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デューイの罠
しおりを挟む俺には、好きな人がいる。
俺の婚姻を期に会うことは減ったけれど、たまに会いに行っては体を繋げ、欲求を満たした。
けれど何度も体を繋げているのに、俺は彼─ケビン─がどんな表情をして俺との行為に耽っているのか、見たことがない。
余裕のない喘ぎ声やナカの締め付けで、感じてくれているのはわかっている。
けれど、行為中のケビンの顔を見たいと、強く思うようになった。
とある公爵家の一人娘と婚姻中の俺は、自分が信じる行為のやり方が間違っていることに、婚姻初夜に思い知った。
俺は婚姻前、ずっとケビンと…同性としかシたことがなかった。
だから、男と女でやり方が違うことに、その日その時まで気付かなかったのだった。
で、いつもケビンとシてるように妻を誘導しようとして、処女ながら耳年増状態の妻…キャスに指摘されたのだ。
そこでケビンと俺との関係も暴露するハメになり、話しながらケビンの思惑をなんとなく察し、そのままキャスが想い人である《辺境の野獣》と清い体のまま婚姻するために様々な協力をすることとなった。
キャスから当主である公爵へ話が通ったのは、婚姻2日目。
その翌日には公爵家の諜報班へ配属となり、様々な訓練に参加…
翌月には、キャスに男同士の恋人とのエロシーンが良いというオススメ本をたくさん持たされ、辺境伯領へと旅立った。
俺の仕事は、辺境伯家に潜入してキャスの欲しがっている情報を得ることと、《辺境の野獣》にキャスを売り込むことと、《白い婚姻》を成立させるためにキャスに触れないままキャスの夫で居続けること。
そうしてどちらのミッションも終わりを迎えた時、やっと俺はキャスとの離縁…いや、婚姻状態の白紙撤回が認められ、晴れて自由の身となった。
身綺麗になった俺が向かったのは、ケビンが読み書き計算を教えている田舎町の小さな教会だ。
まぁ、田舎町に属しているというだけで、教会自体は人里離れた小高い丘の上にある。
実は辺境伯領の端っこに位置するため、俺はキャスとの婚姻中にも何度かここを訪れ、罰当たりかもしれないけど、我慢しきれずに女神像の下でケビンのナカへ俺の欲を放出した。
何度も何度も穿てば、ケビンは善がって何度も哭いて背を反らせた。
俺たちの交合は、子を成せないため世界に何も生み出さない。
ただの悦楽の果ての行為だと言える。
それを女神像の元で成すという背徳感なのか、ケビンはそれ以外の場所でシた時よりもイくのが早く、感じやすく、果てやすかった。
そのうちやっぱりケビンの顔を見たくなって、辺境へ旅立つのに暇潰しにと借りたキャスの愛読書の内容を思い出しながら、普段通りだと油断したケビンを罠にかけて、ケビンの顔を見ながら交合することに決めた。
今日ももう終わりだと、並んで寝転がる敷布の上、横たわるケビンの上に乗ると、俺はケビンにキスをした。
互いに互いが初体験の俺たちにとって、何故かキスは初めての行為で…
ものすごくものすごく、気持ち良い。
薄眼を開けてケビンを見ると、潤む瞳に半開きの唇がメチャメチャエロくて止まれなくなり、あちこちにキスマークをつけた。
「…んっ…ぁあんっ!」
臍までキスマークをつけながらおりた時、ケビンから声が出て切っ先からピュビュッと白濁が弾け飛んだ。
「ケビン…その顔、俺を煽ってる? お望み通り、今日は朝まで啼かせるから、覚悟しておいて。」
チュッ
「んん!」
俺は、礼拝堂の奥の小部屋へ抱き上げたケビンと入ると、全ての鍵をかけた。
この部屋は、雨乞いや豊穣を願って祈りを捧げるためにケビンみたいな立場の者が1週間は籠もる部屋で、簡易ベッドの他に水も食料もある。
「ケビン!」
「デュー…あンッ 酷くしてぇ!」
「いやだ。俺は今日、ケビンを甘やかすって決めてる。」
俺は、優しくケビン唇に唇で触れ、甘咬みする。
「んんぅっ…」
本で仕入れたテクニックである親指の腹で胸の突起を転がすのがイイらしく、ケビンの腰が自然に揺れ、ナカがうねって持って行かれそうになる。
ケビンの切っ先からは透明な液が静かに溢れ、たまに体を反らせてビクンビクンと動けばナカを締め付け、俺は何度も果てた。
そのうち気を失うようにケビンを上に乗せたままお互い仮眠し、そうして朝を迎えた。
じっと寝顔を見つめていれば、ケビンが目を覚ました。
チュッ
《おはようのキス》を頬にすると、ケビンは驚いたように目を見開く。
「おはよう。なぁ、知ってた? 俺、ケビンのこと、ちゃんと愛してるんだぜ!」
チュッ
今度はケビンからの初めてのキス。
「僕も、デューイをずっと好きだったよ。」
最愛のケビンからの言葉に、俺は感極まって泣いてしまった。
それからまた、俺から唇にキスをして、またもう数回行為をしてしまったのは、言うまでもない。
おしまい
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