【R18】101回目の転生~天然無自覚少女は溺愛に気付かない~

しろ

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「ミュラちゃん、ドレスの試着をしてみましょうね~。」

誕生日まであと5日。今日は朝から母様がルンルンで機嫌がいい。今まで息子ばかりだったからドレスを一緒に選べて楽しいわぁ、との事だった。
1ヶ月前に採寸し依頼したドレスが届いて試着会となった訳だけど、ドレス何着あるんだろう…。1着だけ届くのかと思ったら違った。さすが公爵家、色違い、デザイン違いで何パターンもある。

鏡の前に立つ私は我ながら可愛らしい。
着なれない豪華なドレスに気後れしてしまい自信無さげな顔をしていなければもっと良いんだけど…。

1歳の誕生パーティーは私のお披露目を兼ねて沢山の人を呼ぶらしい。まだ家族や侍女以外と会った事が無い私はかなり緊張していた。

そんな緊張を感じ取ってくれたのか、母様は「そうだわ!」と私にあるアドバイスをしてくれる。

「笑顔が嫌いな人なんていないのよ。だからねミュラちゃん、笑っていれば大丈夫。まだご挨拶は出来ないから…手を振りましょうか。ねっ、やってみましょう。」

に、にこぉ?
私はひきつる顔を無理やり口角を上げてみる。

「そうそう、良い感じ。でね、おててをフリフリ~って。」

フリフリ?
手を振る美しい動作とかマナーとかあるんだろうか…よくわからないから、とりあえずバイバイをしてみる。

「きゃ~ミュラちゃん可愛いぃわぁ。」

母様は何をしても誉めてくれる。後ろで見ているサーラも笑顔で見守ってくれていた。

「かぁーしゃ、しゅき。しゃーら、しゅき」

嬉しい気持ちを伝えようと、カイ兄様に最近教えて貰った「好き」を言ってみる。
「ありがとうや、嬉しい気持ちを伝える時は『好き』と言うんだよ。」と教えてくれたのだ。
私の知る「好き」は恋人など特別な人に伝える言葉だけど、この世界は違うみたい?
なんとなくカイ兄様にはまだ恥ずかしくて言った事がないんだけど、母様とサーラには言える。
張り切って言ってみたがサ行が難しい。上手くしゃべれずに恥ずかしくなって、チラリと母様とサーラを見れば二人とも身悶えていた。

「なんなの、この破壊力っ!ミュラちゃん可愛すぎるわっ!」

「ミュラお嬢様、サーラは幸せです…」

え?サーラ泣いてる?大丈夫?
どうしたのか心配になってヨチヨチと近付いていけば「失礼致します」と言って抱き締められた。サーラにぎゅってされて嬉しくて、もう一度「しゅき」と言ってみたら「私も大好きですぅ~」と言われて、私は更に嬉しくなった。
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