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第12章 vs聖義の剣
第235話 奇襲
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ローズの故郷である"スニク"。ここは
普段、見えない結界により、外部からの
侵入を許さない隠れ里となっている。し
かし、こと今日に限って言えば、それは
例外であろう。何故なら、いきなり里の
近くに現れた白い修道服を着た集団がど
うやったのか、里の場所をピンポイント
で見抜き、あろうことか結界を特殊な武
器で以って破ってしまったのだ。
「まさか、こんなところに隠れ里がある
とはな」
「ぐふっ………」
異変に一瞬で気が付いた門番のジェイド
はもう1人の門番に里中へ危険を知らせ
に走らせた。そして、その間、彼は無言
で近付いてきた集団へ帰還を勧めたが、
これを拒否される。その後、何とか穏便
に事態を収束させようと他の方法を模索
していたところ、いきなり集団の1人に
斬りつけられ、それを皮切りに次々と攻
撃を加えられた。彼は思った。こんな危
ない集団を里へ入れては絶対ダメだ
と……………そうして意地と持ち前の戦闘
センスにより、どうにか現在まで耐え忍
んでいたという訳だった。
「さて、時間が掛かりすぎたか。ではこ
こを通してもらおう」
「いい加減、くたばりやがれよ死に損な
い~」
「次はどこを責められたいんだ~」
「ぐっ…………はぁ、はぁ。誰がお前達
のような危ない連中を里へ入れるか」
「命が惜しくないのか?」
「へっ……………くたばるのはお前達の方
だ」
「俺はつまらない冗談は大嫌いだ」
「お、クロスさんがお怒りだ」
「お前、終わったな~」
部下らしき者達の囃し立てる声と共にジ
ェイドへと向かって、2m級の大剣が振
り下ろされる。これに対し、満足そうな
笑みを浮かべたジェイドは一言こう言っ
た。
「時間切れだ」
「何?」
直後、突風が吹いた。これにより、思わ
ず目を瞑る集団。だが、大剣の勢いは止
まらない。集団の多くがジェイドの最期
を想像しながら、風が止んですぐに目を
開ける。もう剣はジェイドの息の根を止
めているはずだからと……………ところ
が、彼らは思いもよらない事態に遭遇す
ることになる。
「どうやら間に合ったようじゃの」
なんとジェイドと大剣の間に割り込み、
杖で大剣を受け止めている人物がそこに
はいたのだ。皺がいくつも刻まれ、どこ
か重厚な雰囲気を漂わせるその老人は長
く使い込まれたであろう杖を持ったま
ま、鋭い目を敵へと向ける。相当年老い
ているはずであろうがその力に衰えは見
られず、大地へとしっかり2本の足で立
つ威容は逞しさすら感じられる。全体的
に隙のないその佇まいからは実力者であ
ることが窺え、これには思わず敵も驚き
の表情を見せた。
「貴様…………何者だ?」
「ワシはこの里の長老。ただの年老いた
ジジイじゃ」
「俺はつまらない冗談が大嫌いだ。ただ
のジジイに俺の剣が受け止められる筈な
いだろ」
「はて?随分と自分の力を過信しておる
ようじゃの。お主の攻撃なんぞ、ワシの
ような老いぼれでも止められる……………
実に軽いのぅ」
「俺にはもう1つ嫌いなものがあ
る……………それは安い挑発だ」
「おっと!」
敵が勢いをつけて大剣ごと後ろに跳ん
だ。老人はその衝撃で一瞬よろめきそう
になるのを堪える。この行動の結果、お
互いがお互いをある程度離れたところか
ら視認できるような状態になった。する
と敵の大剣使いは老人を強敵として認め
ざるを得ないと感じ、改めて居住まいを
正して、こう言った。
「俺の名はクロス。"聖義の剣"第4部
隊の隊長を務めている者だ」
「ワシはシード。この里の長老じゃ」
両者、視線が交差して自然と睨み合う形
となる。他の者達は誰1人として、声を
発することもなく、事の成り行きを見守
ることしかできなかった。
「「いざ尋常に勝負!!」」
そして、今ここに1つの戦いが起きよう
としていたのだった。
普段、見えない結界により、外部からの
侵入を許さない隠れ里となっている。し
かし、こと今日に限って言えば、それは
例外であろう。何故なら、いきなり里の
近くに現れた白い修道服を着た集団がど
うやったのか、里の場所をピンポイント
で見抜き、あろうことか結界を特殊な武
器で以って破ってしまったのだ。
「まさか、こんなところに隠れ里がある
とはな」
「ぐふっ………」
異変に一瞬で気が付いた門番のジェイド
はもう1人の門番に里中へ危険を知らせ
に走らせた。そして、その間、彼は無言
で近付いてきた集団へ帰還を勧めたが、
これを拒否される。その後、何とか穏便
に事態を収束させようと他の方法を模索
していたところ、いきなり集団の1人に
斬りつけられ、それを皮切りに次々と攻
撃を加えられた。彼は思った。こんな危
ない集団を里へ入れては絶対ダメだ
と……………そうして意地と持ち前の戦闘
センスにより、どうにか現在まで耐え忍
んでいたという訳だった。
「さて、時間が掛かりすぎたか。ではこ
こを通してもらおう」
「いい加減、くたばりやがれよ死に損な
い~」
「次はどこを責められたいんだ~」
「ぐっ…………はぁ、はぁ。誰がお前達
のような危ない連中を里へ入れるか」
「命が惜しくないのか?」
「へっ……………くたばるのはお前達の方
だ」
「俺はつまらない冗談は大嫌いだ」
「お、クロスさんがお怒りだ」
「お前、終わったな~」
部下らしき者達の囃し立てる声と共にジ
ェイドへと向かって、2m級の大剣が振
り下ろされる。これに対し、満足そうな
笑みを浮かべたジェイドは一言こう言っ
た。
「時間切れだ」
「何?」
直後、突風が吹いた。これにより、思わ
ず目を瞑る集団。だが、大剣の勢いは止
まらない。集団の多くがジェイドの最期
を想像しながら、風が止んですぐに目を
開ける。もう剣はジェイドの息の根を止
めているはずだからと……………ところ
が、彼らは思いもよらない事態に遭遇す
ることになる。
「どうやら間に合ったようじゃの」
なんとジェイドと大剣の間に割り込み、
杖で大剣を受け止めている人物がそこに
はいたのだ。皺がいくつも刻まれ、どこ
か重厚な雰囲気を漂わせるその老人は長
く使い込まれたであろう杖を持ったま
ま、鋭い目を敵へと向ける。相当年老い
ているはずであろうがその力に衰えは見
られず、大地へとしっかり2本の足で立
つ威容は逞しさすら感じられる。全体的
に隙のないその佇まいからは実力者であ
ることが窺え、これには思わず敵も驚き
の表情を見せた。
「貴様…………何者だ?」
「ワシはこの里の長老。ただの年老いた
ジジイじゃ」
「俺はつまらない冗談が大嫌いだ。ただ
のジジイに俺の剣が受け止められる筈な
いだろ」
「はて?随分と自分の力を過信しておる
ようじゃの。お主の攻撃なんぞ、ワシの
ような老いぼれでも止められる……………
実に軽いのぅ」
「俺にはもう1つ嫌いなものがあ
る……………それは安い挑発だ」
「おっと!」
敵が勢いをつけて大剣ごと後ろに跳ん
だ。老人はその衝撃で一瞬よろめきそう
になるのを堪える。この行動の結果、お
互いがお互いをある程度離れたところか
ら視認できるような状態になった。する
と敵の大剣使いは老人を強敵として認め
ざるを得ないと感じ、改めて居住まいを
正して、こう言った。
「俺の名はクロス。"聖義の剣"第4部
隊の隊長を務めている者だ」
「ワシはシード。この里の長老じゃ」
両者、視線が交差して自然と睨み合う形
となる。他の者達は誰1人として、声を
発することもなく、事の成り行きを見守
ることしかできなかった。
「「いざ尋常に勝負!!」」
そして、今ここに1つの戦いが起きよう
としていたのだった。
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