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幼馴染の王子が、前世の記憶を思い出したらしい

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「ね、驚いた?」

叔父の消えた扉から正面へと顔を戻すと、俺の胸に手をついて顔を上げたヨニと目が合った。

男にしては小柄でかわいらしい顔のヨニとは幼馴染。記憶にはないが、お互いにオムツを愛用していた頃からの知り合いらしい。

国の宰相を任されている叔父は仕事の多忙さに独身を貫いてしまい…
叔父の2人目の兄の5男だった俺を、赤ん坊の時に跡取りにと引き取ってくれたのだ。

因みに祖母は国の王様の乳母をしていた関係で、王子たちの乳母の取りまとめをしていた。
この国の王は、5人の妻を愛する一夫多妻制を国で1番上手に利用できている。



普段は立っても座っても俺を見上げてくるヨニと目線の高さが合うのはほとんど初めてだ。
本来の身分では俺は遥か下、身長では俺が頭一つ分上となるが、初めて対等に思えたような気がした。

「驚いただろ?」
「あぁ。」

いたたまれなくなって視線をそらした。

「ハァッ! やっぱりな。」
「その…話し方も。」
「あぁ、コレは完全に前世の記憶と…あと、ティティの前では多少はネコ被ってた。」
「ネコ?」
「あ、えと…かわいく見てもらえるように、自分を偽ってた。」
「そうか…」

沈黙が流れる。

きら…いや、やっぱり幻滅したか?」

その言葉に俺は視線をヨニに戻すと、薄暗さに慣れた視界の中、ヨニの頬に一筋の涙が伝った。

「ヨニ…」

親指の腹で乱雑にヨニの涙を拭う。

「確かに驚いた。驚いたが…」

涙を堪らえようと必死に抗おうとしている表情が……かわいい。

「それだけだ。ヨニの本質は変わらない。ヨニはヨニだ。」

言えばヨニは目を見開いて、今度は口元に笑みを浮かべる。

「ホラ! ティティは優しい。だから、僕はティティを好きになったんだ。」

ちゅっ

その変化をボーッと見ていた俺は、唇に触れた柔らかな感触で正気を取り戻した。
触れた直後に離れて行くヨニの唇が艶っぽいなと感じていると、

「ティティ……僕は君が好きだよ。もう離せない。観念して僕のものになって…」

ヨニの両腕が俺の頭を包むようにして顔が近付くと、激しいキスで攻められる。
口内に入り込んだ舌先で上顎の裏をチロチロと撫でられれば、なぜか背中がゾワゾワとした。
そのうち舌同士が絡められれば今度はヨニの口内へ引き入れられ、俺がヨニの上顎の裏を舌で突付く。

「ンッ…ふ…」

間近でヨニが発する声とも音ともわからないようなものに煽られるように、俺は眼の前のヨニの体にしがみつく。

息苦しくなって口を離すと、ハァハァと荒い息のヨニが俺の肩を枕にしながら首筋に舌を這わせる。

それが合図になったかのように股間に熱が集まるのを感じ、恥ずかしさで顔に熱が集まる。

「僕の告白、受け入れてくれてありがとう。
卿は誰も入って来ないようにしてくれたけど、僕としてはティティの声は誰にも聞かせたくないんだよね。
だから、今から2人だけの場所に行こう?」

パチンッ

ヨニは、俺からの返事を待たないままフィンガースナップを鳴らす。
これから始まる何かに期待したような熱のこもった瞳で俺を見るヨニに、気持ちが昂るのを感じた。


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