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翌日、私はライトニング様とお出かけすることになった。彼の希望で街の視察に行くらしい。私たちは馬車に揺られながら目的地へと向かった。
「あら、ライトニング様じゃありませんか! お久しぶりですわ!」
「おお、久しぶりだな」
どうやら彼は顔が広いようだ。あちらこちらから声をかけられている。その人たちの中には女性も多くいて、彼はモテモテの様子であった。
(やっぱりモテるのね……)
私の旦那はどうやらイケメンのようだ。まあ、確かに顔立ちはいいかもしれない……しかし性格は尊大で自分勝手すぎるというかなんというか……はっきり言って最低だと思う。でも、私はそんな彼のことが嫌いではなかった。
(だって仕方がないじゃない……)
今までこんな風に接してくれる人なんていなかったし……だからだろう、彼のことを好きになってしまったのは。そうこうしているうちに目的地に到着する。
「おい、あれを見ろ! 美味そうだな!」
ライトニング様が指差したのはクレープというお菓子だった。どうやらここの名物らしい。早速買ってみることにする。
「うまいな……」
ライトニング様は満足そうに頬張っているが、私は正直あまり口に合わなかった。なんというか味が薄いというか、甘いのに苦いような不思議な味だった。
「そうか? 俺は好きだぞ」
どうやらライトニング様はこの味が気に入ったようだ。しかし私にはちょっと合わないかもしれない。今度からは普通にお米を炊いてみようかしら……? そうこうしているうちに、今度はアクセサリーショップにやってきた。彼は女性店員に話しかけている。
「おい、このネックレスをくれ」
「かしこまりました!」
そしてライトニング様は早速購入したようで、店員さんにお金を支払っていた。
「ほら、これを貴様にやる」
「ありがとうございます……」
私は差し出されたネックレスを受け取ると早速身につけてみた。シンプルなデザインだけれど、とても可愛いと思う。
「似合っているぞ」
「ふふっ、ありがとうございます」
どうやら彼はお世辞が言えるタイプらしい。私は素直に礼を言うことにした。
「あっ!」
その時、一人の男の子が、ライトニング様にぶつかる。
「大丈夫か?」
男の子がライトニング様を見て固まる。
「び、びぇえええええええええええっ!!!!」
子供は大声で泣きだした。
「よしよし、泣かないでください」
私はしゃがみ込んで、男の子の頭を撫でる。だが彼は泣き止まない。
「あ、そうだ。飴玉あげますよ。どうです?」
私は鞄からお手製の飴玉を取り出と、男の子の口に入れる。
「ほら、美味しいでしょう?」
男の子は泣き止み、笑顔になっていた。どうやら機嫌が直ったようだ。
「ばいばい、お姉ちゃん!」
「はい、気をつけて行くのですよ」
私は手を振って見送ることにする。子供は元気に走り去っていった。そして私はライトニング様のほうを振り返るが……彼はなぜか不機嫌そうな顔をしていた。
「どうかしたのですか?」
「……なぜ貴様は子供をあやしたのだ?」
「なぜって……泣いてる子供がいたら、慰めるのは当たり前のことじゃないですか」
私が当然のことを言うと、彼は何か感心したようにうなずく。
「そうか……その……なんだ……助かった」
彼はか細い声で感謝の言葉を述べる。私はそんな彼を意外に思いながらも、笑顔で答えることにした。
「どういたしまして」
それから私たちは馬車に乗って屋敷に戻った。
「おい」
「何ですか?」
「来週、また行くぞ」
「来週もですか?」
「なんだ、俺と出かけるのは不服か?」
「いえ、別に」
彼は鼻を鳴らすと屋敷に向かって歩き出す。その足取りはどことなく嬉しそうに見えた。
「あら、ライトニング様じゃありませんか! お久しぶりですわ!」
「おお、久しぶりだな」
どうやら彼は顔が広いようだ。あちらこちらから声をかけられている。その人たちの中には女性も多くいて、彼はモテモテの様子であった。
(やっぱりモテるのね……)
私の旦那はどうやらイケメンのようだ。まあ、確かに顔立ちはいいかもしれない……しかし性格は尊大で自分勝手すぎるというかなんというか……はっきり言って最低だと思う。でも、私はそんな彼のことが嫌いではなかった。
(だって仕方がないじゃない……)
今までこんな風に接してくれる人なんていなかったし……だからだろう、彼のことを好きになってしまったのは。そうこうしているうちに目的地に到着する。
「おい、あれを見ろ! 美味そうだな!」
ライトニング様が指差したのはクレープというお菓子だった。どうやらここの名物らしい。早速買ってみることにする。
「うまいな……」
ライトニング様は満足そうに頬張っているが、私は正直あまり口に合わなかった。なんというか味が薄いというか、甘いのに苦いような不思議な味だった。
「そうか? 俺は好きだぞ」
どうやらライトニング様はこの味が気に入ったようだ。しかし私にはちょっと合わないかもしれない。今度からは普通にお米を炊いてみようかしら……? そうこうしているうちに、今度はアクセサリーショップにやってきた。彼は女性店員に話しかけている。
「おい、このネックレスをくれ」
「かしこまりました!」
そしてライトニング様は早速購入したようで、店員さんにお金を支払っていた。
「ほら、これを貴様にやる」
「ありがとうございます……」
私は差し出されたネックレスを受け取ると早速身につけてみた。シンプルなデザインだけれど、とても可愛いと思う。
「似合っているぞ」
「ふふっ、ありがとうございます」
どうやら彼はお世辞が言えるタイプらしい。私は素直に礼を言うことにした。
「あっ!」
その時、一人の男の子が、ライトニング様にぶつかる。
「大丈夫か?」
男の子がライトニング様を見て固まる。
「び、びぇえええええええええええっ!!!!」
子供は大声で泣きだした。
「よしよし、泣かないでください」
私はしゃがみ込んで、男の子の頭を撫でる。だが彼は泣き止まない。
「あ、そうだ。飴玉あげますよ。どうです?」
私は鞄からお手製の飴玉を取り出と、男の子の口に入れる。
「ほら、美味しいでしょう?」
男の子は泣き止み、笑顔になっていた。どうやら機嫌が直ったようだ。
「ばいばい、お姉ちゃん!」
「はい、気をつけて行くのですよ」
私は手を振って見送ることにする。子供は元気に走り去っていった。そして私はライトニング様のほうを振り返るが……彼はなぜか不機嫌そうな顔をしていた。
「どうかしたのですか?」
「……なぜ貴様は子供をあやしたのだ?」
「なぜって……泣いてる子供がいたら、慰めるのは当たり前のことじゃないですか」
私が当然のことを言うと、彼は何か感心したようにうなずく。
「そうか……その……なんだ……助かった」
彼はか細い声で感謝の言葉を述べる。私はそんな彼を意外に思いながらも、笑顔で答えることにした。
「どういたしまして」
それから私たちは馬車に乗って屋敷に戻った。
「おい」
「何ですか?」
「来週、また行くぞ」
「来週もですか?」
「なんだ、俺と出かけるのは不服か?」
「いえ、別に」
彼は鼻を鳴らすと屋敷に向かって歩き出す。その足取りはどことなく嬉しそうに見えた。
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