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1部『タルタロス建国編』 序章 『大魔境での新生活』
2話 『追放』
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現在、無事洗礼の儀を終えた俺とユジンは司祭の案内のもとギルバートとイレーヌが居る控室へと連れられている。
コン、コン
「どうぞ」
「侯爵閣下、大変お待たせしました。……少々ハプニング?的なものもありましたが、洗礼の儀滞りなく無事に終わりました」
「うむ、そうかご苦労だったな司祭――――」
ギルバートが司祭を労う言葉をかけているとその言葉を遮るようにユジンが横から割り込んだ。
「そんな事より父上、俺のステータスカード見て下さいよ。【上級剣士】の職業を授かりましたし二柱の神様からも加護を頂いたんですよ。ほら」
ユジンが先程手に入れたステータスカードを自慢げに掲げながらギルバートに言うとギルバートは片手で駆けよって来たユジンをせいすると
「ユジン、ステータスとスキルの確認は屋敷に帰ってからする。だから今は大人しくしておきなさい。ベイルお前も良いな大人しくしていろ。いいな」
何がお前も大人しくしていろだ。騒いでいるのはユジンだけで俺はどこからどう見ても邪魔にならない様に部屋の端でじっとしていただろが。
はぁ~、ユジンの奴が注意されてざまぁ~なんて思ってたのにまさか俺まで注意されるとは不幸だ~。本当に幸運力一万もあるのか――しかし俺としてはこんな家に一秒でも長く居たくないからなむしろ追放とかされた方がその後自由気ままに生きていけるしこのまま少し体が丈夫なだけの無能を演じるとするか。
「――では司祭我々はこれで失礼させていただく」
「……はい。では表まで送らせていただきます」
司祭によって教会の外まで見送られた俺達は乗って来た馬車に乗り込み侯爵家本邸へと戻った。
行きと同じく小一時間かけて屋敷に着くと空は既に夕焼けに染まり始めていた。
馬車を降りた俺達は屋敷に入り皆でそのままギルバートの書斎へ連れて行かれた。
「…………さて、では早速、今日お前達が女神さまより授かったステータスとスキルを確認させてもらうとしよう」
ギルバートにステータスとスキルを見せるよに言われた俺とユジンは自分のステータスカードに魔力を少し流すとカードをギルバートに渡した。
「……うむ、先ずユジンからだ。……おお!!ステータスは平均より少し高いのか。【職業】は……うむ先程もチラッと聞いたが【上級剣士】か。それにレベル2の神の加護を二つも授かるとはでかしたぞユジン!!……それでベイルだが……何だ!!このステータスは、ステータスは防御力だけ少し高くて後はゴミカス、しかも【職業】を授かっていないだと!!神の加護も授かっていない!!代々王国軍に幾人もの優秀な将校や軍人を輩出して来た我がウォーカー侯爵家にこんなゴミカスは必要ない!!我が家に泥を塗りおって!!ベイルお前は今日をもって我がウォーカー侯爵家から追放する。二度と私達の前に顔を見せるな。明日の朝までに出ていけいいな。そこのお前そこのゴミをさっさと物置部屋に叩き込んでおけ!!」
やっぱりこうなったか。……ここまで計画通りだな。後は明日陽が昇る前に出発するとしますか。
「わかりました。では旦那様失礼します」
「……いや、ちょっと待て、やはり追放は明日ではなく今この時に行う。それも只の追放ではないこのフォレスリンク王国建国以来、王家と我がウォーカー侯爵家を含む四大侯爵家にだけ許された罪人を裁く時だけに許された強制転移の秘術を使う。飛ばす場所は三大迷宮と同等の危険度を誇る『大魔境タルタロス』だ。それもその大魔境の中心地付近へ飛ばす。我が侯爵家の汚点を生かしておくことはやはり出来ん。直ぐに強制転移陣の準備をしろ。こいつは念のためスキル封じの手かせを付けて地下牢に入れておけ、準備が出来次第地下の転移の間に連れて来い」
「はっ!承知しました」
ギルバートが言いたい事を存分に言い放った後、俺は今まで静かに書斎の隅で待機していた執事にスキル封じの手かせをはめられ書斎の外で待機していた兵士にそのまま地下牢へと連れて行かれた。
「暫くここで待っていろ。魔法陣の準備が出来たら向かいに来てやる。それまで精々神にでも祈りを捧げておくんだな。はははは」
***
兵士が高笑いをしながら地下牢を去ってから小一時間が過ぎた頃、先程の兵士がニヤニヤした面をしながら地下牢に戻って来た。
「おう、待たせたな元侯爵家長男のゴミ君。もう神への祈りは終わったか?そろそろ刑執行の時間だ。これからお前を転移の間に連れて行く。……おらさっさと立て」
「わ、わかったからそんなに急かさないでくれ。それより刑執行の時はこの手かせは外してくれるんだよな」
「……ああ、その手かせを付けてると効果が魔法陣にも作用して起動しなくなっちまうからな。当然外す。――が、手かせが外れれば逃げられるなんて思うんじゃねぇぞ」
「そんな事思うはずないし、まず無理だろ」
って言うか何で逃げようとしなくちゃならないんだよ。どうやらこれから飛ばされる場所はちょっとヤバイ所みたいだけど、こんな家にずっといるより一万倍も一億倍もマシだっつうの。
迎えに来た兵士によって地下牢を出た俺はそのまま屋敷の地下にある転移の間に連れて来られた。
「……ん?父上達はここに来てないのか?」
「んん?……ああ、お前如きの刑の執行にご当主様方が見に来る訳ないだろ(ニヤニヤ)。そんなことよりさっさとあそこにある魔法陣の真ん中に立て、これより強制転移の刑を執行する。魔導師隊準備はいいか」
「「「「はっ」」」」
「よし、では魔法陣に魔力を込めろ」
俺をこの部屋に連れて来た兵士の体長らしき人が命令を下すと魔法陣を囲む様に立っていた魔導師のローブを着た人達が魔法陣に魔力を込め始めた。
するとたちまち俺の足元にある魔法陣から目が眩むほどの光がたち始めた。
「……ふ、ふふふ、ふははは、ふ~、これで永遠のお別れだなゴミ君。ま、精々頑張って足掻けよ。まあ、足掻いても無駄だろうけどな」
俺はこのムカつくクソ兵士のふざけた声を聞きながら世にも恐ろしい大魔境『タルタロス』へと転移して行った。
コン、コン
「どうぞ」
「侯爵閣下、大変お待たせしました。……少々ハプニング?的なものもありましたが、洗礼の儀滞りなく無事に終わりました」
「うむ、そうかご苦労だったな司祭――――」
ギルバートが司祭を労う言葉をかけているとその言葉を遮るようにユジンが横から割り込んだ。
「そんな事より父上、俺のステータスカード見て下さいよ。【上級剣士】の職業を授かりましたし二柱の神様からも加護を頂いたんですよ。ほら」
ユジンが先程手に入れたステータスカードを自慢げに掲げながらギルバートに言うとギルバートは片手で駆けよって来たユジンをせいすると
「ユジン、ステータスとスキルの確認は屋敷に帰ってからする。だから今は大人しくしておきなさい。ベイルお前も良いな大人しくしていろ。いいな」
何がお前も大人しくしていろだ。騒いでいるのはユジンだけで俺はどこからどう見ても邪魔にならない様に部屋の端でじっとしていただろが。
はぁ~、ユジンの奴が注意されてざまぁ~なんて思ってたのにまさか俺まで注意されるとは不幸だ~。本当に幸運力一万もあるのか――しかし俺としてはこんな家に一秒でも長く居たくないからなむしろ追放とかされた方がその後自由気ままに生きていけるしこのまま少し体が丈夫なだけの無能を演じるとするか。
「――では司祭我々はこれで失礼させていただく」
「……はい。では表まで送らせていただきます」
司祭によって教会の外まで見送られた俺達は乗って来た馬車に乗り込み侯爵家本邸へと戻った。
行きと同じく小一時間かけて屋敷に着くと空は既に夕焼けに染まり始めていた。
馬車を降りた俺達は屋敷に入り皆でそのままギルバートの書斎へ連れて行かれた。
「…………さて、では早速、今日お前達が女神さまより授かったステータスとスキルを確認させてもらうとしよう」
ギルバートにステータスとスキルを見せるよに言われた俺とユジンは自分のステータスカードに魔力を少し流すとカードをギルバートに渡した。
「……うむ、先ずユジンからだ。……おお!!ステータスは平均より少し高いのか。【職業】は……うむ先程もチラッと聞いたが【上級剣士】か。それにレベル2の神の加護を二つも授かるとはでかしたぞユジン!!……それでベイルだが……何だ!!このステータスは、ステータスは防御力だけ少し高くて後はゴミカス、しかも【職業】を授かっていないだと!!神の加護も授かっていない!!代々王国軍に幾人もの優秀な将校や軍人を輩出して来た我がウォーカー侯爵家にこんなゴミカスは必要ない!!我が家に泥を塗りおって!!ベイルお前は今日をもって我がウォーカー侯爵家から追放する。二度と私達の前に顔を見せるな。明日の朝までに出ていけいいな。そこのお前そこのゴミをさっさと物置部屋に叩き込んでおけ!!」
やっぱりこうなったか。……ここまで計画通りだな。後は明日陽が昇る前に出発するとしますか。
「わかりました。では旦那様失礼します」
「……いや、ちょっと待て、やはり追放は明日ではなく今この時に行う。それも只の追放ではないこのフォレスリンク王国建国以来、王家と我がウォーカー侯爵家を含む四大侯爵家にだけ許された罪人を裁く時だけに許された強制転移の秘術を使う。飛ばす場所は三大迷宮と同等の危険度を誇る『大魔境タルタロス』だ。それもその大魔境の中心地付近へ飛ばす。我が侯爵家の汚点を生かしておくことはやはり出来ん。直ぐに強制転移陣の準備をしろ。こいつは念のためスキル封じの手かせを付けて地下牢に入れておけ、準備が出来次第地下の転移の間に連れて来い」
「はっ!承知しました」
ギルバートが言いたい事を存分に言い放った後、俺は今まで静かに書斎の隅で待機していた執事にスキル封じの手かせをはめられ書斎の外で待機していた兵士にそのまま地下牢へと連れて行かれた。
「暫くここで待っていろ。魔法陣の準備が出来たら向かいに来てやる。それまで精々神にでも祈りを捧げておくんだな。はははは」
***
兵士が高笑いをしながら地下牢を去ってから小一時間が過ぎた頃、先程の兵士がニヤニヤした面をしながら地下牢に戻って来た。
「おう、待たせたな元侯爵家長男のゴミ君。もう神への祈りは終わったか?そろそろ刑執行の時間だ。これからお前を転移の間に連れて行く。……おらさっさと立て」
「わ、わかったからそんなに急かさないでくれ。それより刑執行の時はこの手かせは外してくれるんだよな」
「……ああ、その手かせを付けてると効果が魔法陣にも作用して起動しなくなっちまうからな。当然外す。――が、手かせが外れれば逃げられるなんて思うんじゃねぇぞ」
「そんな事思うはずないし、まず無理だろ」
って言うか何で逃げようとしなくちゃならないんだよ。どうやらこれから飛ばされる場所はちょっとヤバイ所みたいだけど、こんな家にずっといるより一万倍も一億倍もマシだっつうの。
迎えに来た兵士によって地下牢を出た俺はそのまま屋敷の地下にある転移の間に連れて来られた。
「……ん?父上達はここに来てないのか?」
「んん?……ああ、お前如きの刑の執行にご当主様方が見に来る訳ないだろ(ニヤニヤ)。そんなことよりさっさとあそこにある魔法陣の真ん中に立て、これより強制転移の刑を執行する。魔導師隊準備はいいか」
「「「「はっ」」」」
「よし、では魔法陣に魔力を込めろ」
俺をこの部屋に連れて来た兵士の体長らしき人が命令を下すと魔法陣を囲む様に立っていた魔導師のローブを着た人達が魔法陣に魔力を込め始めた。
するとたちまち俺の足元にある魔法陣から目が眩むほどの光がたち始めた。
「……ふ、ふふふ、ふははは、ふ~、これで永遠のお別れだなゴミ君。ま、精々頑張って足掻けよ。まあ、足掻いても無駄だろうけどな」
俺はこのムカつくクソ兵士のふざけた声を聞きながら世にも恐ろしい大魔境『タルタロス』へと転移して行った。
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