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第11章 軍団戦争
第210話 組織
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「こうして操政国家ファンドランは滅
び、これからは民主国家デモクラシーと
なったか」
「そうデス。新たな王も国民の中から選
出し、これからは国民のことをしっかり
と考えた国家を運営していきやがるみた
いデス。ちゃんとマスターの言った通り
になりやがったデスね」
「それとちゃんとクランの旗も立ててき
たの」
「そうか。お前達、良くやったぞ」
そう言って2人の頭を撫でるシンヤ。そ
の顔はとても慈愛に満ちたものだった。
「た、たかが1万程度の軍勢なんて大し
たことないデス」
「盟主様に頭を撫でてもらうの好きな
の~」
その様子を羨ましそうに見つめるいくつ
もの視線を無視したシンヤは同じ部屋に
いる少女へと目を向けた。
「ということだ。悪いがお前自らの手で
復讐することは出来なくなった。こちら
が想定していた向こうの兵力を相手にす
るにはまだお前のレベルが足りていない
と判断したからな」
「い、いえ!私の方こそ、すみませんで
した!私の事情にお姉様方を巻き込んで
しまって…………」
「サクヤ、それは言わないお約束デス。
あなたは大事な仲間であり、家族も同然
デス」
「家族の痛みはみんなの痛みなの。分け
合うの」
「スィーエルお姉様…………レオナお姉
様……………」
「これで分かっただろ?俺達のうちの誰
かに何かがあって、それが本人だけでは
解決できないことだとしたら、代わりに
他の誰かが助ける。俺達はそうやってお
互いを支え合っているんだ。だから、覚
えておけ。ここで受けた分を今度はお前
が他の仲間を助けることで返していくん
だ。もちろん、それは今この場にいる他
の者達にも言えることだ。いいな?」
「「「「「はい!了解致しまし
た!」」」」」
「まぁ、そうそう大きなことは起こらな
いと思うがな」
「あ、あの~ちなみに今回の件の解決に
当たったのがお姉様方なのは何か理由が
あるんですか?」
「いや、特には。別にこいつらでなくて
はならない理由はなかったが」
「えっ!?それじゃあ、どうして!?」
「"十長"以上の者達の中から希望者だ
けを集めて"ジャンケン大会"を行った
んだ。で、この2人が勝った。ただそれ
だけの理由だ」
「な、な、なんですと~~~!?」
――――――――――――――――――
「十王剣武の第七席マドラス、ただいま
戻りました」
「戻ったか。既に全員揃っている。では
報告を聞こう」
「はい。まず私が操政国家ファンドラン
の宮廷魔術師として潜入してから、2年
が経ちました。その間に様々な障害が立
ち塞がり、任務は難航しましたが、ここ
数ヶ月でようやく我々の思い描いていた
通りの国へと変貌を遂げ、いよいよ計画
も次の段階へと移行し始めていました」
「ああ。幾度か、こうして報告は受けて
いたな。上手くいっていると」
「はい。しかし、それもつい先日までの
話で」
「何?」
「実はファンドランへと召喚された勇者
が消息を絶つという事件が起きまして」
「何だと?確か、勇者には逃げられない
よう首輪が付けられていたのではなかっ
たか?」
「はい。なのでそのようなことになるな
ど予想だにしていなかったもので」
「先程のお前の口振りからして、逃げ出
したはいいものの首輪が爆発したという
訳ではないのだろう?そうなった場合は
たとえ他の場所であっても足取りが掴め
るはずだ」
「はい。そこで勇者は何らかの理由で首
輪を破壊し、どこかへ逃げ延びたかある
いは他の協力者によって助け出されたか
という線で考え、ファンドランの愚王に
は軍の編成をさせました」
「ふむ。それで?」
「軍の編成がようやく終わったというと
ころで勇者に関わった者の特定をしよう
と動き出したのですが、その直後に現れ
たのです。"勇者を連れ帰ったという張
本人"が」
「その者というのは?」
「冒険者クラン"黒天の星"の幹部でし
た。彼女達はいきなり2人で王城前へと
姿を現し、愚王へと宣戦布告をしたので
す。勇者を連れ戻し、また酷い目に遭わ
せるのなら許さないと……………これに対
し愚王は全兵力で2人を迎え撃つことを
決め、戦場へと向かっていきました。私
は隙を見計らって国を抜け出して、こう
して戻ってきた次第にございます」
「なるほど。ちなみに兵力というのはど
れくらいだ?それと戦の結果は?」
「約1万程かと。私は戦が行われる前に
抜け出してきましたので戦場の様子は見
ておりませんが、おそらくは……………」
「まぁ順当に考えれば、"黒天の星"の
勝利で幕を閉じたのだろうな。普通に考
えて国家を相手にたった2人で乗り込む
ような馬鹿がいるとは思えん。それに"
黒天の星"のようなイカれた連中なら
ば、そのぐらいのことがあっても不思議
ではない」
「しかし、いくらあの英雄がいるクラン
とはいえ、俄には信じ難いのです
が……………」
「確かにこの世・界・の基準で考えれ
ば、たとえSSSランクの冒険者でもそ
のような真似はしないのかもしれない。
だが、忘れたのか?中には例外もいる。
それは何もあいつらだけに限ったことで
はない。表には出ていないがお前達のよ
うな実力者もそして何より……………」
そこで言葉を区切った男は被っていたフ
ードを外した。そして、ちょうど外から
入った光により、男の全容が浮かび上が
る形となる。
「それを束ねる俺もまた例外中の例外と
いう訳だ」
黒髪黒眼の男がそこに佇んでいた。
び、これからは民主国家デモクラシーと
なったか」
「そうデス。新たな王も国民の中から選
出し、これからは国民のことをしっかり
と考えた国家を運営していきやがるみた
いデス。ちゃんとマスターの言った通り
になりやがったデスね」
「それとちゃんとクランの旗も立ててき
たの」
「そうか。お前達、良くやったぞ」
そう言って2人の頭を撫でるシンヤ。そ
の顔はとても慈愛に満ちたものだった。
「た、たかが1万程度の軍勢なんて大し
たことないデス」
「盟主様に頭を撫でてもらうの好きな
の~」
その様子を羨ましそうに見つめるいくつ
もの視線を無視したシンヤは同じ部屋に
いる少女へと目を向けた。
「ということだ。悪いがお前自らの手で
復讐することは出来なくなった。こちら
が想定していた向こうの兵力を相手にす
るにはまだお前のレベルが足りていない
と判断したからな」
「い、いえ!私の方こそ、すみませんで
した!私の事情にお姉様方を巻き込んで
しまって…………」
「サクヤ、それは言わないお約束デス。
あなたは大事な仲間であり、家族も同然
デス」
「家族の痛みはみんなの痛みなの。分け
合うの」
「スィーエルお姉様…………レオナお姉
様……………」
「これで分かっただろ?俺達のうちの誰
かに何かがあって、それが本人だけでは
解決できないことだとしたら、代わりに
他の誰かが助ける。俺達はそうやってお
互いを支え合っているんだ。だから、覚
えておけ。ここで受けた分を今度はお前
が他の仲間を助けることで返していくん
だ。もちろん、それは今この場にいる他
の者達にも言えることだ。いいな?」
「「「「「はい!了解致しまし
た!」」」」」
「まぁ、そうそう大きなことは起こらな
いと思うがな」
「あ、あの~ちなみに今回の件の解決に
当たったのがお姉様方なのは何か理由が
あるんですか?」
「いや、特には。別にこいつらでなくて
はならない理由はなかったが」
「えっ!?それじゃあ、どうして!?」
「"十長"以上の者達の中から希望者だ
けを集めて"ジャンケン大会"を行った
んだ。で、この2人が勝った。ただそれ
だけの理由だ」
「な、な、なんですと~~~!?」
――――――――――――――――――
「十王剣武の第七席マドラス、ただいま
戻りました」
「戻ったか。既に全員揃っている。では
報告を聞こう」
「はい。まず私が操政国家ファンドラン
の宮廷魔術師として潜入してから、2年
が経ちました。その間に様々な障害が立
ち塞がり、任務は難航しましたが、ここ
数ヶ月でようやく我々の思い描いていた
通りの国へと変貌を遂げ、いよいよ計画
も次の段階へと移行し始めていました」
「ああ。幾度か、こうして報告は受けて
いたな。上手くいっていると」
「はい。しかし、それもつい先日までの
話で」
「何?」
「実はファンドランへと召喚された勇者
が消息を絶つという事件が起きまして」
「何だと?確か、勇者には逃げられない
よう首輪が付けられていたのではなかっ
たか?」
「はい。なのでそのようなことになるな
ど予想だにしていなかったもので」
「先程のお前の口振りからして、逃げ出
したはいいものの首輪が爆発したという
訳ではないのだろう?そうなった場合は
たとえ他の場所であっても足取りが掴め
るはずだ」
「はい。そこで勇者は何らかの理由で首
輪を破壊し、どこかへ逃げ延びたかある
いは他の協力者によって助け出されたか
という線で考え、ファンドランの愚王に
は軍の編成をさせました」
「ふむ。それで?」
「軍の編成がようやく終わったというと
ころで勇者に関わった者の特定をしよう
と動き出したのですが、その直後に現れ
たのです。"勇者を連れ帰ったという張
本人"が」
「その者というのは?」
「冒険者クラン"黒天の星"の幹部でし
た。彼女達はいきなり2人で王城前へと
姿を現し、愚王へと宣戦布告をしたので
す。勇者を連れ戻し、また酷い目に遭わ
せるのなら許さないと……………これに対
し愚王は全兵力で2人を迎え撃つことを
決め、戦場へと向かっていきました。私
は隙を見計らって国を抜け出して、こう
して戻ってきた次第にございます」
「なるほど。ちなみに兵力というのはど
れくらいだ?それと戦の結果は?」
「約1万程かと。私は戦が行われる前に
抜け出してきましたので戦場の様子は見
ておりませんが、おそらくは……………」
「まぁ順当に考えれば、"黒天の星"の
勝利で幕を閉じたのだろうな。普通に考
えて国家を相手にたった2人で乗り込む
ような馬鹿がいるとは思えん。それに"
黒天の星"のようなイカれた連中なら
ば、そのぐらいのことがあっても不思議
ではない」
「しかし、いくらあの英雄がいるクラン
とはいえ、俄には信じ難いのです
が……………」
「確かにこの世・界・の基準で考えれ
ば、たとえSSSランクの冒険者でもそ
のような真似はしないのかもしれない。
だが、忘れたのか?中には例外もいる。
それは何もあいつらだけに限ったことで
はない。表には出ていないがお前達のよ
うな実力者もそして何より……………」
そこで言葉を区切った男は被っていたフ
ードを外した。そして、ちょうど外から
入った光により、男の全容が浮かび上が
る形となる。
「それを束ねる俺もまた例外中の例外と
いう訳だ」
黒髪黒眼の男がそこに佇んでいた。
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