僕とあの娘

みつ光男

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第10章.  つづいてゆくのかな?

【余計な詮索】

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…コウイチくん

さっき、何か様子がおかしかった
私の思い過ごしかな?

この部屋に入るまでずっと
表情が浮かない感じだったんだけど

手を繋いで…何か思い出したとか?

この部屋に何か思い出みたいなのが…
そりゃ、きっとあるよね

私、まだ一緒に過ごすようになって
2ヶ月しか経ってないんだもん

それまでに彼女…とかいたり
女の子の友達だってきっと

この部屋に…来たりしてる…よね?

あ、そう言うの考えるのやめよ
私もきっと顔に出ちゃってる

うん、ここはひとまず平静を装って…

「ねぇ、コウイチくん?」

「ん?どうしたの?」

あ、よかった
いつものコウイチくんに戻ってる

「レンタル屋さん、行かない?、私、ちょっと聴きたい曲があって」

「お!いいね!行こ行こ」

「ごめんね、ここに来る前に言えばよかった…よね?」

「いいよいいよ!下宿の裏側にある地下駐車場から抜けて行ったらすぐなんだけど、知ってた?」

「そうなんだ?行ったことないよ、そっちから」

「じゃ、行こっか」


「うん!何か秘密の通路みたいで楽しそう」

「実は地下にゲーセンがあってめちゃめちゃ取りやすいクレーンゲームがあるんだ」

「え!行ってみたい、ねえねえ帰りに寄ってもいい?」

「うん!行こう」

よかった、やっぱり私の思い過ごし…


また…手…繋いでくれた
今度はさっきより握り方、優しい…あったかいな


 こうして部屋に入ったばかりの二人は
再び外に出てレンタルショップへと向かった。


ところで…舞の勘はとても鋭い、

もしかしたら僕が何か考えていたことを察して
気分転換のつもりで部屋に入った直後に
CDレンタルに誘ったのだろうか?

いやいや、それはさすがに考えすぎか?

まさかこれまでにこの部屋に来た
全ての女子のことを知っている訳ではないのに。

きっと僕の思い過ごしだろう。

何よりもこうしてお互いが
目に見えない駆け引きをするなことなんて
僕たちの間にはある必要がないし
舞だって今更僕の過去なんか詮索する気はないだろう。

僕はその時の心情がすぐに顔に出るタイプだ

舞に変な気遣いをさせたくないし…

「あっ、俺あっちの洋楽のコーナーちょっと見てくるね、借りたいの決まったら教えて」

「はーい、ごゆっくり~」

少し頭を冷やそう
まさかここに来て美波とのことを思い出すなんて

まさか僕自身が舞とも
"そのような関係" になることを望んでいる?

でもそれはそれで間違いじゃない、舞が望むのであれば。


一方、舞は先ほどのことなどすっかり忘れて
CDをあれこれ見ていた、

その時…

「あれ?舞じゃない?どうしたの、こんなとこで」

声をかけてきたのは

「あっ!有香!」

教室以外では久々の対面となる有香だった。
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