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第10章 セントラル魔法学院
第187話 準決勝
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昨日、審判に勝利を告げられた俺達はその後、すぐに会場を出て、自由行動となった。その際、何か言いたげな審判や司会といった運営関係者は完全に無視して出てきた。説明する義務や義理は一切ない。もし、あの後、舞台の修繕に時間が掛かり、その次の試合がずれ込んだとしてもルール上、その責任が参加チームに及ぶことはないし、そもそも舞台が壊れるような魔法・スキルを使ってはならないという決まりもなかった。おそらく、生徒レベルではそこまでのことができないと勝手に踏んでいたのだろう。であれば、完全に向こうの落ち度だ。しかもそれは生徒自体を下に見ているということに他ならない。"もしも"の項目に"舞台の破壊"が含まれていないのだから。まぁ、本当に舞台を修繕する必要があったのかどうかは分からない。ここまでは全て俺の妄想だ。
「さぁ、昨日の第1試合は驚きでした!まさか、舞台があんなことになるなんて…………おかげで次の試合が少し遅れてしまいましたよ!」
どうやら、あったらしい。まさか、その通りだとは。司会の軽妙な進行は続いていく。
「本日は準決勝!昨日、勝ち上がった8チームの組み合わせは既に決まっております!まず、第1試合目は……………セントラル魔法学院のチーム"黒椿"VS東老学院のチーム"緑風"です!そして、注目すべきはやはり、チーム"黒椿"!また、あなた方が最初ですか!昨日のあれは衝撃的でしたからね!今回のダークホースと言っても過言ではありません!初っ端から圧倒的な力で相手チームを戦闘不能に追いやる……………いや~今、考えても恐ろしい。そして、今日も舞台が心配」
舞台上には既に両チームが揃っており、お互いを睨み合っている状態だ。その表情や佇まいから、相手チームには一切の油断がないことが読み取れる。今回は前回のメンバーとは違い、セーラ以外を全て入れ替えている。全員に経験を積ませたい為、なるべく被りは避けるようにしたいのだ。そして、何より今回は今までにやったことのない戦い方を俺が提案した為、それを実行することになっている。それが今から楽しみで仕方ない。
「さぁ、準備はいいですか?ではただいまより、チーム"黒椿"とチーム"緑風"の準決勝、第1試合を行います!お互い、悔いのないよう正々堂々と戦うように!……………それでは試合開始!」
俺達にとっての2試合目が今、始まった。
――――――――――――――――――
最初に異変に気が付いたのは魔法を打っていた後衛のうちの1人だった。
「あれ?おかしくない?試合開始から5分が経過しているのに一切反撃してこない」
「っていってもまだ5分だ。お前は昨日の印象が強く残り過ぎてんだよ。そのうち、反撃してくるさ」
「そうかなぁ…………」
しかし、その生徒の不安はどんどんと増していった。現にそこからさらに10分が経過したが一向に相手からの反撃はなく、チーム"黒椿"がやっていることといえば、ずっと結界によって攻撃を防いでいるだけである。それに見かねたチーム"緑風"のリーダーは途中から前衛にも近接攻撃を命じ、後衛と交代で攻撃させるように進路を変更した。おそらく、長期戦になると感じたからだろう。ちなみに観客達はというと大ブーイングの嵐だった。彼らは派手な試合や緊迫感のある展開を望んでいるのだ。それこそ、昨日の一件の当事者であるチーム"黒椿"には大きな期待を寄せていた。それだけに一見すると防戦一方なこの展開にはかなりの失望を覚えたことだろう。だが、それも開始15分までの話だった。
「お、おい。これ以上は………」
「はぁ、はぁ、はぁ」
「も、もう動けねぇ」
「い、一体何が狙いなんだ」
流石にずっとこの状態が続いていてはいずれ疲れ果ててしまう……………攻撃側が。15分でも良く持った方だ。おそらく冒険者でもない一般生徒達にそれ以上続けるだけの体力や魔力は残されていない。彼らは立つこともままならず、次々と床の上に倒れていった。とここまできて、ようやく事態の異常に気が付いた観客達は皆、ブーイングを止めて、驚き食い入るようにこの次の展開を目に焼き付けようとしていた。
「さて、これでようやく反撃できるね………………じゃあ、行くよ?」
「「「「「ひっ!?」」」」」
まともに動くこともできない相手に対して、クリスの発したその言葉は地獄の底に叩き落とすようなものだった。相手チームは皆、顔を恐怖に染めて誰からともなく、こう言い出した。
「「「「「ま、参りました!降参します!」」」」」
その日、これまでの竜闘祭史上初、一度も攻撃することなく勝利を収めるチームが出てきた。相手チームはこのことがトラウマとなり、しばらく家に篭る生徒達が続出したとか。しかし、運営にとってはさぞ良いことだろう。なんせ舞台を綺麗なまま、残すことができたのだから…………
「さぁ、昨日の第1試合は驚きでした!まさか、舞台があんなことになるなんて…………おかげで次の試合が少し遅れてしまいましたよ!」
どうやら、あったらしい。まさか、その通りだとは。司会の軽妙な進行は続いていく。
「本日は準決勝!昨日、勝ち上がった8チームの組み合わせは既に決まっております!まず、第1試合目は……………セントラル魔法学院のチーム"黒椿"VS東老学院のチーム"緑風"です!そして、注目すべきはやはり、チーム"黒椿"!また、あなた方が最初ですか!昨日のあれは衝撃的でしたからね!今回のダークホースと言っても過言ではありません!初っ端から圧倒的な力で相手チームを戦闘不能に追いやる……………いや~今、考えても恐ろしい。そして、今日も舞台が心配」
舞台上には既に両チームが揃っており、お互いを睨み合っている状態だ。その表情や佇まいから、相手チームには一切の油断がないことが読み取れる。今回は前回のメンバーとは違い、セーラ以外を全て入れ替えている。全員に経験を積ませたい為、なるべく被りは避けるようにしたいのだ。そして、何より今回は今までにやったことのない戦い方を俺が提案した為、それを実行することになっている。それが今から楽しみで仕方ない。
「さぁ、準備はいいですか?ではただいまより、チーム"黒椿"とチーム"緑風"の準決勝、第1試合を行います!お互い、悔いのないよう正々堂々と戦うように!……………それでは試合開始!」
俺達にとっての2試合目が今、始まった。
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最初に異変に気が付いたのは魔法を打っていた後衛のうちの1人だった。
「あれ?おかしくない?試合開始から5分が経過しているのに一切反撃してこない」
「っていってもまだ5分だ。お前は昨日の印象が強く残り過ぎてんだよ。そのうち、反撃してくるさ」
「そうかなぁ…………」
しかし、その生徒の不安はどんどんと増していった。現にそこからさらに10分が経過したが一向に相手からの反撃はなく、チーム"黒椿"がやっていることといえば、ずっと結界によって攻撃を防いでいるだけである。それに見かねたチーム"緑風"のリーダーは途中から前衛にも近接攻撃を命じ、後衛と交代で攻撃させるように進路を変更した。おそらく、長期戦になると感じたからだろう。ちなみに観客達はというと大ブーイングの嵐だった。彼らは派手な試合や緊迫感のある展開を望んでいるのだ。それこそ、昨日の一件の当事者であるチーム"黒椿"には大きな期待を寄せていた。それだけに一見すると防戦一方なこの展開にはかなりの失望を覚えたことだろう。だが、それも開始15分までの話だった。
「お、おい。これ以上は………」
「はぁ、はぁ、はぁ」
「も、もう動けねぇ」
「い、一体何が狙いなんだ」
流石にずっとこの状態が続いていてはいずれ疲れ果ててしまう……………攻撃側が。15分でも良く持った方だ。おそらく冒険者でもない一般生徒達にそれ以上続けるだけの体力や魔力は残されていない。彼らは立つこともままならず、次々と床の上に倒れていった。とここまできて、ようやく事態の異常に気が付いた観客達は皆、ブーイングを止めて、驚き食い入るようにこの次の展開を目に焼き付けようとしていた。
「さて、これでようやく反撃できるね………………じゃあ、行くよ?」
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