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19章-05
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「うわ……空が赤い」
サイファたちとの話を終えて、現実世界……でいいのかしら。とにかく、元のヘルツォーク遺跡に戻ってきた私たちなのだけど、外へ出てすぐに飛び込んできたのは、それは見事な夕焼け空だった。
ここへ戦いに来たのは早朝のこと。体感でも戦っていたのはせいぜい二、三時間だと思っていたのだけど。
(もしかして、外とあの空間は時間の流れが違ったってこと!?)
私たちが戦っていたあの場所は、サイファが作り出した別空間。もっと言うなら異次元だ。
建物は王都の教会を再現しただけだから壊しても問題ないらしいけど、時間の流れについては何も聞いてなかったわね。
……ちなみに、わざわざあの美しい教会を再現したのは、『せっかくアンジェラが二人で戦うのだから、相応しい場所を』というただの演出なのだそうだ。
妙なところが人間っぽいわよね、あの魔物の創造主。
「あの場所、時間の流れが遅かったってことだよね?」
「多分ね。だけど……本当に時間で済む程度の話かしら」
「こ、怖いことを言わないでアンジェラ」
隣にいたジュードが少し顔色を悪くしたけど、別に脅しているわけではない。
地球には「浦島太郎」という大変有名なおとぎ話があったからね。サイファたちと楽しくすごしたつもりはないけど、現実に戻ったら何十年も経っていたという可能性がないわけじゃない。
真面目な顔でそう言ってみれば、ノアとダレンが慌てて遺跡から飛び出して行った。
「……とりあえず、行きに使った馬車はないね。宿の者がちゃんと回収をしてくれたみたいだ」
「では、宿を出てから二時間が経っているのは確実ですな」
がらんとした遺跡の風景に、ディアナ様が少しだけ残念そうな顔をしている。そっか、馬車の馬たちは交代していたけど、ディアナ様の愛馬とは王都からずっと一緒だったものね。
ちゃんと再会させてあげられれば良いのだけど。
「アンジェラちゃん! とりあえず、遺跡の経年劣化は進んでないっぽいぞ!! 何十年も経ってる説はなさそうだ!!」
「おっ」
飛び出したダレンは、建物の状態から経過時間を見たようだ。
ヘルツォーク遺跡は元からボロボロなのに、よくそんなものがわかるわね。諜報職は伊達じゃないか。
「こちらも精霊たちに確認できた。経過していても、せいぜい数日程度だ。年は変わっていなかった」
「おお!」
続けてノアからも喜ばしい報告が届く。彼は彼で、この世界の超常存在から時間を確認していたようだ。……ノアがエルフっぽいことをしているの、初めてみたかもしれない。
「それならよかった! ああ……これで無事に、私たちの旅も終わったのね!!」
「うん、そうだね」
時間の心配がなくなったら、なんだかドッと疲れが出てきてしまった。
王都を出てから数か月。思ったよりも短かったけれど、それでもずっと戦い続けた旅は、ようやくここで一区切りつけられたのだ。
魔物の創造主【無垢なる王】を倒し、和解するという、今のところ最高の形で。
おわったー!と両手を伸ばした私を皮切りに、皆の顔にも喜びの笑みが広がっていく。
かわされるのは「疲れた」「しんどかった」なんて言葉ばかりだけど、それでも皆笑顔だ。
たった八人だけの部隊。それでも私たちは、こうして無事にやりとげた。
正真正銘、完璧な、皆のハッピーエンドだ!
「…………っ」
――なんて、喜んだのも束の間。
突然隣にいたジュードが、がくりと膝をついた。
「……ジュード?」
喜んでいた気持ちが一気に消えた。
下を向いてしまったので顔は見えないけど、彼の肩が大きく上下しているのはわかる。
「ちょ、ちょっとジュード? 大丈夫?」
慌てて私も膝をつけば、触れた彼の体は妙に熱い。
……ああ、そうだ。彼は最後の最後でかなり無理をして戦っていた。外傷はないけど、もしかしたら内部の筋などが傷付いているのかもしれない。
それに、本来私が払うはずだった魔法の代償を、彼も一緒に請け負っている。
元々、魔法にも魔術にも素養がない人だ。体内の魔力はほとんどないだろうし、そのせいで負担が大きくなったなら、私以上に寿命が削られている可能性もある。
「ジュード? ねえ、大丈夫? 回復魔法でなんとかなりそう?」
「ん、魔法はいらないよ……だから、もう少し近くに」
「うん、ここにいるわ」
言われるまま、彼に体を近付ける。頬を流れ落ちていく汗に、手を伸ばして
「――――――――捕まえた」
その手を掴んだ彼が、不敵に笑った。
「………………は?」
何を言われたのか、サッパリわからない。
だけど、私の手を掴んだ彼は、妙に嬉しそうに笑っている。
――眉は歪んだまま、額に浮かぶ汗もそのままだというのに。
「この状態で、いきなり何言ってるの貴方」
「だって、これで全部終わりでしょう? やっと僕は我慢しないで、アンジェラに触れられる」
「……そういうことは、元気になってから言いなさいよ。息荒いし、多分熱があるでしょう貴方」
掴まれたままの手を頬にぶつければ、やはりかなり熱い。瞳だって潤んでいるように見えるし、体調を崩しているのは間違いないのに。
「嫌だ。もう我慢したくない。もう待てない」
「……っ!」
低い声が背筋に響いて、鳥肌が立った。
私の頬まで熱いのは、きっとジュードに触れている部分から熱が移ったんだ。うん、間違いない。
「え、あっちょっと待って!?」
「待たないってば。どれだけ待たされたと思ってるの?」
フラフラしているくせに、手を掴む力は妙に強い。
いつの間にか、反対の手は私の顔に回されているし。
「こんな雰囲気の欠片もないところでやだってば!?」
「雰囲気はあるよ。ほら、夕陽がきれいだ。だいたい、そういうのアンジェラは意識してくれないじゃないか」
「じゃあせめて元気になってから!!」
「だめ。――もう逃がさない」
顔が近いとツッコむヒマもなく。
触れた……というよりは、ふさがれた。
「……っ!」
おい誰だよ、ファーストキスはレモン味☆とか言った人!!
そんなもの確かめる余裕なんて、あるわけないじゃない!!
(あつい……)
柔らかな感触と触れる吐息がとにかく熱い。
全身に火がついたみたいなのに……それを嫌ではないと思ってしまうのも不思議だ。
「……これが、僕にとって最後の境界線だった。もう手加減しないからね、アンジェラ」
もっと恥ずかしいことを今まで散々やってきただろうに。
まるで子どものような輝かしい笑顔を浮かべたジュードは、私の体をぎゅっと強く抱きしめて、
――――そのまま意識を失った。
「…………は? ちょっと、嘘でしょ!? この恥ずかしい状況を作り出しておいて、貴方は気絶するの!? やだ、ずるい!! 起きろ!! 起きなさいよッ!?」
「いやーなんつーか、最後まで君たちは期待を裏切らないよなあ……」
よりにもよって、仲間たちが皆いる中でキスシーンをやらかして、本人は気絶とかありえないでしょう!?
そんな情けないことが、乙女ゲームの攻略対象として許されるとでも思ってるのか!? 実際には違ったわけだけど!!
「最悪! かっこ悪い!! ジュードなんて! ジュードなんて――ッ!!」
「おっ? 見せつけておいて、早速別れ宣言か? いいぞ、今なら俺がお前をもらってやる」
「わあ、賢者様が押してます! 三角関係ってやつですね!?」
「……ウィルお前、顔を出すとはっちゃける性格なのか?」
おだまり外野! というか、魔術師組はあれだけ散々魔術を撃ってずいぶん元気なのね。さすがチーム人外、もう驚かなくなってきたわ。
「そう簡単に別れられるなら、十年も幼馴染やってないわよ! 本っ当にもう! 大事なとこなんだから、スマートに決めてよ!! 外見の色っぽさ以外でも、たまにはときめかせなさいよ!!」
「外見の色気にはときめいてたんだ」
思いのたけを叫ぶ私に、仲間たちから笑い声があふれていく。
もちろん嘲笑ではなく、誰も彼もちょっと呆れているような温かな笑いだ。
それもいくらか楽しんだら「帰るぞ」というカールの先導によって、穏やかに消えていく。
全部、全部。本当にきれいに終わったのだから、
「……初めてのキスくらい、格好良くしてよ、ばか」
ジュードはちゃんと、ときめくキスシーンをやり直すように!
サイファたちとの話を終えて、現実世界……でいいのかしら。とにかく、元のヘルツォーク遺跡に戻ってきた私たちなのだけど、外へ出てすぐに飛び込んできたのは、それは見事な夕焼け空だった。
ここへ戦いに来たのは早朝のこと。体感でも戦っていたのはせいぜい二、三時間だと思っていたのだけど。
(もしかして、外とあの空間は時間の流れが違ったってこと!?)
私たちが戦っていたあの場所は、サイファが作り出した別空間。もっと言うなら異次元だ。
建物は王都の教会を再現しただけだから壊しても問題ないらしいけど、時間の流れについては何も聞いてなかったわね。
……ちなみに、わざわざあの美しい教会を再現したのは、『せっかくアンジェラが二人で戦うのだから、相応しい場所を』というただの演出なのだそうだ。
妙なところが人間っぽいわよね、あの魔物の創造主。
「あの場所、時間の流れが遅かったってことだよね?」
「多分ね。だけど……本当に時間で済む程度の話かしら」
「こ、怖いことを言わないでアンジェラ」
隣にいたジュードが少し顔色を悪くしたけど、別に脅しているわけではない。
地球には「浦島太郎」という大変有名なおとぎ話があったからね。サイファたちと楽しくすごしたつもりはないけど、現実に戻ったら何十年も経っていたという可能性がないわけじゃない。
真面目な顔でそう言ってみれば、ノアとダレンが慌てて遺跡から飛び出して行った。
「……とりあえず、行きに使った馬車はないね。宿の者がちゃんと回収をしてくれたみたいだ」
「では、宿を出てから二時間が経っているのは確実ですな」
がらんとした遺跡の風景に、ディアナ様が少しだけ残念そうな顔をしている。そっか、馬車の馬たちは交代していたけど、ディアナ様の愛馬とは王都からずっと一緒だったものね。
ちゃんと再会させてあげられれば良いのだけど。
「アンジェラちゃん! とりあえず、遺跡の経年劣化は進んでないっぽいぞ!! 何十年も経ってる説はなさそうだ!!」
「おっ」
飛び出したダレンは、建物の状態から経過時間を見たようだ。
ヘルツォーク遺跡は元からボロボロなのに、よくそんなものがわかるわね。諜報職は伊達じゃないか。
「こちらも精霊たちに確認できた。経過していても、せいぜい数日程度だ。年は変わっていなかった」
「おお!」
続けてノアからも喜ばしい報告が届く。彼は彼で、この世界の超常存在から時間を確認していたようだ。……ノアがエルフっぽいことをしているの、初めてみたかもしれない。
「それならよかった! ああ……これで無事に、私たちの旅も終わったのね!!」
「うん、そうだね」
時間の心配がなくなったら、なんだかドッと疲れが出てきてしまった。
王都を出てから数か月。思ったよりも短かったけれど、それでもずっと戦い続けた旅は、ようやくここで一区切りつけられたのだ。
魔物の創造主【無垢なる王】を倒し、和解するという、今のところ最高の形で。
おわったー!と両手を伸ばした私を皮切りに、皆の顔にも喜びの笑みが広がっていく。
かわされるのは「疲れた」「しんどかった」なんて言葉ばかりだけど、それでも皆笑顔だ。
たった八人だけの部隊。それでも私たちは、こうして無事にやりとげた。
正真正銘、完璧な、皆のハッピーエンドだ!
「…………っ」
――なんて、喜んだのも束の間。
突然隣にいたジュードが、がくりと膝をついた。
「……ジュード?」
喜んでいた気持ちが一気に消えた。
下を向いてしまったので顔は見えないけど、彼の肩が大きく上下しているのはわかる。
「ちょ、ちょっとジュード? 大丈夫?」
慌てて私も膝をつけば、触れた彼の体は妙に熱い。
……ああ、そうだ。彼は最後の最後でかなり無理をして戦っていた。外傷はないけど、もしかしたら内部の筋などが傷付いているのかもしれない。
それに、本来私が払うはずだった魔法の代償を、彼も一緒に請け負っている。
元々、魔法にも魔術にも素養がない人だ。体内の魔力はほとんどないだろうし、そのせいで負担が大きくなったなら、私以上に寿命が削られている可能性もある。
「ジュード? ねえ、大丈夫? 回復魔法でなんとかなりそう?」
「ん、魔法はいらないよ……だから、もう少し近くに」
「うん、ここにいるわ」
言われるまま、彼に体を近付ける。頬を流れ落ちていく汗に、手を伸ばして
「――――――――捕まえた」
その手を掴んだ彼が、不敵に笑った。
「………………は?」
何を言われたのか、サッパリわからない。
だけど、私の手を掴んだ彼は、妙に嬉しそうに笑っている。
――眉は歪んだまま、額に浮かぶ汗もそのままだというのに。
「この状態で、いきなり何言ってるの貴方」
「だって、これで全部終わりでしょう? やっと僕は我慢しないで、アンジェラに触れられる」
「……そういうことは、元気になってから言いなさいよ。息荒いし、多分熱があるでしょう貴方」
掴まれたままの手を頬にぶつければ、やはりかなり熱い。瞳だって潤んでいるように見えるし、体調を崩しているのは間違いないのに。
「嫌だ。もう我慢したくない。もう待てない」
「……っ!」
低い声が背筋に響いて、鳥肌が立った。
私の頬まで熱いのは、きっとジュードに触れている部分から熱が移ったんだ。うん、間違いない。
「え、あっちょっと待って!?」
「待たないってば。どれだけ待たされたと思ってるの?」
フラフラしているくせに、手を掴む力は妙に強い。
いつの間にか、反対の手は私の顔に回されているし。
「こんな雰囲気の欠片もないところでやだってば!?」
「雰囲気はあるよ。ほら、夕陽がきれいだ。だいたい、そういうのアンジェラは意識してくれないじゃないか」
「じゃあせめて元気になってから!!」
「だめ。――もう逃がさない」
顔が近いとツッコむヒマもなく。
触れた……というよりは、ふさがれた。
「……っ!」
おい誰だよ、ファーストキスはレモン味☆とか言った人!!
そんなもの確かめる余裕なんて、あるわけないじゃない!!
(あつい……)
柔らかな感触と触れる吐息がとにかく熱い。
全身に火がついたみたいなのに……それを嫌ではないと思ってしまうのも不思議だ。
「……これが、僕にとって最後の境界線だった。もう手加減しないからね、アンジェラ」
もっと恥ずかしいことを今まで散々やってきただろうに。
まるで子どものような輝かしい笑顔を浮かべたジュードは、私の体をぎゅっと強く抱きしめて、
――――そのまま意識を失った。
「…………は? ちょっと、嘘でしょ!? この恥ずかしい状況を作り出しておいて、貴方は気絶するの!? やだ、ずるい!! 起きろ!! 起きなさいよッ!?」
「いやーなんつーか、最後まで君たちは期待を裏切らないよなあ……」
よりにもよって、仲間たちが皆いる中でキスシーンをやらかして、本人は気絶とかありえないでしょう!?
そんな情けないことが、乙女ゲームの攻略対象として許されるとでも思ってるのか!? 実際には違ったわけだけど!!
「最悪! かっこ悪い!! ジュードなんて! ジュードなんて――ッ!!」
「おっ? 見せつけておいて、早速別れ宣言か? いいぞ、今なら俺がお前をもらってやる」
「わあ、賢者様が押してます! 三角関係ってやつですね!?」
「……ウィルお前、顔を出すとはっちゃける性格なのか?」
おだまり外野! というか、魔術師組はあれだけ散々魔術を撃ってずいぶん元気なのね。さすがチーム人外、もう驚かなくなってきたわ。
「そう簡単に別れられるなら、十年も幼馴染やってないわよ! 本っ当にもう! 大事なとこなんだから、スマートに決めてよ!! 外見の色っぽさ以外でも、たまにはときめかせなさいよ!!」
「外見の色気にはときめいてたんだ」
思いのたけを叫ぶ私に、仲間たちから笑い声があふれていく。
もちろん嘲笑ではなく、誰も彼もちょっと呆れているような温かな笑いだ。
それもいくらか楽しんだら「帰るぞ」というカールの先導によって、穏やかに消えていく。
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追記:ヒーローが物凄く気持ち悪いです。
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