俺は善人にはなれない

気衒い

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第5章 クラン拡大

第65話 虫人

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アゲハ
性別:女 種族:虫人(蝶種) 年齢:16歳

Lv 50
HP 4100/4100
MP 4400/4400
ATK 4361
DEF 4232
AGI 4595
INT 4647
LUK 4300

固有スキル
虫の知らせ・鱗粉・バタフライエフェクト・飛行・魔の境地・守護神・叡智・サイボーグ・炎熱操作・戦士の誓い・透過・明鏡止水・???

武技スキル
刀剣術:Lv.MAX
体術 :Lv.MAX

魔法
全属性魔法

装備
黒衣一式(神級)
水色の鞭ネケク(上級)

称号
森神の加護・夢を見る者・羽ばたく者・進む者・傅く者・恋する乙女・従者の心得・武神・魔神・魔物キラー・盗賊キラー・気分屋

――――――――――――――――――――

虫の知らせ
自身や味方にこれから悪いことが起こる場合、察知できる。ただし、任意発動ではなく、勝手に発動する為、それがいつなのかはスキル保持者も分からない。

鱗粉
1日5回まで使用可能。指定した者をあらゆる状態異常にすることができる。

バタフライエフェクト
自身の何気ない行いを後の珍事への布石とするスキル。これも任意発動ではなく、勝手に発動する。

森神の加護
森神タピオの加護。INTの値に補正。

夢を見る者
他の場所や者への興味が溢れ、いつしか、それが憧れへと変わった者へと贈られる称号。DEFの値に補正。

羽ばたく者
ようやく自身のやりたいことが見つかり、これからの生き方に誇りを持って、いろいろなところに向き合えるようになった者に贈られる称号。AGIの値に補正。

進む者
進むべき道を前向きな姿勢で歩み出した者に贈られる称号。ATKの値に補正。

――――――――――――――――――――




アタイは虫人。虫の特徴を有した人間でシリスティラビンでシンヤ様に出会うまでは色々な種族達が暮らす、ある村にいた。そこは和気藹々とした雰囲気で村人も皆、穏やか。時に喧嘩が起こってもすぐに仲直りをして、後には決して引きずらない。一言で言えば、平和を体現したようなところだった。アタイはこの場所でずっとみんなと仲良く平和に暮らしていくものだと思っていた。あいつらがやって来るまでは…………




「お、おい!止まれ!………ぐはぁっ!」

「一体、お前達は何者………うわあっ!」

「雑魚共に名乗る名など持ち合わせてはいない」

それは黒ローブを纏った異様な集団だった。そいつらはまず、門番を手にかけると堂々と村の中へと入ってきた。そして、目に付いた者達から順番に屠っていった。アタイはそいつらの目的が一切分からず、ただただ震えて立ち尽くしていることしか出来なかった。しかし……………

「ア、アゲハ!逃げろ!この村で一番足の速いお前なら、きっと逃げ切れる!」

アタイに普段から優しくしてくれている村人の1人が体を張って、時間を稼ごうとしてくれたのだ。これを目の当たりにしてしまってはその思いに応えなければならない。アタイは必死に村の出口の方へと足を動かそうとした。だが……………

「他の街へと着いたら、信用できる者を探して、こいつらのことを伝えるんだ!こいつらはヤバい!何か、とんでもないことをしでかそうとしている!早く止め…………」

「喋り過ぎだ」

「お、おじさん!!」

「お前もチョロチョロと動くな。面倒臭いだろ」

「かはっ!」

アタイは近くにいた黒ローブに捕まり、腹を殴られて、そのまま気絶してしまったのだ。目が覚めた時には全てが終わっていた。村はたった数十分の内に滅び、アタイはシリスティラビンという名の迷宮都市へと運ばれて、オークションに出品されてしまうのだった。

――――――――――――――――――――




「随分と酷い有様でいやがるデス」

「うん」

シンヤ様から発表された上司、スィーエルさんと共にやってきたのは2ヶ月程前にスタンピードによって滅びた街、ホスベルである。あらかじめ、シンヤ様達からスタンピードの様子は聞いていた為、それがどれほどの規模でもたらされる被害の大きさがどれぐらいかは頭に思い描いているつもりだった。しかし、実際に見てみると想像のはるか上をいっていた。ここで起きたことは惨劇。それ以外では形容し難い程、酷い有様だったのだ。

「アゲハも村を滅ぼされていやがるんデスよね?」

「うん。でも、加害者と被害の規模は全然違うよ……………あと、スィーエルさんは相変わらず、デリカシーってもんがないよね」

「デリカシー?それは美味しいんでいやがるデスか?」

「はぁ~…………うん。何でもないよ」

アタイは改めて街を見回した。そこは誰もいないゴーストタウンと化しているが、ところどころに建物は残っている。これは幸いと捉えるべきなのだろうか……………それから、アタイはこの街のことを憂い、黙祷を捧げていると不意に視界の隅に映る人影が見えた。どうやら、こちらの様子を窺っているようだった。おかしい。この街の者達は全員滅ぼされたはずだ。もしかして、誰かが住み着いているのだろうか?

「誰かいるの?アタイ達は敵じゃないから、出ておいで」

考えていても仕方ないと思い切って、呼び掛けてみた。すると……………

「ほ、本当ですか…………?」

ぞろぞろと複数の少女達が建物の中から、姿を現した。皆、こちらを半信半疑で見つめながら、怯えている。

「本当だよ。アタイ達は別に行くところがあって、たまたま近くを通りかかったから、立ち寄ってみただけなんだ」

「そ、そうなんですか………」

「うん…………ところで、君達は何で、こんなところにいるの?お家は?」

「ないんです。ここにいる私達全員、住んでいた村を滅ぼされたので………」

「え…………そ、それって、まさか黒いローブを纏った集団に?」

「そうです。その後、運良く生き残った私達は黒ローブ達に見つかり、連れ去られてしまいました。しかし、その途中でケンタウロスのお姉さんや天狗のお爺さんが現れ、身を挺して、逃がしてくれました。難を逃れた私達は噂で聞いた今では誰も住んでいないと言われるこの街へとやってきたのです」

「ん?ケンタウロスと天狗…………?」

「はい。私達6人がケンタウロスのお姉さんに………そして、そこにいる5人が天狗のお爺さんにそれぞれ、別の場所で助けられました……………もし、生きている内にもう一度会うことがあれば、しっかりとお礼を言いたいのですが、そんな奇跡のようなことがある訳ないですもんね」

「ち、ちょっと待って!その話、もう少し詳しく聞かせて!」
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