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おばけ? 妖怪? 違います!
人影
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おさくさんとの一件、気になることは多かったけど、ひとまず忘れよう。塊'sのことだ。最終的に、僕らに悪いようにはしないだろう。そう、どこかで過信していたのかもしれない。
そんな僕らが向かったのは森の中。ギルドで依頼も受けてきたのだ。B級になっているから、受けることができる依頼は山ほどある。その中で、僕らが……僕が選んだのは、森の魔物討伐!
「……ウタ。お前は本当にぶれないなぁ」
「本当に……大丈夫かな? ぼくが言うのも変だけど」
……なわけないです。僕が自ら進んで魔物討伐を選ぶなんてまずあり得ないです。
いくら最初に比べて戦うことや、魔法と剣を扱うことになれたって、僕はやっぱり、出来る限りなにも殺したくない。それが魔物でも、だ。
選んだのは『薬草採集 個数(100)』というものだ。報酬は金貨2枚。なかなかだ。でも、薬草は高く売れるそうだから、妥当な値段より少し安めかもしれない。
鑑定で群生しているところを見つけて、みんなで一生懸命採集しています!
「そういえばウタ殿」
「ん? なぁにドラくん」
ドラくんは少し僕に近づき、控えめに声をかける。
「アリア殿が捕らえられていたときだと思うのだが……」
「……あぁ、うん」
だから小声で……でもなんだろう。今さら……。
「お主に遣えたワイバーンたちはどうするつもりだ?」
「あー、えっとね……ん? ワイバーン?」
「戦って助けたのだろう? ずいぶん感謝していたぞ? 正気を取り戻すことも出来たし、ミーレスを倒してくれたお陰で自分達を縛っていた鎖も簡単にちぎれるようになって逃げられたってな」
「待ってドラくん僕……使役したつもりなかったんだけど。え? じゃあ例えば……例えばだよ? 今呼べば来ちゃうの?」
「来るぞ? まぁ、名前はつけられていないから正規の主従関係とは違うがな。あいつらはお主に誠意をもって接するだろう」
「……? なんの話をしているんだ?」
この話は……悪いけど、アリアさんにも聞いてもらわないとダメだな。僕はみんなを集め、ざっくりと今ドラくんから聞いたこと、あのとき、あの場所で起こったことを話した。
「え……ウタさん、そろそろすごくないですか? 使役している魔物がスライムとダークドラゴンとワイバーン×5って……ドラゴンキラーじゃないんですから」
「しかもそのうち二体は人になってるしな」
「それは僕のせいじゃない」
まぁどちらにせよ、使役したくない理由もないんだよなぁ。せっかく慕ってくれてるんだし、僕にとっての利点も多い。
「僕は使役しようかなーって思うんですけど、どう思います?」
「いいんじゃないのか? そもそも、決めるのはお前だ」
「じゃあ使役しよう……。さすがにここで呼んだらまずいよね」
「クラーミル内の森だからな。まずいだろ」
「今度船で海に出ましょうか! 海上なら誰の迷惑にもなりませんし」
「そうだね。じゃあ、次海に出ることがあったらその時に使役するよ。
ドラくん、その子達に伝えることってできたりするのかな?」
「今から我が行ってこようか? ここからマルティネスならば10分もかかるまい」
「え、人じゃん! 大丈夫なのドラくん」
「ポロン殿。心配には及ばん。向こうの川を下っていけば5分ほどで海に出られる。そこから元の姿でマルティネスまで戻ればいいことだ」
「なるほど、そういうことか」
「して、どうするウタ殿」
「うん、じゃあお願いしようかな。ドラくんから僕らのいる場所は分かるの?」
「ウタ殿のいるところならな」
「それじゃ、問題なしっと。お願い!」
「では行ってくる」
にこりと微笑み、ドラくんはたたっと川の方に走っていった。そしてすぐに見えなくなる。
さすがドラくん。人間になってもけた違いに強そうだ。……個性の塊'sはその更に上を余裕で行くのだけれど。
……その時不意に、突き刺さるような視線を感じた。
咄嗟に後ろを振り向くが、誰もいない。今のは……なんだったんだろう。視線だけしか感じ取ってはいないが、そこから確実に伝わる『悪意』そしてそれは確実に……
「……ウタ?」
スラちゃんに向けられていたものだった。それに気づかなかったのか、スラちゃんは僕に近づき、下から顔を覗き込む。水色の、スライム色の優しい瞳に、不安げな僕の顔が映り込む。
「大丈夫? なんか、怖い顔してたよ……?」
「いや……うん、大丈夫」
答えたところで、また視線を感じて振り向く。そこには、一つの人影があった。
……どこかで見た、人影だ。あぁそうだ。確かギルドの野次馬の中にいた男性だ。でもなんで? どうして僕らつけてくる? あのとき特にめぼしい情報なんて……。
…………スラちゃんが、僕の腕をぎゅっと、少し痛いくらいにつかんだ。ハッとして振り向くと、その体はガクガク震え、小さな体で、僕に助けを求めているのがわかった。
僕はその目の前にしゃがみこみ、視界を隠すようにスラちゃんを抱き締めた。
「ウタ……ウタ……。ぼく、あの人、やだ…………!」
「大丈夫、大丈夫だよ。僕がいるから。守ってあげるから、大丈夫だよ……」
「ウタ……、スラちゃん……? どうした、なにかあったか?」
「……アリア姉、あの人」
ポロンくんがその人に目をやると、その人はパッと後ろを振り返り、そのまま走り出した。
「あっ……!」
「ポロン、追いかけよう!」
「おう! アリア姉たちはそこにいて! なんかあったら蔦伸ばすから!」
「分かった……!」
ガクガク震えるスラちゃんを抱き締めたまま、僕は二人の背中を見送った。
そんな僕らが向かったのは森の中。ギルドで依頼も受けてきたのだ。B級になっているから、受けることができる依頼は山ほどある。その中で、僕らが……僕が選んだのは、森の魔物討伐!
「……ウタ。お前は本当にぶれないなぁ」
「本当に……大丈夫かな? ぼくが言うのも変だけど」
……なわけないです。僕が自ら進んで魔物討伐を選ぶなんてまずあり得ないです。
いくら最初に比べて戦うことや、魔法と剣を扱うことになれたって、僕はやっぱり、出来る限りなにも殺したくない。それが魔物でも、だ。
選んだのは『薬草採集 個数(100)』というものだ。報酬は金貨2枚。なかなかだ。でも、薬草は高く売れるそうだから、妥当な値段より少し安めかもしれない。
鑑定で群生しているところを見つけて、みんなで一生懸命採集しています!
「そういえばウタ殿」
「ん? なぁにドラくん」
ドラくんは少し僕に近づき、控えめに声をかける。
「アリア殿が捕らえられていたときだと思うのだが……」
「……あぁ、うん」
だから小声で……でもなんだろう。今さら……。
「お主に遣えたワイバーンたちはどうするつもりだ?」
「あー、えっとね……ん? ワイバーン?」
「戦って助けたのだろう? ずいぶん感謝していたぞ? 正気を取り戻すことも出来たし、ミーレスを倒してくれたお陰で自分達を縛っていた鎖も簡単にちぎれるようになって逃げられたってな」
「待ってドラくん僕……使役したつもりなかったんだけど。え? じゃあ例えば……例えばだよ? 今呼べば来ちゃうの?」
「来るぞ? まぁ、名前はつけられていないから正規の主従関係とは違うがな。あいつらはお主に誠意をもって接するだろう」
「……? なんの話をしているんだ?」
この話は……悪いけど、アリアさんにも聞いてもらわないとダメだな。僕はみんなを集め、ざっくりと今ドラくんから聞いたこと、あのとき、あの場所で起こったことを話した。
「え……ウタさん、そろそろすごくないですか? 使役している魔物がスライムとダークドラゴンとワイバーン×5って……ドラゴンキラーじゃないんですから」
「しかもそのうち二体は人になってるしな」
「それは僕のせいじゃない」
まぁどちらにせよ、使役したくない理由もないんだよなぁ。せっかく慕ってくれてるんだし、僕にとっての利点も多い。
「僕は使役しようかなーって思うんですけど、どう思います?」
「いいんじゃないのか? そもそも、決めるのはお前だ」
「じゃあ使役しよう……。さすがにここで呼んだらまずいよね」
「クラーミル内の森だからな。まずいだろ」
「今度船で海に出ましょうか! 海上なら誰の迷惑にもなりませんし」
「そうだね。じゃあ、次海に出ることがあったらその時に使役するよ。
ドラくん、その子達に伝えることってできたりするのかな?」
「今から我が行ってこようか? ここからマルティネスならば10分もかかるまい」
「え、人じゃん! 大丈夫なのドラくん」
「ポロン殿。心配には及ばん。向こうの川を下っていけば5分ほどで海に出られる。そこから元の姿でマルティネスまで戻ればいいことだ」
「なるほど、そういうことか」
「して、どうするウタ殿」
「うん、じゃあお願いしようかな。ドラくんから僕らのいる場所は分かるの?」
「ウタ殿のいるところならな」
「それじゃ、問題なしっと。お願い!」
「では行ってくる」
にこりと微笑み、ドラくんはたたっと川の方に走っていった。そしてすぐに見えなくなる。
さすがドラくん。人間になってもけた違いに強そうだ。……個性の塊'sはその更に上を余裕で行くのだけれど。
……その時不意に、突き刺さるような視線を感じた。
咄嗟に後ろを振り向くが、誰もいない。今のは……なんだったんだろう。視線だけしか感じ取ってはいないが、そこから確実に伝わる『悪意』そしてそれは確実に……
「……ウタ?」
スラちゃんに向けられていたものだった。それに気づかなかったのか、スラちゃんは僕に近づき、下から顔を覗き込む。水色の、スライム色の優しい瞳に、不安げな僕の顔が映り込む。
「大丈夫? なんか、怖い顔してたよ……?」
「いや……うん、大丈夫」
答えたところで、また視線を感じて振り向く。そこには、一つの人影があった。
……どこかで見た、人影だ。あぁそうだ。確かギルドの野次馬の中にいた男性だ。でもなんで? どうして僕らつけてくる? あのとき特にめぼしい情報なんて……。
…………スラちゃんが、僕の腕をぎゅっと、少し痛いくらいにつかんだ。ハッとして振り向くと、その体はガクガク震え、小さな体で、僕に助けを求めているのがわかった。
僕はその目の前にしゃがみこみ、視界を隠すようにスラちゃんを抱き締めた。
「ウタ……ウタ……。ぼく、あの人、やだ…………!」
「大丈夫、大丈夫だよ。僕がいるから。守ってあげるから、大丈夫だよ……」
「ウタ……、スラちゃん……? どうした、なにかあったか?」
「……アリア姉、あの人」
ポロンくんがその人に目をやると、その人はパッと後ろを振り返り、そのまま走り出した。
「あっ……!」
「ポロン、追いかけよう!」
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