ゲームオーバー

みつ光男

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Act 4. 妄想癖

【迷走する妄想】

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 突然だがここで、このアイドルグループ内における
私の推しメン事情を今回の出来事と結びつけてみたい。

ここ数ヶ月の間私の心はかなり揺れていた。

これまでヒトミのことを推しメン、推しメン…
そう綴ってきたが

実は…少し前までは
ラジオ番組で恐怖体験を語っていた
ミサキこそ私のメインなる推しメンであった。


そして"ショートカットの現推しメン"

ヒトミ…

実はこのグループが発足した頃、最初に気になったのは
ミサキ…ではなくヒトミの存在だった。


 そんなヒトミとミサキはとても仲がよく
二人が共演した動画配信がきっかけで
ミサキの存在を知ることとなり

次第にヒトミ以上にミサキのファンとなっていった。


ところが数ヶ月前、ふとしたきっかけで
ヒトミが投稿したSNSにコメントすると返信をもらった。

これまでミサキからの返信は一度もなかったため

「ヒトミっていいよな!」

飛び上がるほど喜んだのは言うまでもない。

きっかけと言うのはいつでも些細なもので
人間と言うのは極めて単純明快な生き物だ、

そこから先は再びヒトミの存在が大きくなり
今に至っている。


 そんなどうでもいいような話が何故
今回の奇妙な体験と結び付くのか?

その鍵になるのが実はあの時スマホから流れた
"あの曲"だった。

"あの曲"は先述した通りヒトミが選抜された曲であるが
それと同時にミサキもメンバーとして選出されており

その曲をヒトミから届くメールの着信に設定している。

かつて届いていたミサキからのメールはと言えば・・・
彼女に関して今は言及しないでおこう。


 そんな曰く付きの曲が突然深夜の車内で流れ始めた、
奇しくもミサキの恐怖体験と同じシチュエーションで。

この現象は私の推しメンへの曖昧なスタンスに対する
みそぎであると判断した。


ヒトミからの「私だけを応援して」、そんなメッセージと
もしくは「私のことはどうなったの?」と言わんばかりの
ミサキからの警鐘。


 帰り道を逆走したことを心境の変化に例えるならば
逆走とは即ち私の心が再びミサキに傾きかけた、
そう仮定できる。

それはあながち否定できない部分がある
穏やかなミサキの人柄はいつでも私の心を捉えてきた。

そこに

"そっちでいいの?"

と言う、ヒトミからのメッセージが込められていた?

あの曲を流すことで再びミサキに動き始めた私の心を
ヒトミが引き戻そうとしているのでは?

そんな意図であの曲が流れたのであれば
この不思議な現象にも納得がいく…のだが


・・・そんなはずはない

そんなはずがあるわけないだろう。


そもそも誰も操作していないスマホから
突然音楽が流れるなんて

・・・あり得ない。
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