最弱テイマーのペットの子犬は実はフェンリルだった〜SSSランクモンスターを従魔にした俺は見下してきた奴らをざまぁする〜

16

翌日、俺たちはギルドの依頼で港町に向かうことになった。なんでも最近、海で巨大なモンスターが暴れているらしい……。

早速、港町に向かうと漁師たちが船に乗り込もうとしているところだった。


「こんにちは！」


エレナさんが挨拶をすると彼らは笑顔で答えた。


「おお！ あんたらが依頼を受けてくれた冒険者か！」


「ええ、そうよ」


（どうやらこの人たちは依頼主みたいだな……）


そう思っていると漁師のリーダーらしき人物が話しかけてきた。


「あんたらの実力なら大丈夫そうだ！ よろしく頼むぜ！！」


そう言って手を差し伸べてきたので握手を交わした。そしてそのまま船に乗船することになった──。


「よし、出航だ！！」


船長の合図で船が動き出した。目指すは沖にある孤島だ──！ 船に乗って1時間ほど経過した頃、目的の島が見えてきた。しかし様子がおかしい……。


（どういうことだ……？）


そう、そこには巨大なイカのようなモンスターがいたのである……！


（なんであんなのがいるんだ……？）


疑問を抱いているとエレナさんが話しかけてきた。


「あれはクラーケンよ……！」


「クラーケン？」


「ええ、そうよ。でもおかしいわね……普通は海の底にいるはずなのに……」


（なるほど、そういうことか……）


俺は納得した。おそらくこのクラーケンは何者かによって召喚されたのだろう……。そしてあの島を占拠して隠れ蓑にしているに違いない……！


「きっと犯人はあの島にいるはずです！」


俺が言うとエレナさんは頷いた。


「そうね！ 早く討伐しましょう……！」


2人でクラーケンに向かって駆け出すと、こちらに向かって攻撃を仕掛けてきた……！


「危ないっ！！」


エレナさんを庇いながら避けると、今度は反撃を開始した──。拳に魔力を込めると思い切り殴りかかった！ ドゴォッ！！ 鈍い音とともにクラーケンの体が大きく凹んだ……！


（よし、効いてるぞ……！！）


すると奴は口から墨を吐き出してきた……！


「エレナさん、避けてください！！」


叫ぶと同時に彼女の手を掴むと急いで後退した。次の瞬間には俺たちがいた場所に墨が降り注いでいた……。


（危なかったな……）


冷や汗を流しながら安堵する──しかしまだ安心はできない。気を引き締め直して再び攻撃を仕掛けることにした……。


「うおおぉっ！！」


叫びながら走り出すと渾身の右ストレートを放った……！ バキッ！！ クラーケンの腹部に直撃し、鈍い音を立てた……！


「グギャアァッ！！」


悲鳴を上げながら後退していく……。しかし俺は逃がさないとばかりに追撃を仕掛けた──！！


「これでトドメだ！！」


拳を振りかぶると、渾身の一撃を放った……！ ドゴォッ！！ 凄まじい音と共にクラーケンの体が宙を舞った！そしてそのまま海に落下すると沈んでいった……。


「ふうっ……なんとか倒せたか……」


安堵しながら呟くと、エレナさんが声をかけてきた。


「やったわね、カイトくん♪ お疲れ様♪」


彼女は嬉しそうに微笑んでいた──それから俺たちは念のため島を調べることにした。クラーケンが潜っていた洞窟に入ってみると大量の海産物と宝箱があった……。


「これは凄いですね……！」


思わず声を上げると、エレナさんは微笑んだ。


「ええ、そうね♪ でもまずはギルドに報告しないと……」


2人で外に出ると町に向けて出発した──。


（それにしてもあのクラーケンはどうして現れたんだろう……？）


そんなことを考えながら歩いているとエレナさんが話しかけてきた。


「ねぇ、カイトくん……後でこの魚でご飯を食べましょう♪」


嬉しそうに話す彼女を見ていると微笑ましく思えた──。それから俺たちは無事に依頼を達成したことを報告するため、港町に向かうのだった──。