本当……ですか? 良いこと、ありましたか?」
「あぁ」
「例えば、どんな!?」
ポロンくんがいうと、アリアさんは僕をちらりと見ながらいう。
「例えば……ウタがすっごく優しいってことが分かった!」
「え、僕?」
「アリア姉ー、それ、おいらたちも知ってるー」
「えー? じゃあなー……あ! 美味しい料理が食べられた!」
「他には……?」
「そうだな、やっぱりディランの情報が手に入ったのも大きいな。ずっと探してたわけだし」
でも、と一息ついて、アリアさんは静かに目を閉じて小さく、本当に小さく呟いた。僕らが誰一人聞き取れないほど小さく。
「 」
「……え? 何て言いました?」
「……二人にまた会えたことだよっ!」
「わっ!」
アリアさんはそう言って二人を抱き締めるが、僕にはわかる。アリアさんはそうは言っていない。アリアさんは……。
「私が生きているのが一番か」って。
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
「ふぅー……」
宿屋に戻ってくると、アリアさんはそう息をつきながら布団の山に倒れ込んだ。掛け布団と敷き布団、それらが二組ずつ重ねられたそこはボフンという音をたてて、アリアさんの華奢な体を迎え入れる。
「大丈夫ですか?」
「んー……疲れた」
「久々に歩き回ったからですかね。僕も疲れましたよ」
「ウタ兄ー、今日はもう休もうよ。夕方になってきてるし、おいらもちょっとだけ疲れちゃった」
「そうだね、そうしよっか。
おかみさんが、7時頃に食堂が開くって言ってたから夕食はそこで食べようか」
「さんせーい! 私はちょっと寝るから、起こしてくれ……」
アリアさんはそういうと、ばふっと倒れ込んだ体を起こし、ちゃんと布団を下ろし、掛け布団にくるまって目を閉じる。ポロンくんとフローラも、各々好きなように過ごし始める。
僕は部屋の明かりを一段階落としてカーテンを閉めると、壁際のところに座り込んで『歩くマン』を取り出した。
ちなみにこの部屋は畳なのだ。
もう一度いう。畳なのだ!
あの独特の良い匂いが鼻孔をくすぐる……。あぁ……日本、これぞ日本のかほり。素晴らしい。へりには金色の細かい模様が施させていて、とっても雅だ。
それはさておき、問題の歩くマンだ。見かけは本当のウォークマン。縦長で、上に液晶、下に丸い操作用ボタンがついている、あれだ。
僕はいつだかもらったイヤホンを歩くマンに差し込み、『ザナルカンドにて』を流す。
静かなピアノの音が流れ出す。下手に音源重ねてないのに、すっごく綺麗な曲だ。
それを聞きながら、僕は他の機能をいじっていた。
テレビ……電波が繋がりません。
ラジオ……電波が繋がりません。
録音……今する必要はありません。
ライブラリ……ザナルカンド一曲です。
設定……要領がすでに98%。
そんななか、あの、位置情報のアイコンが気になった。どんなアイコンかというと、スマホのステータスバーを下ろしたときに出てくるような……丸の中に点を描いて、下を尖らせたみたいな、あの形だ。
他にやれそうなこともないので、それを開いてみると、音楽が一時停止され、おさくさんの声が流れた。
『グッドオーシャンフィールド! 名前の由来が知りたい? 残念! 個人情報さっ!』
……位置情報? ガクッときて音楽を再開しようとした瞬間、またおさくさんの声がした。
『グッドオーシャンフィールド本店までは北に1、東に4だよ!
グッドオーシャンフィールドは常に良い商品を揃えております!』
…………。
「これかぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「うわっ?!」
謎が、解けた。
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