僕とあの娘

みつ光男

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第03章. ライブがはねたら

【知ってるよ】

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 後に舞はこんなことを話していた。


ー 私、アマチュアバンドのステージ観るのが好きで
有香に連れてってもらってよく観てるんだけど

今まで会って話したバンドの人ってみんな、
カッコつけてクールな雰囲気出してるのに
基本、女の子の事しか考えてない

音楽をする理由が不純って言うか不健全なんだよね、


彼女にとってバンドマンは
マイナスなイメージしかなかったようだが

僕のノリがあまりにも普通だったので
ちょっとびっくりしたらしい。

とは言えこの日、僕は舞とはほとんど話さかった、
無口なバンドマンだと思われたのかも知れない。

舞とあまり話せなかったのは
ライブが始まる直前だったし

その時一緒にいた有香と決定的に違う点

それは…

舞はまだどことなく
僕に気を遣っているように思えたことだった。

まだ2回目と言うこともあっただろうが
舞は有香のように
すぐ人と馴染めるタイプではなさそうだった

時間をかけて関係性を築いていくタイプ、
なのかも知れない。

 この時のライブの事はよく覚えている、
カバー曲を数曲と
出来たばかりのオリジナル曲を1曲演奏した。

見に来てくれた下宿の仲間やクラスの友達
有香や舞の事も多少意識していたけど

これだけ知ってる顔が並ぶ会場で
カッコ悪い姿を見せたくなかったのだろう、

美波が来ることも有香から聞かされていた。

これは後に有香から聞いた話だが

舞が僕たちのバンドのライブを観たのは
この日が初めてではなかったそうだ。

少し前の「サマーコンサート」の時も
有香と一緒に来ていて

「あの人は有香の友達なの?」

「あ…この前友達になったとこ、何か面白い人だよ、バンドマンぽくなくてさ」

そんな会話があったらしく、

「ボーカルの人、髪立てたら結構カッコいいかもね」

その時舞は言ったらしい。

「それなら次のライブには立てるように言ってあげるよ」

「え?そんなの頼んでやってくれる人なの?」

「うん、いい人だから」

こうして今回の"髪立て"の話が勃発したようだ。

そんな事は露知らず僕はステージで歌い
踊り狂っていた。

ライブの後、有香たちがやってきて
これからご飯食べに行こう!と盛り上がったが

僕はこの後はライブの打ち上げがあるから
残念だけど行けないと答えた。
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