転生令嬢の危機回避術の結果について。

ユウキ

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にっこりと微笑むと、口元を引き攣らせる匂わせ女。こいつは小物だとクリスティーナは判断してリストから排除した。

最後に目を留めていたのは、王権派の侯爵家のご令嬢、ナリシア。扇子を広げて顔を隠して微笑む姿は様になっている御歳19歳のご令嬢である。


「そうですわ。婚約者様は子爵家のご嫡男でしたわよね。小さな不安の種にご縁を絡め取られないとも限りませんわ」


そう言う彼女の婚約者は伯爵家の嫡男である。
爵位の差から言っても、「自分は絶対そうならないけれどね」と言いたいのが透けて見えて、それが伝わったであろうオレリーは微笑みながらも鋭い瞳でナリシアを見ている。


まぁ、総じてここにいるご令嬢達の魂胆はこれである。


『婚約者さえ居なかったら、王妃に選ばれていた筈だった』


一度は目指す王妃という座。
その大変さや重責など度外視で、憧れる貴族女性の最上位の席を未だ夢見ているご令嬢たちは、今でも未練を残してポッと出のクリスティーナに掠め取られた感が否めない様だ。


きゃっきゃしているのにどこか殺伐としていて、肌がピリつく感覚にクリスティーナは遠い目をしながら「スノウたん元気かなぁ」と意識を飛ばしながらその日のお茶会は幕を閉じたのだった。



お茶会ラッシュがひと段落ついた翌日。



「ミラはどう思う?」


クリスティーナは、王妃の執務室でソファーの背もたれに体重を預けながら、鉄壁無表情侍女ミラに問いかけた。


「まだ何とも……ですが、ご令嬢方は何か含みを持っている様に感じました。


「そうよねぇ……確かに彼女たちの中から本来なら選ばれていてもおかしくはなかったのよね。前王妃が儚くなられた時点で、該当する高位の貴族女性が私だけだっただけなんだし。
低位の子達まであんな風に目をギラギラさせるのは、前の方の身分が元子爵あったせいとは言え……」


「しかし現在はクリスティーナ様がその座に着かれております。今更変更なんてできようはずもありません」


「………………生きていたら。よね」
「王妃殿下っ」

「まぁまぁ落ち着いて。私の生死以外で考えられるものは?」

「…………あり得ませんが、王妃殿下より先に御子を授かること…でしょうか」
「そうよねぇ、普通はそう来るわよね」
「身辺警護を強化致しましょう」

「まぁ、待って。尻尾を出させましょう。早く解決したいんだけど、仕方ないわよねぇ」


クリスティーナは身を起こして、座ったままミラに向いた。



「彼女たちを私付きに。家にも通達をしてちょうだい」
「っ、畏まりました。陛下にご報告は如何いたしますか?」

「んーーーー。後で言うわ」


ウフッと微笑んだクリスティーナに、ミラは眉を下げて了承を返して部屋を下がっていった。


「あとでね~」


部屋には忘れる気満々であるニュアンスで、楽しげにもう一度繰り返された言葉が響いていた。


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