転生令嬢の危機回避術の結果について。

ユウキ

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「いやいやいやいやいや…無理無理無理。無理だってば。
よく考えて?幾ら未婚で嫁ぎ遅れ、処女っぽい高位貴族の女性がいないからって、勉学に励んで薬学の博士号取っちゃった私なんか安直に選ばなくっても、他国から……いや、後妻にそれはないか。いやいや、だからって私じゃなくっても良くない?!」


ベッドの上で氷嚢を頭に当てながら、到底独り言とは思えない音量で呟く(?)のは、今年で21歳になる侯爵令嬢、クリスティーナである。


彼女は21歳にもなって驚きすぎて倒れて知恵熱を発して寝込んだ事に反省しつつ、自分よりも大慌てな両親を見てスンっ……と冷静になった。


が、それとこれとは別である。


侯爵家次女であるクリスティーナは、現在の嫁ぎ遅れ&研究ライフにどっぷりと浸る為に、これまで並々ならぬ努力をしてきたのだ。

幼い頃、同い年の子を集めた王宮でのお茶会を態と薄着で過ごして風邪をひくことで欠席し、勉強は突出しないように気をつけ平均よりもやや高めを維持しながら、本の虫さながら図書室に引きこもり、何だかんだと人付き合いをシャットアウト。

常に地味に、目立たず、少々変わり者な立ち位置を維持する努力を怠らなかった。

変わり者を演じるうちに、花より葉っぱを愛でていたら本当に興味が湧いて、薬学の道に突っ走ってしまったのはご愛嬌というものだろうか。

3人兄妹の兄と姉が無事良縁に恵まれたのだから、自分は嫁がずに「領地の助けになりたい!」っとさも高尚な事を口走りながら薬学の道に少々強引に突っ走り、隣国へ足を伸ばして博士号を取得して、家に還元できるよう税金の一部を資本にした薬局を作り、領民には3割の値段で販売したり……とまぁ、やっとこ有言実行出来てきた矢先の話である。

何がいけなかったか、さーーーっぱり思いつかなかったクリスティーナは、父親を問い詰めたところ、思い当たる節なんて…………



「そういえば、2年前くらいに久々に王宮で会った大先生に聞かれた……ま、まさかソレ?」



…………あった。

侯爵家である現当主であるクリスティーナの父エリアルトが言う「先生」とは彼が幼き頃、領地経営にも欠かせない流通科学と近隣国との情勢を教えた人であり、現在の元老院の1人であるヨゼフであった。


「お父様、私のことは『嫁の貰い手もない、葉っぱにばかり興味を示す不器量な変わり者で』と説明してって言ったわよね?」

「ぃや、うん……まぁ、そう、だが……大先生とお茶をしながら昔話に花を咲かせていたら……こう、つい?」

「もう、ティナったら、アル様が愛する家族を貶すような事言うの、無理だってこと分かってたでしょう?」

「そうだけどっ、お母様…」

「そもそも油断したお前が悪い。博士号なんぞ取ってくるから、薬局の件もお前が噛んでいる事が露見したんだろう」

「だってお兄様、博士号取ったら薬の原材料の取得権が破格で優先されるって言うし…ここまで来たら五十歩百歩かなって」

「お前の絶妙な調合のお陰で流感での死亡率が著しく減り、薬の補助目当てで移住者が増えた。余剰分を他領へ割増料金で売って収益アップして妙に功績作っちゃったしな…」

「う゛ぅっ……国王となられて結婚出産したから、一安心だしもう自由だって思って…。まさか王妃様が儚くなられるなんて……!」



とっても栄誉な事であるはずの通知に、頭を抱えてベッドの上で突っ伏したクリスティーナを見つめ、侯爵夫妻と兄マイルズは残念なものを見る目で見つめて溜息を吐いた。
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