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自分の声は聞こえますか?
伝えなきゃいけない
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『…………やめて……』
エマさんは、僕の手を払おうとする。腕の中から抜け出そうとする。けれど、僕はそれを許さなかった。しっかりと抱き締めて、離さなかった。
『やめてよ。私が助けられる理由なんてないでしょう? 苦しんでなんかない』
「エマさん……嘘はもう、やめてください。十分苦しんでます。辛い想いをしています。泣きたいのを必死に我慢して、ここにいること、僕らはちゃんと分かっています」
……アリアさんたちが、体制を持ち直した。アリアさんの心が動いたのを感じる。そう、アリアさんは強いんだ。僕なんかより、ずっと。
たくさんの苦しい想いを抱えて、たくさんの過去を乗り越えて、たくさんの責任を負って、たくさんの期待を背負って。……Unfinishedは、全員揃わなければ成立しない。ここから出ることができれば、また、Unfinishedに戻れる。
この空間には、どうやらヒビが入ったようだ。ヒビをこじ開けて外に出ることも出来るかもしれない。いや、きっと出来るのだろう。試していないだけで。
なぜ試していないか? ……答えは明白だ。僕は……エマさんも助けたい。ここで出ていったら、余計に罪の意識を背負うだけになるだろう。
『私は誰も助けられなかった! アリアも、国王も、ディランも……誰一人、助けることが出来なかった。守ることが出来なかった。意味の無い日々ばっかり過ぎていって、根本的なところはなにも変わっていないの!
助けたい、それだけなの。それだけだから……いいから、早く、私のことを倒して、殺して……』
「絶対に嫌です!」
僕は断言する。そして、うつむいたままの顔を手で上に向かせる。そして、しっかりと目を合わせて、笑った。
「殺せるわけ、ないじゃないですか」
『……ウタくんはね、優しすぎるの。それじゃダメなの。私は敵……殺さなければ生きていけないような世の中なの。今まで、運が良かっただけなのよ。ウタくん……なんの犠牲もなく、強く、生きていけるわけ無いじゃない。
私たちは、たくさんの命を奪ってる。今この瞬間だって、どこかで誰かが死んでる。どこかで誰かが、誰かを殺してる。そしてその血肉を糧に生きていくの』
「…………」
『甘いのよ、全部、全部……!』
エマさんの手が、僕に触れる……瞬間、体に強い衝撃が走った。魔法を放たれたのだということはすぐに分かる。……ただ、どんな魔法なのかは分からなかった。エマさんの動きに、頭が追い付かない。
何度も何度も、魔法が体を貫いた。……わかってる、これはあくまで精神世界のようなものだ。本物の『僕』は、外でUnfinishedと戦っている。ここにいる『僕』は、死ぬことはない。だって実体がないのだから。
……その代わり
「っ……エマさん……!!」
『お願いだから……っ、私に希望を見せないでっ!』
「うっ……エマさん!」
痛みや苦しみが、終わることもない。
しかもそれは、『僕の』だけではないのだ。
『お願い……やめて…………っ、傷つけたくなんかないの……諦めて…………!』
「…………エマさん……」
僕が、エマさんと過ごした時間は、ごくわずかだ。それでも、エマさんがどんな人なのかは、なんとなく分かる。
優しくて、人をからかうのが好きで、アリアさんのことが大事で、ディランさんのことも大切で、僕らのことも、大切に思ってくれていて。自分より、周りを一番に考える人だ。だからこそ……疑心暗鬼は封印していたスキルで、今、この瞬間に、解放したのだろう。Unfinishedを守る。それだけのために。
その想いを止めるのは、正しいことなのだろうか。僕らはここで引くべきじゃないか。
…………いや、違う。
『お願いだからここでっ…………』
エマさんが、ハッと息を飲んだ。それは、僕があるものを、懐から取り出したからだ。
小さな巾着袋……そう、昔、アリアさんがディランさんに渡し、あのとき森で、ディランさんが僕に託したものだ。……エマさんに見せるのは、初めてだったかもしれない。
「……僕は、ディランさんに、アリアさんを守るように言われた…………少なくとも僕は、そう言われたと思った! だから、これを託されたんだって!」
『…………』
「僕は、アリアさんたちを守りたい。Unfinishedを守りたい。エマさんも、エドさんも、サラさんも、彰人さんも。守られる立場かもしれないけど……個性の塊'sだって、守りたい。僕に関わった、全ての人を守りたいんです」
そして……僕は、巾着の中から花を取り出し、微笑んだ。
「僕は……伝えなくちゃいけない、ディランさんに。アリアさんは、あなたがいなくちゃダメなんだって。あなたのことを、本当に心から愛しているんだって!」
『……だからこそ、ディランは身を隠している。アリアを、傷つけないように!』
「アリアさんは彼を求める! ……僕じゃ、代わりにはなれない。アリアさんは、ディランさんに会いたいはず」
そしてそれは、エマさんも同じこと。
「…………僕は、あなたにも伝えなきゃいけないことがあります」
『……なに、を』
「ありがとうございます、僕らのことを、大切に想ってくれて。大丈夫、絶対に生きて帰ってきます」
エマさんは、僕の手を払おうとする。腕の中から抜け出そうとする。けれど、僕はそれを許さなかった。しっかりと抱き締めて、離さなかった。
『やめてよ。私が助けられる理由なんてないでしょう? 苦しんでなんかない』
「エマさん……嘘はもう、やめてください。十分苦しんでます。辛い想いをしています。泣きたいのを必死に我慢して、ここにいること、僕らはちゃんと分かっています」
……アリアさんたちが、体制を持ち直した。アリアさんの心が動いたのを感じる。そう、アリアさんは強いんだ。僕なんかより、ずっと。
たくさんの苦しい想いを抱えて、たくさんの過去を乗り越えて、たくさんの責任を負って、たくさんの期待を背負って。……Unfinishedは、全員揃わなければ成立しない。ここから出ることができれば、また、Unfinishedに戻れる。
この空間には、どうやらヒビが入ったようだ。ヒビをこじ開けて外に出ることも出来るかもしれない。いや、きっと出来るのだろう。試していないだけで。
なぜ試していないか? ……答えは明白だ。僕は……エマさんも助けたい。ここで出ていったら、余計に罪の意識を背負うだけになるだろう。
『私は誰も助けられなかった! アリアも、国王も、ディランも……誰一人、助けることが出来なかった。守ることが出来なかった。意味の無い日々ばっかり過ぎていって、根本的なところはなにも変わっていないの!
助けたい、それだけなの。それだけだから……いいから、早く、私のことを倒して、殺して……』
「絶対に嫌です!」
僕は断言する。そして、うつむいたままの顔を手で上に向かせる。そして、しっかりと目を合わせて、笑った。
「殺せるわけ、ないじゃないですか」
『……ウタくんはね、優しすぎるの。それじゃダメなの。私は敵……殺さなければ生きていけないような世の中なの。今まで、運が良かっただけなのよ。ウタくん……なんの犠牲もなく、強く、生きていけるわけ無いじゃない。
私たちは、たくさんの命を奪ってる。今この瞬間だって、どこかで誰かが死んでる。どこかで誰かが、誰かを殺してる。そしてその血肉を糧に生きていくの』
「…………」
『甘いのよ、全部、全部……!』
エマさんの手が、僕に触れる……瞬間、体に強い衝撃が走った。魔法を放たれたのだということはすぐに分かる。……ただ、どんな魔法なのかは分からなかった。エマさんの動きに、頭が追い付かない。
何度も何度も、魔法が体を貫いた。……わかってる、これはあくまで精神世界のようなものだ。本物の『僕』は、外でUnfinishedと戦っている。ここにいる『僕』は、死ぬことはない。だって実体がないのだから。
……その代わり
「っ……エマさん……!!」
『お願いだから……っ、私に希望を見せないでっ!』
「うっ……エマさん!」
痛みや苦しみが、終わることもない。
しかもそれは、『僕の』だけではないのだ。
『お願い……やめて…………っ、傷つけたくなんかないの……諦めて…………!』
「…………エマさん……」
僕が、エマさんと過ごした時間は、ごくわずかだ。それでも、エマさんがどんな人なのかは、なんとなく分かる。
優しくて、人をからかうのが好きで、アリアさんのことが大事で、ディランさんのことも大切で、僕らのことも、大切に思ってくれていて。自分より、周りを一番に考える人だ。だからこそ……疑心暗鬼は封印していたスキルで、今、この瞬間に、解放したのだろう。Unfinishedを守る。それだけのために。
その想いを止めるのは、正しいことなのだろうか。僕らはここで引くべきじゃないか。
…………いや、違う。
『お願いだからここでっ…………』
エマさんが、ハッと息を飲んだ。それは、僕があるものを、懐から取り出したからだ。
小さな巾着袋……そう、昔、アリアさんがディランさんに渡し、あのとき森で、ディランさんが僕に託したものだ。……エマさんに見せるのは、初めてだったかもしれない。
「……僕は、ディランさんに、アリアさんを守るように言われた…………少なくとも僕は、そう言われたと思った! だから、これを託されたんだって!」
『…………』
「僕は、アリアさんたちを守りたい。Unfinishedを守りたい。エマさんも、エドさんも、サラさんも、彰人さんも。守られる立場かもしれないけど……個性の塊'sだって、守りたい。僕に関わった、全ての人を守りたいんです」
そして……僕は、巾着の中から花を取り出し、微笑んだ。
「僕は……伝えなくちゃいけない、ディランさんに。アリアさんは、あなたがいなくちゃダメなんだって。あなたのことを、本当に心から愛しているんだって!」
『……だからこそ、ディランは身を隠している。アリアを、傷つけないように!』
「アリアさんは彼を求める! ……僕じゃ、代わりにはなれない。アリアさんは、ディランさんに会いたいはず」
そしてそれは、エマさんも同じこと。
「…………僕は、あなたにも伝えなきゃいけないことがあります」
『……なに、を』
「ありがとうございます、僕らのことを、大切に想ってくれて。大丈夫、絶対に生きて帰ってきます」
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