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第11章 軍団戦争
第228話 終戦
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「そこまで!全員、武器を下ろしてその
場で待機して下さい!」
広大な平原に澄んだ声が響き渡る。それ
は音声の魔道具によって、拡声されたハ
ーメルンのものであった。審判を務める
彼には逐一、戦場の様子を把握し冒険者
に不正がないか、また問題なく戦いが行
われているかなどを確認する義務があっ
た。またそれだけではなく、命に別状の
ある冒険者や降伏宣言の証である旗の有
無、さらには映像の魔道具が故障してい
ないかをチェックする仕事などやること
が非常に多く、息をつく暇がないほど動
いていた。とはいっても1人で見ること
のできる範囲には限界がある。その為、
見逃してしまったとしても仕方のないこ
ととして処理され、特に見咎められるこ
とはない。そんな状況の彼が現在、冒険
者達に呼び掛けた理由はたった1
つ……………戦いの決着がついたからだっ
た。
「只今、集計を行っております。今しば
らくお待ち下さい」
ちなみにどちらかの|軍団長《レギオン
マスター》が気絶もしくは動けない状態
になった場合に決着がつく。しかし、必
ずしも討たれた方の軍団
が負けるという訳でもないのがこの|軍
団戦争《レギオン・ウォー》の特徴だっ
た。では一体何で勝者と敗者を決めるの
か。それは決着がついた時点でその場に
立っている人の数であった。これはあく
までも軍団による戦い。
別に軍団長が1
人で戦っている訳ではないのだ。その
為、全員で勝ちにいく姿勢というのが非
常に重要となってくる。そうなると元々
の人数が少ない方の陣営が不利というこ
とになるが、それに対して特にハンデは
なく抱えているメンバーの数も実力の内
という風に考えられている。つまり、開
戦の合図が出る前から既に戦いは始まっ
ているということである。
「皆様、大変お待たせ致しました。たっ
た今、集計の方が終わりました」
約10分程の間があり、ようやく審判の
声が魔道具から聞こえた。皆、戦場を見
渡せば、どちらが勝ったのか一目瞭然な
訳だが、それは言わぬが華。何故か、見
届け人達も自然と肩に力が入る。
「勝敗は決着の時点でその場に立ってい
た者の人数で決めさせて頂きます。では
発表致します」
かすかに芝居がかった感じで進行するハ
ーメルン。やることが多く、大変ではあ
ったが、なんだかんだで彼もそこそこ楽
しんではいたようだ。
「まずは"碧い鷹爪"……………親クラン
はなんと0人ですが、傘下の方はどうや
ら健闘していたようです!合計20
人!」
まばらな拍手が聞こえる。そのほとんど
が同情であり、本人達にもそれは十分に
分かっていた。皆、疲れ切っていて反応
が返せてはいないが。
「次に"黒の系譜"……………これは凄い
ですね。親クランがほとんど、傘下は6
割ほどが立っていたそうです!そして、
これらを合計すると……………なんと驚異
の数字…………491人だ~!!という
ことで今回の|軍団戦争《レギオン・ウ
ォー》、栄えある勝者は"黒の系譜"に
決定だ~!!」
「「「「「うおおおお
っ~~~!!!!!」」」」」
直後、鳴り止まぬ歓声と拍手。そんな
中、失神し泡を吹いて倒れ出す者やどさ
くさ紛れで愛の告白をする者、有望な人
材を虎視眈々と狙う変態などが見届け人
席から現れたが、特に実害が出ることも
なく、これにて終戦となった。その後、
当事者達はいくつかのやり取りを経て、
観客達は興奮冷めやらぬ中の解散。後
日、この戦いがその場に居合わせたギル
ドの記者によって、世界中の冒険者達に
知れ渡ることとなり、またもやシンヤ達
は注目の的となる。だが、この時の彼ら
はそんなことを知る由もないのだった。
――――――――――――――――――
「どうだった?彼らは」
「凄かったな!ってか、そんなことより
もハーメルン、お前いつの間にシンヤ達
と仲良くなったんだよ!」
「いや、まぁ色々あってね」
「ずるいぞ!アタイだって、ま
だ…………」
「うるさいぞ、ウィア。お前のそういう
ガツガツしたところは昔から嫌いだ」
「なんだと!」
「"黒締"も嫌がっていただろ。だか
ら、避けられたんだ」
「あ、あれは疲れていたから早目に帰っ
ただけだ。"お前がシンヤか!アタイと
勝負してくれ!"って言っただけだし」
「かなりウザいな。ましてや、あのタイ
ミングで言うか?本当に空気が読めない
な」
「う、うるさいな!お前の方こそ、自分
のことを"俺様"とか言う勘違い野郎じ
ゃないか!」
「お前、死にたいらしいな」
「ふんっ。そっちこそ」
「まぁまぁ、2人共。少し落ち着きなさ
い。私達がここに居合わせたのは何も喧
嘩する為じゃないでしょ。ましてや、先
程の対戦を見る為だけでもないし」
「……………すまん」
「ごめん」
「分かればいいのよ」
「ふ~っ、ありがとうネイアさん。いつ
もあなたばかりに仲裁の役目を押し付け
て、ごめん」
「そんなこと気にしなくていいの。私は
みんなの笑顔が見たいだけだから」
「ケリュネイア…………」
「ぷっ、顔真っ赤にしてやんの。自称、
俺様野郎」
「お前っ!」
「はいはい、ストップ。もうあまり時間
がないから、そろそろ行くよ」
「は~い……………それにしてもどのくら
いぶりなんだろ。みんなに会うの」
「例のあの時以来だな」
「もうみんな着いて待っているかし
ら?」
「どうだろ。でも早く会いたいね」
「まさか、こんな日がくるなんてな」
「うん。未だに信じられないよ…………
クラン"箱舟"の元メンバーが全員集ま
るなんて」
場で待機して下さい!」
広大な平原に澄んだ声が響き渡る。それ
は音声の魔道具によって、拡声されたハ
ーメルンのものであった。審判を務める
彼には逐一、戦場の様子を把握し冒険者
に不正がないか、また問題なく戦いが行
われているかなどを確認する義務があっ
た。またそれだけではなく、命に別状の
ある冒険者や降伏宣言の証である旗の有
無、さらには映像の魔道具が故障してい
ないかをチェックする仕事などやること
が非常に多く、息をつく暇がないほど動
いていた。とはいっても1人で見ること
のできる範囲には限界がある。その為、
見逃してしまったとしても仕方のないこ
ととして処理され、特に見咎められるこ
とはない。そんな状況の彼が現在、冒険
者達に呼び掛けた理由はたった1
つ……………戦いの決着がついたからだっ
た。
「只今、集計を行っております。今しば
らくお待ち下さい」
ちなみにどちらかの|軍団長《レギオン
マスター》が気絶もしくは動けない状態
になった場合に決着がつく。しかし、必
ずしも討たれた方の軍団
が負けるという訳でもないのがこの|軍
団戦争《レギオン・ウォー》の特徴だっ
た。では一体何で勝者と敗者を決めるの
か。それは決着がついた時点でその場に
立っている人の数であった。これはあく
までも軍団による戦い。
別に軍団長が1
人で戦っている訳ではないのだ。その
為、全員で勝ちにいく姿勢というのが非
常に重要となってくる。そうなると元々
の人数が少ない方の陣営が不利というこ
とになるが、それに対して特にハンデは
なく抱えているメンバーの数も実力の内
という風に考えられている。つまり、開
戦の合図が出る前から既に戦いは始まっ
ているということである。
「皆様、大変お待たせ致しました。たっ
た今、集計の方が終わりました」
約10分程の間があり、ようやく審判の
声が魔道具から聞こえた。皆、戦場を見
渡せば、どちらが勝ったのか一目瞭然な
訳だが、それは言わぬが華。何故か、見
届け人達も自然と肩に力が入る。
「勝敗は決着の時点でその場に立ってい
た者の人数で決めさせて頂きます。では
発表致します」
かすかに芝居がかった感じで進行するハ
ーメルン。やることが多く、大変ではあ
ったが、なんだかんだで彼もそこそこ楽
しんではいたようだ。
「まずは"碧い鷹爪"……………親クラン
はなんと0人ですが、傘下の方はどうや
ら健闘していたようです!合計20
人!」
まばらな拍手が聞こえる。そのほとんど
が同情であり、本人達にもそれは十分に
分かっていた。皆、疲れ切っていて反応
が返せてはいないが。
「次に"黒の系譜"……………これは凄い
ですね。親クランがほとんど、傘下は6
割ほどが立っていたそうです!そして、
これらを合計すると……………なんと驚異
の数字…………491人だ~!!という
ことで今回の|軍団戦争《レギオン・ウ
ォー》、栄えある勝者は"黒の系譜"に
決定だ~!!」
「「「「「うおおおお
っ~~~!!!!!」」」」」
直後、鳴り止まぬ歓声と拍手。そんな
中、失神し泡を吹いて倒れ出す者やどさ
くさ紛れで愛の告白をする者、有望な人
材を虎視眈々と狙う変態などが見届け人
席から現れたが、特に実害が出ることも
なく、これにて終戦となった。その後、
当事者達はいくつかのやり取りを経て、
観客達は興奮冷めやらぬ中の解散。後
日、この戦いがその場に居合わせたギル
ドの記者によって、世界中の冒険者達に
知れ渡ることとなり、またもやシンヤ達
は注目の的となる。だが、この時の彼ら
はそんなことを知る由もないのだった。
――――――――――――――――――
「どうだった?彼らは」
「凄かったな!ってか、そんなことより
もハーメルン、お前いつの間にシンヤ達
と仲良くなったんだよ!」
「いや、まぁ色々あってね」
「ずるいぞ!アタイだって、ま
だ…………」
「うるさいぞ、ウィア。お前のそういう
ガツガツしたところは昔から嫌いだ」
「なんだと!」
「"黒締"も嫌がっていただろ。だか
ら、避けられたんだ」
「あ、あれは疲れていたから早目に帰っ
ただけだ。"お前がシンヤか!アタイと
勝負してくれ!"って言っただけだし」
「かなりウザいな。ましてや、あのタイ
ミングで言うか?本当に空気が読めない
な」
「う、うるさいな!お前の方こそ、自分
のことを"俺様"とか言う勘違い野郎じ
ゃないか!」
「お前、死にたいらしいな」
「ふんっ。そっちこそ」
「まぁまぁ、2人共。少し落ち着きなさ
い。私達がここに居合わせたのは何も喧
嘩する為じゃないでしょ。ましてや、先
程の対戦を見る為だけでもないし」
「……………すまん」
「ごめん」
「分かればいいのよ」
「ふ~っ、ありがとうネイアさん。いつ
もあなたばかりに仲裁の役目を押し付け
て、ごめん」
「そんなこと気にしなくていいの。私は
みんなの笑顔が見たいだけだから」
「ケリュネイア…………」
「ぷっ、顔真っ赤にしてやんの。自称、
俺様野郎」
「お前っ!」
「はいはい、ストップ。もうあまり時間
がないから、そろそろ行くよ」
「は~い……………それにしてもどのくら
いぶりなんだろ。みんなに会うの」
「例のあの時以来だな」
「もうみんな着いて待っているかし
ら?」
「どうだろ。でも早く会いたいね」
「まさか、こんな日がくるなんてな」
「うん。未だに信じられないよ…………
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るなんて」
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