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中小路かほ

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ドキドキ♡ダンスレッスン

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星乃川学園エスコート科。

そこで、各学年で最高の成績を誇る3人は『イージス』というエリート警護部隊の称号を与えられる。


“特別”に金色の星のバッジを与えられるイージスになることは、エスコート科に通う男子生徒全員の憧れ。

そのイージスに守られるお嬢様の女子生徒もまた“特別”な存在。


そんな重要なポジションに、超有名財閥のお嬢様のアリスちゃんと秘密で入れ替わった――庶民のわたしがなることに。


わたしについてくれるイージスの3人は、みんな個性豊か。


中学3年生の牧慎太郎くん。

微笑んだときにタレ目になるところが特徴的。

口調もおだやかで包容力もあって、とってもやさしい。

理想のお兄ちゃんというような感じだ。


中学1年生の小塚虹斗くん。

クリクリとした大きな目が小動物のよう。


人懐っこい子犬みたいで、そのおかげでわたしの緊張も解れた。

1つ年下だけど、フランクな口調がとっても話しやすいかわいい弟みたい。


そして、わたしと同じ中学2年生の四之宮昴くん。

前髪から見え隠れする切れ長の目。

同い年とは思えない落ち着いた大人っぽい雰囲気をかもし出している。

イージスのリーダーらしいけど、他の2人とは違って口数も少なくて…あまりよくわからない。



* * *



イージスがわたしにつくということに安心して、アリスちゃんパパは本当に帰ってしまった。


「アリス様、そろそろ朝のホームルームの時間です。教室にご案内します」

「お…お願いします」


学校内だから変な人はいないというのに、イージスの3人はわたしを囲むようにしていっしょについてくる。

その立ち居振る舞いは、さっきまでついていた黒スーツの専属ボディガードの人たちとなんら変わりない。


案内されたのは、2年A組。

ここがわたしのクラスのようだ。


「それでは、1ヶ月このクラスでともに学ぶことになった交換留学生を紹介します」


教室内から、廊下にいるわたしに呼びかける先生の声が聞こえる。


わたしが入ると、教室内がざわついた。

しかしそれは、わたしを見て…というわけではなかった。


「「…イージス!」」

「いつ見てもかっこよすぎる~!」


クラスメイトの女の子たちは、歓声を上げていた。

エスコート科の男の子たちも、イージスを前に圧倒されているという感じだ。


「アメリカから一時帰国している、佐藤アリスさんです。久しぶりの日本ということで、わからないことが多いと思うので、みなさんいろいろと教えてあげるように」


先生の言葉に胸が痛む。


…ごめんなさい、先生。

わたしは、日本生まれ日本育ちの平凡な庶民です。


「佐藤さん、あいさつをお願いします」

「は、はい…!佐藤アリスです、どうぞよろしくお願いします」


ここでは、わたしはアリスちゃんの代わり。

失礼のないように、深々と頭を下げる。


きっと第一印象は無難なところだろう。

これで、嫌に思う人なんていないはず――。


「…なんなの、あのコ」


ふと、そんな声がかすかに聞こえた。


「1人に対して、3人の護衛なんてありえない!」

「しかも、それがイージスってどういうこと…!?」

「そんなに特別な生徒なのかしら?どう見たって、ただの庶民にしか見えないけど」


女の子たちの鋭い視線が一斉にわたしに突き刺さる。


“庶民”というのは…正解だ。

やっぱり、本物のお嬢様とはまとっているオーラが違うのだろうか。


だったとしても、会ったばかりなのに…そんなに敵視しなくても。


周りからの視線に、わたしは思わずうつむいた。

すると――。


「気にすることなどありません。アリス様は堂々となされてください」


耳元でそんなささやき声が聞こえて顔を向けると、それは昴くんだった。


…驚いた。

無口な人だと思っていたから、そんなふうにやさしい言葉をかけてくれるだなんて。


「それでは、佐藤さんはあちらの席を使ってください」

「はい!」


わたしは、先生に指示された席へと向かう。

そこは、窓際の席だった。


周りを見ると、お嬢様である女子生徒とエスコート科の男子生徒が隣同士で座っている。

だから、わたしの隣には昴くんが座った。


てっきり虹斗くんと慎太郎くんは、各学年の教室に戻るのかと思いきや――。


なんと、わたしの後ろに虹斗くん。

そしてその隣の、わたしの斜め後ろの席に慎太郎くんが座った。


「…えっと。2人とも…自分の教室は?」

「ぼくたちエスコート科の生徒に、教室はありません」

「ペアとなるお嬢様のクラスで、ともに勉強をご一緒します」


驚いたことに、エスコート科の男子生徒は学年関係なくお嬢様と同じ教室で勉強するのだ。


この学年でこの勉強内容をするという教育内容ではなく、3年間を通して卒業に必要な単位を取るというカリキュラムなのだそう。

だから、他学年が混ざっていても問題ないのだ。


そんなこんなで、星乃川学園独自のシステムやルールはたくさんあった。

ここでの学校生活に慣れるには、しばらく時間がかかりそうだ。


あいさつは「ごきげんよう」。

聞き慣れないあいさつに、初日から戸惑った。


そして、上級生を敬うという年功序列ではなく、各家の財力によってカーストが決まる。

わたしはそんな競争には巻き込まれず、入れ替わっていることがバレないようにひっそりと過ごしたかったのに――。


この学校でのカーストの最上位に立つのが、…なんとわたしだった!


というのも、やはりアリスちゃんの家はとんでもないお金持ちのよう。

1限が終わるころにはアリスちゃんの素性が調べ上げられていて、それにより学校一お金持ちのお嬢様だという噂が広まっていた。


わたしが廊下を歩くだけで周りにいる生徒たちは端に寄り、ペアといっしょにお辞儀する。


「あ…あの、普通にしてもらえますか?わざわざ頭を下げなくてもっ…」

「いえ、これが当然の礼儀ですわ。佐藤財閥さまには、父の会社も大変お世話になっておりますので」


といった調子だ。

みんながわたしに一目置くから、友達になろうと近づこうにも近づけない。


そんな感じで、星乃川学園1日目はあっという間に終わった。


しかし、慣れないのは学校生活だけではない。



放課後。


さっそくイージスに案内されたのは、大理石の外観が特徴的な3階建ての大きな建物。

ここが、星乃川学園の寮だ。


1年生が1階、2年生が2階というふうに学年でフロアが決まっている。

1階の正面ロビーから入ると、赤絨毯が敷かれた通路が左右に伸びていて、それぞれ男子寮と女子寮へと続いている。


男女の共同スペースは、正面ロビーとその真上にあたる2階の食堂。

そして、さらにその上の3階、男子寮と女子寮の間に露天風呂付き大浴場があり、そのそばの休憩スペースを含む3箇所だ。


寮の内装も西洋風で、まるでヨーロッパのお城にきたような感覚。

金のネコの置物や窓よりも大きな風景画など、装飾品も豪華でどれも高そう。


興味津々に見回しながら2階のフロアへとやってきて、通路を突き進むとイージスはある部屋の前で足を止めた。


「こちらが、アリス様がお使いになられるお部屋です」


そう言って、慎太郎くんが金のドアノブを握ってドアを開ける。

昨日まで泊まっていたロイヤルスイートルームと同じで、靴のまま部屋に入る。


すぐに広々とした開けた空間が現れ、ここがリビングなのだそう。

正面にある大きなガラス窓からは、学園の広大な庭を一望することができる。


ここが、わたしが1ヶ月間暮らすことになる部屋だ。


ただでさえおばあちゃん家の古い日本家屋とは違って落ち着かないというのに、知らないところで1人暮らしなんてやっていけるのだろうか。


想像もつかないこれからの学園生活に、わたしはごくりとつばを飲む。


「アリス様!さっそくお部屋のご説明ですが――」


そう言って、ソファに遠慮がちに座っていたわたしのところへやってきたのは虹斗くん。

わたしは、そんな虹斗くんの顔を覗き込む。


「あの、ひとつお願いがあるんだけど…」

「なんでしょうか?」


キョトンとして首をかしげる虹斗くん。


「わたしに対しての敬語と“様”をつけて呼ぶのを、できればやめてほしいんだけど…」


同じ中学生なのに、敬語で話されたらなんだか歯がゆい。


たしかに、アリスちゃんはすごいお家のお嬢様。

だけど、ここにいるのは庶民のわたしだから、“様”をつけて呼ばれるような人間じゃない。


3人はわたしがアリスちゃんと入れ替わっていることは知らないとはいえ、敬語はやっぱり落ち着かない。


すると、虹斗くんが表情をゆるめた。


「な~んだ、そんなことか!それならオッケー!それじゃあ、ぼくは普通に話すねっ」


どちらかというと虹斗くんはまだフランクなほうだったけど、切り替えが早すぎるくらいに一瞬にして口調が変わった。


でも、やっぱりこのほうが親近感が一気にわく。


「ありがとう、虹斗くん」


――しかし。


「調子に乗るな、虹斗。アリス様は、俺たちの大事な警護対象者。“友達”じゃないんだぞ」


そう言って、鋭い瞳で虹斗くんを睨みつけるのは昴くんだった。


「そんなこと言わなくたっていいじゃない、昴くん」

「そうっすよ。アリスちゃんもこう言ってくれてるんだから」

「虹斗!“様”をつけろ!」


昴くんに叱られ、虹斗くんはプーと頬を膨らませて口を尖らせる。


「え~…。でもね~、アリスちゃん」

「だよね、虹斗くん」


わたしと虹斗くんは顔を見合わせる。

昴くんはああ言うけど、虹斗くんが普通に話してくれるようになって、わたしも凝り固まっていた緊張がほぐれてきたし。


「アリス様、あまり虹斗を甘やかさないでください。最低限の言葉づかいもできなければ、イージスの名が廃れます」

「でも、学園にいるほとんどの時間はいっしょにいるわけだから、わたしもみんなと仲よくなりたいし。だから、“友達”でいいんじゃない?」

「いけません」


さすがはイージスのリーダーは、一番責任感がある。

わたしがこれだけ言っているのに、昴くんは絶対に譲ってくれない。


「まあまあ、昴」


そんな昴くんの肩に手を置いたのは慎太郎くんだった。


「虹斗の言うとおり、アリス様――いや、アリスちゃんがやめてほしいと言ってるんだったら、それに従うべきじゃないのか?」

「慎太郎…!お前までっ」


慎太郎くんもわたしたちの肩を持ってくれた。

昴くんは不服そうだったけど、あきれたようにため息をつくと小さくつぶやいた。


「…わかったよ。2人の好きにしろ」


それを聞いて、わたしたちは顔を見合わせる。

たったこれだけのことだけど、虹斗くんと慎太郎くんと馴染みやすくなった気がする。


しかし、昴くんは相変わらず敬語で『アリス様』呼び。

だから、どうしても壁があるように感じてしまう。


今すぐじゃなくていいから、昴くんとも仲よくなれたらいいな。



次の日から、わたしの星乃川学園での本格的な生活がスタートした。


朝の7時。

気持ちよく眠っていると、インターホンの音で起こされた。


「…はい」


眠たい目をこすりながら、よろよろと部屋のモニターで呼び出しを確認すると、そこにはすでに制服に着替えたイージスの3人の姿が映し出されていた。


「アリス様、朝食のお迎えにまいりました」


まるでこちらが見えているかのような昴くんの瞳とモニター越しに目が合って、わたしはぎょっとした。


そうだった。

朝食を食べに食堂に行くために、毎朝7時に迎えにくるって昨日言われてたような。


「ご…ごめん!今起きたところだから、すぐに準備するから待ってて…!」


わたしはそう告げると、慌てて朝の身支度をした。


「お…、おはよう」


内側から部屋のドアを開けると、イージスの3人は背筋を正して凛々しい表情で待機していた。

朝からこんなイケメンたちに出迎えられる生活…、やっぱりわたしはとんでもないところにきてしまったのだと実感した。


「おっはよ~、アリスちゃん!」

「おはよう、虹斗くん。みんな、朝早いね」

「そんなの当たり前だよ。アリスちゃんが部屋を出るときには待機している必要があるから、お嬢様より寝坊なんてしてられないよ」


話し方はフランクになっても、ボディガードとしての務めはきっちりとしているようだ。


「アリス様、おはようございます」

「…わっ!びっくりした~…。おはよう、昴くん」


音もなくそばにやってきた昴くんに驚いた。

同い年の昴くんこそ一番仲よくしたいというのに、1日たってもこの調子。


「それでは、食堂に向かいましょうか。ご案内いたします」


昴くんは、わたしを包み込むようにしてそっと背中に手を添えた。


「ご案内いたします」と言われても、食堂はわたしの部屋と同じフロアの2階にある。

昨日の夕食で利用したため場所はわかっているから1人で行けるというのに、イージスは絶対にわたしを1人にはさせない。


周りを見ると、わたしと同じようにエスコート科の男子生徒に警護されながら食堂に向かう女子生徒たちがいた。

これが、この学園での日常の風景なのだ。


昨日の夕食のときにも驚いたけど、“食堂”といっても星乃川学園の食堂はまるで高級ホテルのレストランかのよう。

広々した会場に、真っ白なクロスがかけられた丸テーブルが配置されている。


そういうレストランではボーイさんが対応してくれるけど、ここではエスコート科の男子生徒がそれを担う。

警護対象のお嬢様を席へと案内して、イスを引いて座らせる。


料理も学生食堂とは思えないほどのクオリティで、和洋折衷の料理が揃ったバイキングだ。


そして、わたしはただ座っているだけ。

今日のメニューから好きなものを選んで、エスコート科の生徒が取ってくるというのがここでのルール。


「アリスちゃん、パンにする?ご飯にする?」

「それじゃあ、パンで」


メニューを見ながらよだれを垂らしそうになるわたしに、慎太郎くんが丁寧に尋ねてくれる。


「他のおかずは?嫌いな食べ物はある?」

「ないよ。全部おいしそうだから、慎太郎くんのお任せでお願い」

「かしこまりました」


慎太郎くんは、胸に手を添え一礼をした。


「お待たせ、アリスちゃん」


戻ってきた慎太郎くんは、両手以外にも器用に手首や肘も使って料理が盛られたお皿を持ってきた。

しかも、食べやすい量で取ってきてくれた料理もすべてがきれいに盛り付けられている。


慎太郎くんはそのお皿をわたしの前に置く。


こんなに至れり尽くせりな生活、このままではわたしがダメ人間になってしまいそうだ。


――だから。


「後片付けは、わたしがするよ!」


朝食を済ませると、みんなの食べ終わった食器を集めようと席を立った。

昨日の夕食のときは、あっという間にイージスの3人が片付けて返却台へと持っていってしまったから、今日はわたしが。


しかし、そんなわたしを昴くんが止める。


「いけません。アリス様に雑務をさせるわけには」


そう言うと、昴くんはわたしの代わりにお皿を引いていく。


「待ってよ、昴くん!わたしがやりたいんだから、これくらいさせてよっ」


わたしも負けじと、テーブルに広げられた4人分のお皿を回収する。


「アリス様はお席に座っていてください」

「わたしだって、なにかしたいんだから」


――そのとき。


「あっ…」


最後に残ったお皿に手を伸ばしたとき、偶然にも昴くんの手と触れた。

思わず、同時に手を引っ込める。


「…失礼いたしました」

「な、なんかごめんね…!」


結局、最後のそのお皿は昴くんが回収した。


わたしはというと、昴くんの大きな手に触れてから…心臓のバクバクが止まらずに頬を赤くして固まってしまっていた。


「アリス様の集めてくださった食器も回収いたしますね」


そうして、昴くんは淡々とテーブルにあったお皿をひとつに積むと、返却台へと持っていった。


何事もなかったかのように、昴くんは涼しい顔をしている。

…どうやら、意識してしまっているのはわたしだけのようだ。


昴くんにとって、わたしはただの“警護対象者”でしかない。

でもわたしは、男の子とそんな関係になったことがないから…勝手にドキドキしてしまう。


そのあとイージスに警護されながら、寮から徒歩5分ほどの距離にある学校へ到着。



星乃川学園は授業も他とは違って、庶民のわたしはなんとかついていくので必死。


例えば、3限の授業。

教科は体育。


球技や陸上種目をしそうだけど、庶民がイメージするような体育とは違う。


体育館に集められた、わたしたち生徒。

だけど、着ているものは体操服ではない。


女子生徒はみんな、裾にかけて広がっているドレスにダンスシューズ。

男子生徒は、タイトな黒色のシャツにゆとりのあるパンツスタイル。


「それでは一番前の列の方たち、スタンバイを」


先生の指示に、一番前に座っていた生徒たちが立ち上がる。

そして体育館の中央まで歩いていくと、男女ペアで向かい合って片手を握り、もう片方の手はお互いの背中へまわす。


「いいでしょう。それでは始めます」


先生の合図とともに、体育館内に音楽が流れ始める。

これは、クラシック曲だ。


すると、生徒たちは曲に合わせて優雅に踊りだす。


そう。

今日の体育の授業は『社交ダンス』。


「2年の2学期ともなれば、みなさんさすがですね」


ダンスの様子を満足げに眺める先生。


どうやら、社交ダンスの体育の授業は以前からあったようだ。

生徒たちもそつなく踊っている。


…すごいっ。

こんな光景、映画でしか見たことがない。


わたしは1人の観客のような気分で眺めていた。


――しかし、ここでふとあることに気づいた。


「それでは次は、真ん中の列」


一番前の列のグループが終わると、今度はわたしの前に座っていた真ん中の列の生徒たちが立ち上がって体育館の中央へ。


まさかとは思ったけど、全員ここで社交ダンスを披露するってこと…!?


周りは授業でも習っていて、お嬢様だからそもそも踊れる人ばかりかもしれないけど――。

庶民のわたしが、いきなり踊れるわけがない…!


わたしは列から外れようと、身を低くして静かに動き出す。

だけど、それを隣に座っている昴くんが見逃すはずがない。


「アリス様…どちらへ?」


当然声をかけられた。


「え…えっと、ちょっとお腹が痛いのでお手洗いに…」

「それでは、ご一緒いたします」

「…いやっ、それはこなくていいから…!」


いくら大事な警護対象者だからって、トイレまでついてこられたらわたしが落ち着かない。


「ですが、どこでなにがあるかわかりませんので」


わたしは本当はトイレに行きたいんじゃなくて、この社交ダンスの授業をサボりたいだけなのに。


「大丈夫だって…!だから、昴くんはここにいて――」

「それでは最後の列、スタンバイしてください」


昴くんとそんなやり取りをしている間に、いつの間にか順番がまわってきてしまった…!


「佐藤さん?どうかしましたか?」

「あ、…えっと。先生…、わたし……」


どうしよう…。

『踊れません』と素直に言う?


「佐藤財閥のご令嬢だもの。きっとこれまでたくさんのパーティーで経験されてきたに違いないわ」

「楽しみね、佐藤さんのダンス」


逃げ出したいところだけど、周りからの期待のまなざしが痛いくらい突き刺さる。


「佐藤さん、そんなところで突っ立っていないで。早くペアを選びなさい」

「…ペア?」


そうか。

他のみんなのボディガードは1人だけ。


でも、わたしはイージスの3人がいる。


もちろんみんなダンスくらい踊れるのだろうけど、だれとペアがいいなんてわたしにはわからないよ~…。


すると、困惑するわたしの手をだれかが取った。

そしてひざまずき、わたしの手の甲にそっとキスをする。


なんとそれは、虹斗くんだった!


「…な、虹斗くん…!」


突然のキスに、わたしの顔は真っ赤。


「お嬢様。ぼくと踊っていただけますか?」


上目遣いでわたしの顔を下からのぞき込む虹斗くん。

そのどこか色っぽいその表情に、わたしはつばをごくりと飲んだ。


かわいい弟だと思っていた虹斗くんに、こんな大人っぽい一面があっただなんて。
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