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6.距離1メートル、特別扱い
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翌朝。
九時ちょうどに、俺は社長オフィスの前に立っていた。
緊張で手のひらが少し汗ばんでいる。
ノックをすると、すぐに落ち着いた声が返ってきた。
「どうぞ」
「おはようございます」
「おはよう、颯真」
黒崎社長は笑顔で俺を迎えた。
今日はグレーのスリーピース。その上品さが、さらに目を引く。
……似合ってる。
「今日から企画部のプロジェクトチームに入るわけだけど」
社長は資料を取り出しながら、俺の前に歩み寄る。
「まずは俺と一緒に、プロジェクトの流れを把握してもらう」
「はい」
「それと――」
社長がわずかに肩を傾け、俺に近づいてくる。
「このオフィス、お前の席も用意したから」
「え……?」
促されるまま視線を向けると、社長のデスクのすぐ隣に、少し小さめのデスクが一つ置かれていた。
「俺の隣で仕事してもらうよ」
「な、隣……ですか」
「何か問題?」
社長は軽く首を傾げ、俺を見つめる。
「いえ、でも……」
「他のメンバーは別のフロアだから。ここは基本、俺とお前だけだよ」
二人きり。毎日、この空間で。
「よろしくね、颯真」
肩に置かれた社長の手は、軽いのに妙に重かった。
「は、はい……」
俺は自分の席に座る。
顔を上げれば、ほんの一メートル先に黒崎社長の横顔。
落ち着け。
俺は深呼吸をして、パソコンを開いた。
「じゃあ早速、資料を送るから読んでおいて」
落ち着いた低音が耳に心地いい。
「分かりました」
届いたファイルを開いた瞬間、隣からキーボードを叩く規則正しい音が聞こえてきた。
気になって、ちらりと視線を向ける。
仕事モードの真剣な表情。
さっきまで俺を抱きしめていた甘い雰囲気の人とは思えないほどの集中力と威圧感。
……かっこいい。
「……っ」
俺は慌てて視線を戻した。
何考えてるんだ、俺。集中しなきゃ。
午前中は、あっという間に過ぎた。
社長の説明は驚くほど丁寧で、ポイントがわかりやすい。
若くして会社を動かしている人なんだと改めて感じさせられる。
そして昼休み。
「颯真、昼は一緒にどう?」
真正面から名前を呼ばれ、反射的に顔を上げた。
「え、あ……社員食堂、ですか?」
「外に行こう。近くに美味しいイタリアンがあるんだ」
「外……ですか」
「だめ?」
一瞬だけ、陰を落としたような表情。
そんなの、断れるわけがない。
「い、いえ!全然大丈夫です!」
慌てた俺の声に、社長はふっと微笑む。
「よかった。じゃあ、行こう」
立ち上がって上着を羽織る仕草すら絵になる。
その完璧さに、思わず見とれてしまう。
胸の奥が、また静かに高鳴った。
九時ちょうどに、俺は社長オフィスの前に立っていた。
緊張で手のひらが少し汗ばんでいる。
ノックをすると、すぐに落ち着いた声が返ってきた。
「どうぞ」
「おはようございます」
「おはよう、颯真」
黒崎社長は笑顔で俺を迎えた。
今日はグレーのスリーピース。その上品さが、さらに目を引く。
……似合ってる。
「今日から企画部のプロジェクトチームに入るわけだけど」
社長は資料を取り出しながら、俺の前に歩み寄る。
「まずは俺と一緒に、プロジェクトの流れを把握してもらう」
「はい」
「それと――」
社長がわずかに肩を傾け、俺に近づいてくる。
「このオフィス、お前の席も用意したから」
「え……?」
促されるまま視線を向けると、社長のデスクのすぐ隣に、少し小さめのデスクが一つ置かれていた。
「俺の隣で仕事してもらうよ」
「な、隣……ですか」
「何か問題?」
社長は軽く首を傾げ、俺を見つめる。
「いえ、でも……」
「他のメンバーは別のフロアだから。ここは基本、俺とお前だけだよ」
二人きり。毎日、この空間で。
「よろしくね、颯真」
肩に置かれた社長の手は、軽いのに妙に重かった。
「は、はい……」
俺は自分の席に座る。
顔を上げれば、ほんの一メートル先に黒崎社長の横顔。
落ち着け。
俺は深呼吸をして、パソコンを開いた。
「じゃあ早速、資料を送るから読んでおいて」
落ち着いた低音が耳に心地いい。
「分かりました」
届いたファイルを開いた瞬間、隣からキーボードを叩く規則正しい音が聞こえてきた。
気になって、ちらりと視線を向ける。
仕事モードの真剣な表情。
さっきまで俺を抱きしめていた甘い雰囲気の人とは思えないほどの集中力と威圧感。
……かっこいい。
「……っ」
俺は慌てて視線を戻した。
何考えてるんだ、俺。集中しなきゃ。
午前中は、あっという間に過ぎた。
社長の説明は驚くほど丁寧で、ポイントがわかりやすい。
若くして会社を動かしている人なんだと改めて感じさせられる。
そして昼休み。
「颯真、昼は一緒にどう?」
真正面から名前を呼ばれ、反射的に顔を上げた。
「え、あ……社員食堂、ですか?」
「外に行こう。近くに美味しいイタリアンがあるんだ」
「外……ですか」
「だめ?」
一瞬だけ、陰を落としたような表情。
そんなの、断れるわけがない。
「い、いえ!全然大丈夫です!」
慌てた俺の声に、社長はふっと微笑む。
「よかった。じゃあ、行こう」
立ち上がって上着を羽織る仕草すら絵になる。
その完璧さに、思わず見とれてしまう。
胸の奥が、また静かに高鳴った。
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