【完結】社長、俺のこと好きすぎじゃないですか?―キスから始まる溺愛オフィス―

砂原紗藍

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【最終話】深まる絆

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「おかえり、颯真」

マンションのドアが開いた瞬間、柔らかい声が迎えてくれた。
何度も来ているはずなのに、胸がふっとほどける。

「ただいま……」

口をついて出た言葉に、自分でも少し驚いた。
でも翔は、ぱっと表情を緩める。

「今の、すごくいいな。……ずっと聞きたかったよ」

そう言いながら、温かく抱きしめてくる。

「翔……」
「お腹、空いてる?」
「少しだけ」
「じゃあ一緒に作ろう。颯真と料理するの、結構好きなんだ」

翔は俺の手を引いて、キッチンへ。
俺は野菜を切り、翔はパスタを茹でる。
その距離が近いのに、不思議と落ち着く。

「颯真、切るの上手だな」
「料理、わりと好きなんです」
「そっか……じゃあ、今度はお前の手料理食べたいな」
「いいですよ」

自然な会話。自然な笑顔。
食事を終えて、ソファでくつろぐ。
翔が俺を抱き寄せた。

「颯真」
「ん?」

食事を終えてソファに移ると、翔がそっと腕を回して俺を抱き寄せた。

「颯真と出会えて、本当に良かった」 

言葉のひとつひとつがやさしくて、胸の奥が熱くなる。
翔は俺の額にゆっくりとキスを落とした。

「なあ、颯真」
「はい?」
「お前のアパート、更新時期いつだっけ?」
「来月……ですけど」
「そっか」

短く返したあと、翔は少しだけ視線を落として考え込んだ。
けれどすぐに、何か覚悟を決めたように俺の手をそっと包む。

「颯真……一緒に住まないか」
「……え?」

俺が驚いて顔を上げると、まっすぐこっちを見ていた。

「ここに引っ越してきてほしい。ちゃんと、俺の隣で暮らしてほしい」
「で、でも……」

言いかけた言葉を、翔の温かい指がそっと握り止める。

「無理にとは言わないよ。でも……俺は颯真と毎日一緒にいたい」

胸の奥がじんわり熱くなる。

「……俺なんかで、いいんですか」
「“なんか”じゃない」

翔はほんの少し笑って、俺の手を指先でなぞった。

「颯真は、俺の大事な人だよ」
「翔……」

言葉に詰まった俺の頬に、翔がゆっくりとキスを落とす。

「答えは急がなくていい。でも、俺の気持ちは決まってる。ずっと側にいたい」

翔は俺の頬にキスを落とした。


そして――。
俺は翔のマンションに引っ越した。

「これで最後の荷物だな」

翔が段ボールを軽々と運び込み、部屋の端に置く。

「ありがとう、翔」
「いいって。これからはずっと一緒だからな」

その言い方が、あまりにも自然で。
思わず笑ってしまう。

荷解きが終わると、俺たちは並んでソファに座った。
少し散らかった部屋は、これから二人で作っていく“家”の始まりみたいだった。

「……なんか、実感ないな」

ぽつりと漏らすと、翔が横目で俺を見る。

「俺と暮らすなんて、って顔してる」
「だって……ずっと憧れてたけど、まさか本当に一緒に住むなんて」
「俺は最初からそのつもりだったよ」

翔はそう言って、俺の肩を包み込むように抱き寄せる。

「毎朝、颯真を起こせるし」
「起こさなくていいです……」
「夜も隣で寝られる」
「……言わないでくださいって」
「可愛いから、言いたくなるんだよ」

翔は俺の髪にキスを落とした。

「これから、よろしくな。颯真」
「はい……こちらこそ」

俺は翔の胸に顔を埋めた。
温かくて安心する。ここが、俺の帰る場所。

「なあ颯真」
「ん?」
「明日から一緒に出勤できるんだよな」
「そうですね」
「帰りも一緒で、夜も……」
「翔」

俺がじとっと睨むと、翔は肩を揺らして笑った。

「俺の大切な、可愛い恋人」

この人を選んだこと、この人に選ばれたこと。
全部が嬉しかった。



――それから一年が経った。

俺と翔の生活は、順調に続いていた。
仕事は忙しいけれど、帰れば翔がいて、笑い合える時間がある。

「颯真、今日も頑張ったな」

帰宅した俺を抱きしめる翔は、変わらず優しい。

「翔は俺のこと、ほんと好きすぎですよね」
「当然だろ。俺の恋人なんだから」

そんなふうに言われるたび、胸がふわっとなる。
一年経っても、その感覚は変わらない。

運命みたいに始まった恋は、
今は“確かな愛”として、ここにある。

俺は翔の腕に抱かれながら、小さく微笑んだ。

――これからも、ずっと一緒に。





End.


***

【あとがき】

最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

颯真と翔の関係は、“自然に支え合える恋人”へと変わっていきました。
そのささやかな温かさを、少しでも感じてもらえていたら嬉しいです。

ここまでお付き合い、本当にありがとうございました。


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