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新しい日々3
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ベッドの上、やや離れた位置で横になるルカとアレクシア。
入浴直後という事もあって、アレクシアの香りは大変心地良い。しかし、その香りによってルカはアレクシアの事をいっそう意識してしまう。
(いや…意識する必要なんてないんだ。とにかく寝よう)
そう考え、アレクシアとは反対の方向を向き目を閉じる。しかし、その瞬間。
「ルカ君…」
そんな囁きと共に、隣から手が伸びてきた。そして、その手がルカの体を引き寄せ…抱きしめる。
「えっ…ちょっ…あ、アレクシア…さん!?」
「ルカ君…ん」
と、やや恍惚とした響きを帯びた声でルカの名を呼び、その体をもぎゅもぎゅと抱きしめながら…さらに、くんかくんかとルカの匂いを嗅いでくるアレクシア。
「あ、あ…アレクシアさん…っ」
身をよじるルカ。
「ん…どうしたんだい?」
そんなルカを見て、アレクシアはきょとんとした表情を浮かべて体を離す。
「いや、あの…どうしたのか聞きたいのは僕の方なんですけど…」
ルカは顔を真っ赤にしながらおずおずと抗議した。女性に抱きしめられ、匂いを嗅がれるなど初めての経験だ。
「ん…?『庶民の家では家族は抱き合って眠る』と聞いた事があるからそれを実行しただけなのだが…」
「え…庶民の家…家族…?」
アレクシアの言葉がにわかには理解できないルカ。
「ああ。庶民の家では家族というのはみんなで抱き合って眠るものなのだろう?」
「うーん…それは…」
それは家によっても違うんじゃないだろうか。一緒に寝る家もあればそうではない家もあるはずだ。
ただ、貧しい家となれば部屋数もベッドの数も限られてくる。必然的に誰かと共に眠る必要が出てくるという訳だ。事実、ルカも幼い頃は父親や母親と同じベッドで眠っていた。
(…って考えれば、アレクシアさんの認識も間違ってはいない…のかな?)
そう結論付け言葉を返す。
「まあ…そういう家は…多いかもしれません」
「そうだろう?そして君は、私の家族のような存在だ。だから抱き合って眠るのは当然だと考えたのだが…」
「えっ…!?か、家族…!?」
「…違うのかい?私に家族だと思われるのは…嫌だっただろうか…」
「それは、その…」
アレクシアの事は尊敬している。何しろ、自分の命を救ってくれた人物なのだ。浮世離れした所はあるものの、好感を覚える性格だとも思っている。だが、まだ出会って数日しか経っていないのも事実だ。そんな相手と家族というのは、さすがに飛躍しすぎではないか…と、ルカは思う。
しかしそれはそれとして、誰かに家族だと言われるのは…嬉しかった。ルカは魔物の襲撃で家族を失っている。天涯孤独の身だ。そんな自分の事を家族だと認めてくれる人がいる。それが嬉しくないはずがない。
「い、嫌じゃ…ないです。アレクシアさんに家族だと思ってもらえるのは…嬉しい、です」
「そうか…!」
アレクシアの表情が綻んだ。そして再び、ルカの体をぎゅぅっ…と抱きしめる。今度は互いに向かい合う状態だったため、ルカはアレクシアの豊かな胸に顔を埋める形になってしまう。そしてアレクシアはそんなルカの頭にスリスリと頬ずりをする。
「うう…」
あまりに過剰なスキンシップ。決して不快ではない。不快ではないのだが…やはり、恥ずかしい。
だが、それだけはない。心の奥底から沸き上がってくる温かい感情もあった。
結局、恥ずかしさと心地よさ…その板挟みになりながら、ルカはなかなか眠つけない夜を過ごす事となった。
入浴直後という事もあって、アレクシアの香りは大変心地良い。しかし、その香りによってルカはアレクシアの事をいっそう意識してしまう。
(いや…意識する必要なんてないんだ。とにかく寝よう)
そう考え、アレクシアとは反対の方向を向き目を閉じる。しかし、その瞬間。
「ルカ君…」
そんな囁きと共に、隣から手が伸びてきた。そして、その手がルカの体を引き寄せ…抱きしめる。
「えっ…ちょっ…あ、アレクシア…さん!?」
「ルカ君…ん」
と、やや恍惚とした響きを帯びた声でルカの名を呼び、その体をもぎゅもぎゅと抱きしめながら…さらに、くんかくんかとルカの匂いを嗅いでくるアレクシア。
「あ、あ…アレクシアさん…っ」
身をよじるルカ。
「ん…どうしたんだい?」
そんなルカを見て、アレクシアはきょとんとした表情を浮かべて体を離す。
「いや、あの…どうしたのか聞きたいのは僕の方なんですけど…」
ルカは顔を真っ赤にしながらおずおずと抗議した。女性に抱きしめられ、匂いを嗅がれるなど初めての経験だ。
「ん…?『庶民の家では家族は抱き合って眠る』と聞いた事があるからそれを実行しただけなのだが…」
「え…庶民の家…家族…?」
アレクシアの言葉がにわかには理解できないルカ。
「ああ。庶民の家では家族というのはみんなで抱き合って眠るものなのだろう?」
「うーん…それは…」
それは家によっても違うんじゃないだろうか。一緒に寝る家もあればそうではない家もあるはずだ。
ただ、貧しい家となれば部屋数もベッドの数も限られてくる。必然的に誰かと共に眠る必要が出てくるという訳だ。事実、ルカも幼い頃は父親や母親と同じベッドで眠っていた。
(…って考えれば、アレクシアさんの認識も間違ってはいない…のかな?)
そう結論付け言葉を返す。
「まあ…そういう家は…多いかもしれません」
「そうだろう?そして君は、私の家族のような存在だ。だから抱き合って眠るのは当然だと考えたのだが…」
「えっ…!?か、家族…!?」
「…違うのかい?私に家族だと思われるのは…嫌だっただろうか…」
「それは、その…」
アレクシアの事は尊敬している。何しろ、自分の命を救ってくれた人物なのだ。浮世離れした所はあるものの、好感を覚える性格だとも思っている。だが、まだ出会って数日しか経っていないのも事実だ。そんな相手と家族というのは、さすがに飛躍しすぎではないか…と、ルカは思う。
しかしそれはそれとして、誰かに家族だと言われるのは…嬉しかった。ルカは魔物の襲撃で家族を失っている。天涯孤独の身だ。そんな自分の事を家族だと認めてくれる人がいる。それが嬉しくないはずがない。
「い、嫌じゃ…ないです。アレクシアさんに家族だと思ってもらえるのは…嬉しい、です」
「そうか…!」
アレクシアの表情が綻んだ。そして再び、ルカの体をぎゅぅっ…と抱きしめる。今度は互いに向かい合う状態だったため、ルカはアレクシアの豊かな胸に顔を埋める形になってしまう。そしてアレクシアはそんなルカの頭にスリスリと頬ずりをする。
「うう…」
あまりに過剰なスキンシップ。決して不快ではない。不快ではないのだが…やはり、恥ずかしい。
だが、それだけはない。心の奥底から沸き上がってくる温かい感情もあった。
結局、恥ずかしさと心地よさ…その板挟みになりながら、ルカはなかなか眠つけない夜を過ごす事となった。
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