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しおりを挟む幼少の頃、突然ふと鏡に映った自分を見て、他人事の様に「ちょっと上がってる目尻が悪役っぽい」と思ったことがきっかけで前世を思い出したクリスティーナは、怒涛の如く降り注ぐ前世独身アラフォー OLだった人生の記憶を自室に引きこもって整理し、クリスティーナに定着・融合した。
そうしているうちにクリスティーナはハッと気付く。
「転生のお約束といえば、乙女ゲーム」
プギャーするのかされるのか。そこで鏡に映った自分をもう一度マジマジと見たクリスティーナは確信した。
「プラチナに近い金髪に、やったら整った顔。ちょっとばかり釣り上がった目尻……間違いない、これは悪役令嬢パターンね!」
早々に見切ってやったわ!と運命を相手取って悪役令嬢さながら「オーッホッホッホ」と高笑いポーズを決めて(案外様になっていた)勝利を確信したが、嵌まり込んだライトノベルはあっても乙女ゲームはない。
考えても仕方ないので、王道パターンを想定して対策を練ることにした。
ストーリーに組み込まれない様に、野暮ったくして高位貴族のめぼしい男ども(王子・宰相息子・魔術研究所所長の息子・騎士団長息子)が結婚するのを見届けるまで逃げ切れば勝ちね!と最高と信じてやまないプラン(?)を思いついたのが……
今では丸っと綺麗な黒歴史である。
「えー?なんだっけ。良い歳こいた後妻が育ってきた美幼女に嫉妬して狩人に命じて臓器持ってこさせて?でも生きてて農夫…工夫…だっけ?に保護されてる所を執念で見つけだして、食い意地張った子供に毒林檎食わせてやったぜ成功!んで、死体はネクロフィリアが一目惚れしてテイクアウト……?ところが途中で生き返って結婚して?王妃は悪事が陛下にばれて断罪、灼熱の鉄の靴を履かされるんだっけ?」
むかーーーーーーぁしに見た記憶のある物語を、少々大人の偏見混じりで大まかな流れをなんとか思い出したクリスティーナは、眉間に皺を寄せて「断罪トラップ来たコレ」ボソッと吐く。
確かに庭で見たスノウはとっても可愛く、北欧系塩顔が中心のこの国でははっきりぱっちりしたソース顔立ちはとっても目を惹く様になるだろう。言うなれば色素の薄い塩顔の群れの中に色素の濃いソース顔が混ざる様なものだろうか。
いやでも目立つこと請け合いである。
だからと言って、前世を含めると“良い歳”どころでは無いクリスティーナは、可愛い美幼女を愛でることはできても「ちょっと可愛すぎるから臓物ぶんどってきて」とか「よっし、ジェラシー感じちゃったから毒殺しよう」なんていうお手軽サイコホラーな犯罪の発想自体ひっくり返っても出てくるはずもない。
確かに異世界転生先が悪役令嬢……というか悪役ではあったのだが。
「………………敵は強制力か」
お約束を回避すべく、クリスティーナは心の中で敵(?)を定めた。また黒歴史に刻まれない事を願いながら。
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