【R18】101回目の転生~天然無自覚少女は溺愛に気付かない~

しろ

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25.~ロイside.2~

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ミュラが魔法を初めて使ってからしばらくして、どこから聞きつけたのか第一王子と魔術団長の息子がミュラに興味を持ち始めた。

いや、正確に言えばミュラは生まれてからずっと興味を持たれていた。なにしろロレイル公爵家が溺愛する末娘なのだから。
多才な父上と元聖女の母上から生まれたという事や、一家揃って美形だと言われているため、娘はどれほど美しく才能豊かな子なのだろうと貴族や平民の間でも否応無しにミュラは注目を集めていた。

しかし、ロレイル公爵家は頑なにミュラを表に出そうとしない。隠されれば隠される程、暴きたくなるのは人の性というもので、ミュラの1歳の誕生パーティーへの招待を取り付けるべく各方面から打診がくるようになった。

父上へ手紙を出してもバッサリ断られてしまうため、各家の子息令嬢が、お茶会への誘いやご挨拶と称し俺達3兄弟にターゲットを絞りなんとか交流を持とうとしてきたのだ。

公爵家である事が幸いし格下の者には対応に困らないが、王家や、同格である他の公爵家、魔術団長、騎士団長、等に対しては対応に苦戦していた。

特に第一王子のアレス様はカイン兄と幼なじみであり、頻繁に我が家に突撃してきてはミュラを見せろと迫ってきていた。

一方の俺も魔術団長の息子であるクロノスとは幼なじみで、クロノスからの頻繁な訪問と質問攻めに手を焼いていた。

その為、彼らが来る日はミュラを部屋に留める様にし会わせないようにしていたのだが、なにぶん約束無しで突然訪問してくる為、ハリーに言付けて急遽ミュラの予定を変更せざるをえなかった。

その頃からだろうか、ミュラの笑顔が少しずつ曇る事が増え、一緒に過ごしていても時折ぼーっと考え込むような仕草を見せる様になってしまった。

元々ミュラは物静かで我が儘を言わないタイプだ。まだ1歳になっていないというのに、手がかからない子供だった。
そんなミュラだからこそ、このままでは壊れてしまうと思い、カイン兄やラナンに相談してみたものの、二人は『ミュラを見たら絶対好きになってしまうから誰にも会わせたくない』と言って譲らなかった。

確かにミュラはとても可愛いし、美しいと思う。が、それとミュラを閉じ込める事は少し違うと俺は思う。
カイン兄もラナンも俺から見るとミュラへ歪んだ愛情を向けていると感じる。

俺もミュラが大切だし、愛しいと思っているが、俺はミュラが健やかに自由に育って欲しいと願う。俺はその側に居られればいいし、ミュラが困った時に直ぐに手を差し出せる位置にいたい。

勿論、ミュラの隣に立つのが俺だけならばと願うが…。それは強制ではなく、いつかミュラが選んでくれたら嬉しい。

あぁ、こんな俺もまた歪んでいるのかもな。

愛しいミュラに悲しい思いはさせたくない。もう泣かせない。その為に俺に出来ることをしよう。そう胸に誓った。
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