2 / 25
2
しおりを挟む「流石に忙しいねぇ」
「そうだねぇ」
迎えの車の中で身を寄せ合いながら、僕らはぼんやりと呟く。
「眠いねぇ」
「睡眠時間足りないもんねぇ」
そして、うとうとと目を瞬かせる片割れの声に、あくびまじりに返すのだ。
「移動、三十分だっけ」
「うん。ちょっとでも、寝なきゃねぇ……」
人気が出てから僕らのスケジュールは、ずっと分刻み、秒刻みだ。
学校を一時間目で早退して、ドラマの打ち合わせに駆けつける。
台詞の読み合わせを終えれば、次は歌とダンスのレッスンだ。
車の中で食事を取ったらスタジオに到着、CM撮影の準備の合間に一つ目のインタビューを受ける。
二人で呼吸を合わせて声を揃えるタイプのよくあるCM撮影が終わったら、二つ目のインタビューだ。
ふたり交互に雑誌取材と撮影が入り、最後は揃ってくっついた写真を撮って終わり。
事務所に戻る移動車の中で三つ目のインタビューを受け、事務所に着けばコンサートとやらについての会議がある。
全てが終わって帰宅した後は、ドラマの台本を覚え、明日のテストの勉強がある。
我ながらドン引きの多忙さだ。
「平均身長って、どれくらい?」
「僕らより、七センチくらい大きいらしいよ」
「みんな大きいねぇ」
「学校でも僕ら、小さいもんね」
いくら成長期でもこんな生活では背が伸びるはずもない、と僕らは苦笑し合う。
「父さんは大きかったけどね」
「母さんは小さかったしね」
父の高身長に憧れていた僕らだが、小柄だった母と同じくらいにしか伸びていない。
それに、十四歳になっても、まだ二次性徴も遅く、バース性もなかなか判明しなかった。
それもまた、ファンの人たちは、謎めいていて神秘的だと喜んでいたらしい。
「ユーとシュンは天使だから、性別がないんだ!」
「彼らに関してだけは納得できる」
「神様この時代に天使を遣わせてくれてありがとう!」
なんて、ありえない妄言がSNSでは飛び交っていた。
みんな面白半分で、バース性が判明するまでの暇つぶしに過ぎなかったのだろうけれども。
『今話題の双子ユニット、時野悠&時野瞬
彼らの繋がりの深さ。そして噂の無性について、秘密に迫る』
僕らは生まれた時から、ううん、生まれる前から一緒だったので。
二卵性双生児ですけど、二人で一つって感覚が強いんですよね。
僕らの考えは大体同じだから、どっちの名前で書いてくれてもいいですよ。
え?頭の中がわかるのかって?
わかりませんけど、でも同じなんです。
だって同じ環境で育って、同じ考え方と趣味嗜好を持っているんだから、同じに決まっているじゃないですか。
兄弟なんてそんなものじゃないんですか?
あ、違うんですか。
へぇ。
僕らは、違うのなんて、髪と目の色と、名前くらいですけどね。
で、性別の秘密、でしたっけ。
僕らもわかってないんです。
まだ判明していなくて。
背が低いからですかね?
親は高かったんですけど……忙しすぎる?
あはは、おかげさまで。
ありがたいことです。
二人の性別ですか?
うん、同じだといいなと思いますし、……まぁきっと同じだと思ってますけれどね。ふふ。
そうですね、ちょっと楽しみですね。
二人の性別が違ったらどうするか?
どうしましょうね。
大パニックになりそうです、……社長とファンの方たちが、特に。あはは。
僕らは変わりませんよ。
ずっと一緒にいたんだから、これからもそのままです。
ずっと隣に立って、背中を守って、抱きしめあって生きていきます。
ええ、二人ともそのつもりです。
あはは、聞かなくったって分かります。
だって僕らは、生まれる前から一緒なんだから。
死ぬまで一緒に決まっているじゃないですか。
3
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻改稿版を他サイトにて投稿公開中です。
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
アルファの双子王子に溺愛されて、蕩けるオメガの僕
めがねあざらし
BL
王太子アルセインの婚約者であるΩ・セイルは、
その弟であるシリオンとも関係を持っている──自称“ビッチ”だ。
「どちらも選べない」そう思っている彼は、まだ知らない。
最初から、選ばされてなどいなかったことを。
αの本能で、一人のΩを愛し、支配し、共有しながら、
彼を、甘く蕩けさせる双子の王子たち。
「愛してるよ」
「君は、僕たちのもの」
※書きたいところを書いただけの短編です(^O^)
伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい
マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。
最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡)
世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
2026/02/14 累計30万P突破御礼バレンタインSS追加しました
2026/02/15 累計いいね♡7777突破御礼SS 19時に公開します。
様々な形での応援ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる