678 / 903
レオンハルト・ツヴァイク襲撃事件17
しおりを挟む
レオンハルトが先ほど襲撃者相手に放った『虚空』はあくまで移動手段としてのもの。しかし、この技の真価は攻撃能力にある。何もない空間ですら断ち切ってしまう剣技である。それを人に向けて放った場合…それは防御不能、必殺の一撃となる。
襲撃者達に対してそれを使用しなかったのは、レオンハルトに手加減するだけの余裕があったからに過ぎない。しかし、ローエングリンに対してその余裕は命取りになるとレオンハルトは判断した。それ故に、少女目掛けて放たれた必殺の一撃。
ローエングリンは『虚空』相手に一歩も引かず、避ける素振りも見せず…槍を突き出し迎撃の構えを見せる。
(――それは悪手)
レオンハルトは、内心で相手の失策をたしなめた。
『虚空』は空間ごと断ち切る剣技。練気で防御しようとも、その練気を含む空間ごと切断してしまう。どのような防御も意味をなさないのだ。かといって、そのあまりの速さに回避もまず不可能。発動した時点でほぼ勝利が確定する剣技…それこそ『虚空』が覚意剣技たる所以だ。だが、レオンハルトは知らなかった。防御でもなく、回避でもなく…しかし、『虚空』に対処する方法がある事を。
レオンハルトが『虚空』を放つとほぼ同時に、ローエングリンは槍を突き出した。そして、次の瞬間ローエングリンの体が消えた。――と見るや否や、レオンハルトは己の左胸付近に熱いものを感じていた。老人は、視線をそちらへ向けた。そして知る。自身の心臓に、深々と槍が突き刺さっている事を。
襲撃者達に対してそれを使用しなかったのは、レオンハルトに手加減するだけの余裕があったからに過ぎない。しかし、ローエングリンに対してその余裕は命取りになるとレオンハルトは判断した。それ故に、少女目掛けて放たれた必殺の一撃。
ローエングリンは『虚空』相手に一歩も引かず、避ける素振りも見せず…槍を突き出し迎撃の構えを見せる。
(――それは悪手)
レオンハルトは、内心で相手の失策をたしなめた。
『虚空』は空間ごと断ち切る剣技。練気で防御しようとも、その練気を含む空間ごと切断してしまう。どのような防御も意味をなさないのだ。かといって、そのあまりの速さに回避もまず不可能。発動した時点でほぼ勝利が確定する剣技…それこそ『虚空』が覚意剣技たる所以だ。だが、レオンハルトは知らなかった。防御でもなく、回避でもなく…しかし、『虚空』に対処する方法がある事を。
レオンハルトが『虚空』を放つとほぼ同時に、ローエングリンは槍を突き出した。そして、次の瞬間ローエングリンの体が消えた。――と見るや否や、レオンハルトは己の左胸付近に熱いものを感じていた。老人は、視線をそちらへ向けた。そして知る。自身の心臓に、深々と槍が突き刺さっている事を。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
283
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる